奨学金って返済が大変ですよね…
奨学金の給付を行っている日本学生支援機構によると、7%の債務者が奨学金の返済を延滞しています。
また、2012~2017年度で計18,753件の自己破産件数が報告されています。実際に奨学金が原因で自己破産する人も少なくないのです。
結論として、自己破産は最後の手段と考えたほうがいいです。
- 財産がほぼすべて処分される
- 7年間クレジットカードが使えなくなる
- 保証人(親)に請求される
- 猶予制度を使ってでも返済したほうがいい
この通り、自己破産のデメリットは少なくありません。
継続収入がある限り、自分で返済したほうが影響が少なくなります。
この記事では、奨学金の返済対策をあらゆる角度から解説します。
読み終わったころには、次にとるべき行動がわかるような情報が得られるでしょう。
目次
奨学金の返済は自己破産すれば免除される?

結論から申し上げると、奨学金の返済義務は自己破産によって免除されます。これは奨学金も一般的な借金と法的に同じ扱いを受けるためです。
奨学金も自己破産の対象
奨学金は法律上「債務」に分類されるため、自己破産手続きにおいて免責の対象となります。
日本学生支援機構(旧日本育英会)から借りた第一種奨学金、第二種奨学金のどちらも、自己破産により返済義務が免除されます。
破産法では、税金や養育費など一部の債務を除き、基本的にすべての借金が免責の対象となっているのです。
重要なのは、自己破産の条件を満たしているかどうかです。
支払い不能の状態であり、免責不許可事由に該当しなければ、奨学金を含めたすべての借金から解放されることができます。
返還を待ってもらうこともできる
自己破産以外にも、奨学金の返済が困難な場合には返還期限猶予制度を利用することができます。
この制度を利用すれば、一定期間返還を待ってもらうことが可能です。
返還期限猶予は、経済困難、失業、病気、災害などの事由により返還が困難な場合に申請できます。
通算で10年間(120か月)まで猶予を受けることができ、猶予期間中は延滞扱いにはなりません。
また、無利子奨学金の場合は猶予期間中も利息は発生しません。
ただし、猶予はあくまで「先送り」に過ぎず、根本的な解決にはなりません。
将来的に返済能力が回復する見込みがある場合には有効ですが、返済の目処が立たない場合は、自己破産を検討する必要があります。
奨学金の自己破産による保証人への影響

奨学金の自己破産で最も注意すべき点は、保証人への影響です。奨学金には必ず連帯保証人と保証人が設定されているか、もしくは機関保証制度に加入しているかのいずれかになっています。
連帯保証人に対して請求される
自己破産により本人の返済義務が免除されても、連帯保証人や保証人の責任は残ります。
日本学生支援機構は、本人が自己破産した場合、残った債務の全額を連帯保証人に請求します。
連帯保証人は多くの場合、親や親族が担当しています。
そのため、自己破産により自分の借金はなくなっても、今度は家族が重い経済的負担を背負うことになります。
最悪の場合、連帯保証人自身も返済不能に陥り、連鎖的に自己破産せざるを得ない状況になることもあります。
実際に、日本学生支援機構の統計では、年間約3,000件の奨学金関連の自己破産のうち、1/3にあたる1,000件が保証人による自己破産となっています。
よって、自己破産という選択肢を選ぶことは大きなリスクを伴うのです。
奨学金を自己破産で免責できる2つの条件!

奨学金を含む自己破産が認められるためには、破産法で定められた3つの条件をすべて満たす必要があります。
支払不能である
自己破産の第一の条件は「支払不能」状態にあることです。
支払不能とは、債務者が現在の収入や資産では、借金の返済を継続することが不可能な状態を指します。
単に返済が苦しいというレベルではなく、客観的に見て返済の目処が立たない状況である必要があります。
失業、病気、収入減少などにより継続的な返済が不可能になった場合が典型例です。
大量に使用した場合などは、詐欺的な行為として免責不許可事由に該当する可能性があります。
免責不許可事由がない
免責不許可事由とは、破産法で定められている「免責を許可すべきでない事由」のことです。
これに該当する行為があった場合、自己破産の免責が許可されない可能性があります。
- 財産隠しやウソの報告
- 浪費やギャンブルによる借金
- クレジットカードの現金化
- 特定の債権者のみへの返済(偏頗弁済)
奨学金に関して最も注意すべきは、借りた奨学金を学費以外の用途に大量に使用した場合です。
奨学金は教育資金として貸与されるものですが、生活費やその他の用途に使用することは通常認められています。
しかし、借りた奨学金でギャンブルや投資を行い、大きな損失を出した場合は免責不許可事由に該当する可能性があります。
自己破産の前に検討!奨学金の救済制度

自己破産は確実に借金から解放される方法ですが、連帯保証人への影響などを考えると、まずは他の救済制度を検討することが重要です。
「減額返還制度」返還額を減らす
減額返還制度は、毎月の返還額を2分の1または3分の1に減額する制度です。
注意:減額は月々の返済額のみで、返還総額は変わりません。
経済的に困窮しているが、少額であれば返済を継続できる場合に有効な制度です。
適用条件は年収300万円以下で、減額期間は最長15年間(180か月)まで利用可能です。
無利子奨学金と有利子奨学金の両方に適用されます。申請には所得証明書や家計状況を示す書類の提出が必要です。
例えば、月々2万円の返還が困難な場合、減額返還制度により月々1万円または6,667円に減額することができます。
返還総額は変わりませんが、月々の負担を軽減することで返還を継続しやすくなります。
「返還期限猶予」返還を待ってもらう
返還期限猶予制度は、一定期間返還を停止してもらう制度です。
災害、傷病、経済困難、失業などにより返還が困難になった場合に利用できます。
猶予期間中は返還の義務がなくなり、延滞扱いにもなりません。
猶予期間は1年ごとに申請し、通算で10年間(120か月)まで利用可能です。
有利子奨学金の場合は利息が発生しますが、返還額は猶予開始時点で固定されます。
経済困難による猶予の場合、年収300万円以下(給与所得者)が基準となります。
失業中の場合は雇用保険受給証明書、病気の場合は診断書の提出が必要です。
猶予期間終了後は通常の返還が再開されるため、猶予期間中に収入の回復や就職活動を行うことが重要です。
「返還免除」重度の障害または死亡が条件
本人が死亡した場合や、精神・身体の障害により労働能力を失った場合には、願い出により奨学金の返還が全額免除されます。
死亡による免除の場合、戸籍謄本など死亡を証明する書類の提出が必要です。
障害による免除の場合は、医師の診断書により「労働に従事することを得ない程度の障害の状態にある」ことを証明する必要があります。
この制度による免除の場合、連帯保証人や保証人への請求も行われません。
ただし、免除の認定基準は厳格であり、医師の診断書による客観的な証明が必要です。
自己破産以外の債務整理
自己破産以外の債務整理方法として、任意整理や個人再生があります。
奨学金以外に多くの借金がある場合、これらの方法により総返済額を減らすことで、奨学金の返済を継続できる可能性があります。
任意整理は、奨学金以外の借金について債権者と交渉し、将来利息のカットや返済期間の延長を行う方法です。
どの債務整理方法を選択するかは、借金の総額、収入、家族の状況などを総合的に判断する必要があります。
専門家に相談し、最適な解決方法を見つけることが重要です。
奨学金を滞納し続けるとどうなる?

奨学金の返済を滞納し続けると、段階的に厳しい措置が取られます。
取り立て、支払督促を受ける
返済が3か月滞ると、日本学生支援機構から督促状が送付されます。
初期段階では電話での催促や文書による督促が行われます。
この時点ではまだ穏やかな催促ですが、滞納が長期化すると督促の頻度と強度が増していきます。
次に、9か月以上の滞納が続くと、債権回収会社への委託や法的措置の予告が行われます。
日本学生支援機構は複数の債権回収会社と契約しており、滞納者への督促業務を委託しています。
債権回収会社による督促は、より厳格で継続的に行われます。
訴訟を起こされる
督促に応じない場合、日本学生支援機構は裁判所に支払督促の申し立てを行います。
支払督促は比較的簡易な手続きで、債権者の一方的な申し立てにより発せられます。
支払督促が届いた場合、2週間以内に異議申し立てを行わないと確定判決と同じ効力を持ちます。
支払督促に異議申し立てを行った場合、通常訴訟に移行します。
判決が確定すると、債務名義が成立し、強制執行が可能となります。
この段階に至ると、任意の話し合いによる解決は困難になり、法的強制力のある措置が取られることになります。
強制執行によって財産を差し押さえられる
判決確定後、日本学生支援機構は強制執行により債務者の財産を差し押さえることができます。
主な差押え対象は給与、銀行預金、不動産などです。
給与差押えの場合、手取り給与の4分の1(手取りが44万円を超える場合は33万円を超える部分の全額)が差し押さえられます。
給与差押えが実行されると、勤務先に対して債権差押命令が送達されるため、会社に奨学金滞納の事実が知られることになります。
差押えを避けるためには、この段階に至る前に対処を行うことが不可欠です。
金融ブラックリスト登録される
3か月以上の延滞が続くと、個人信用情報機関に延滞情報が登録されます。
奨学金の場合、全国銀行個人信用情報センター(KSC)に情報が登録され、この情報は他の金融機関とも共有されます。
- クレジットカードの利用ができない
- 各種ローンの審査に通らない
- 携帯電話の分割払い契約ができない
延滞情報は完済から5年間記録が残るため、長期間にわたって制約が続きます。
奨学金の返済期間は通常10年から20年と長期にわたるため、一度ブラックリストに登録されると影響が長期化する可能性があります。
働いても返済できなかった事例3選

奨学金返済に関する問題は、個人の努力だけでは解決できない社会的な問題となっています。
事例1:非正規雇用による収入不安定
大学卒業後、正社員として就職したものの、会社の業績悪化により契約社員に雇用形態が変更されたケース。
月収が25万円から18万円に減少し、奨学金の月々返済額3万円が生活を圧迫。
アルバイトを掛け持ちしても返済が困難となり、最終的に自己破産を選択。
事例2:病気による就労困難
教職に就いていたが、精神的な病気により休職を余儀なくされたケース。
休職中は傷病手当金で生活していたが、奨学金返済月額2万円の継続が困難に。
復職後も体調が安定せず、最終的に退職。返還期限猶予制度を利用したが、根本的な解決に至らず債務整理を検討。
事例3:家族の介護による収入減
正社員として安定した収入があったが、親の介護のため時短勤務に変更せざるを得なくなったケース。
月収が30万円から20万円に減少し、介護費用も発生。
奨学金返済月額2.5万円に加え、生活費の増加により家計が破綻。
減額返還制度を利用したが、介護の長期化により根本的な解決には至らず、自己破産を選択。
奨学金の返還者で自己破産した人の割合は?

日本学生支援機構の公表データによると、平成24年度から28年度の5年間で、奨学金に関連した自己破産の件数は毎年3,000件程度となっています。
この期間は年間約130万人が奨学金を利用しており、返還者総数を約800万人とすると、自己破産率は約0.03%となります。
一見すると低い数値に見えますが、これは自己破産予備軍を含んだ数字ではありません。
奨学金で困窮しているが、まだ自己破産には至っていないというケースは少なくないと思われます。
奨学金の返還中に自己破産をする主な理由

奨学金返還者が自己破産に至る理由は多様ですが、主要なパターンを分析すると以下のような要因が浮かび上がってきます。
経済的要因
大学卒業時の就職率改善にも関わらず、安定した正社員としての就職が困難な状況が続いています。
特に、奨学金を借りる家庭は経済的に厳しい状況にあることが多く、就職活動においても不利な条件を抱えがちです。
健康上の問題
精神的な病気、身体的な病気や怪我により就労が困難になるケースが増加しています。
特に、現代社会における精神的ストレスの増大により、うつ病や適応障害などで働けなくなる若者が増えています。
家族の事情
親の介護、家族の病気、離婚などにより、予想していた収入を得られなくなったり、支出が増加したりするケースです。
特に、一人っ子や長男・長女の場合、家族の責任を一身に背負うことになりがちです。
複数の借金の存在
奨学金以外にクレジットカードの借金、消費者金融からの借入がある場合、返済負担が重複し、どれか一つの返済が困難になると全体が破綻しやすくなります。
これらの要因は単独で作用することもあれば、複数が重なって深刻な状況を作り出すこともあります。
重要なのは、これらの多くが本人の責任を超えた社会的・構造的な問題であるということです。
自己破産したらどうなる?デメリットは?

奨学金を含む自己破産を行った場合、様々なデメリットが発生します。
連帯保証人に請求される
自己破産における最大のデメリットは、連帯保証人への影響です。
本人の返済義務が免除されても、連帯保証人の責任は残り続けます。
奨学金の場合、連帯保証人は通常親や親族が務めているため、家族関係に深刻な影響を及ぼします。
連帯保証人への請求額は、残債務の全額となります。数百万円に及ぶことも珍しくなく、連帯保証人の生活基盤を根底から揺るがす可能性があります。
最悪の場合、連帯保証人も返済不能に陥り、連鎖的に自己破産することになります。
信用情報機関にブラックリスト登録される
自己破産を行うと、個人信用情報機関に事故情報が登録されます。
この情報は金融機関間で共有され、約5年から10年間記録が残ります。
この期間中は、クレジットカードの作成、各種ローンの利用、携帯電話の分割払い契約などが困難になります。
また、賃貸住宅の契約においても、保証会社の審査で不利になる場合があります。
ただし、デビットカードやプリペイドカード、現金での取引は制限されないため、日常生活に致命的な支障をきたすわけではありません。
官報に掲載される
自己破産を行うと、官報に住所・氏名が掲載されます。
官報は国が発行する機関紙で、誰でも閲覧可能です。
ただし、一般の人が日常的に官報をチェックすることは稀であり、実際に周囲に知られる可能性は低いです。
しかし、金融機関や信用情報を重視する業界では、採用時や昇進時に官報をチェックする場合があります。
特に、銀行、証券会社、保険会社などの金融業界への就職・転職を考えている場合は注意が必要です。
20万円以上の財産が処分される
自己破産では、原則として20万円以上の価値を持つ財産が処分されます。
具体的には、不動産、自動車、貴金属、高額な家電製品などが対象となります。これらの財産は破産管財人により換価され、債権者への配当に充てられます。
ただし、生活に必要な最低限の財産は自由財産として保護されます。
99万円以下の現金、生活必需品(家具、衣類、調理器具など)、仕事に必要な道具などは手元に残すことができます。
一部の職業に就けなくなる
自己破産手続き中は、一定の職業・資格に制限が生じます。
これは「欠格事由」と呼ばれ、他人の財産を扱う職業や信用が重要な職業が対象となります。
制限期間は破産手続開始決定から免責許可決定まで、通常3か月から6か月程度です。
- 弁護士、司法書士などの士業
- 公認会計士、不動産鑑定士
- 宅地建物取引士
- 生命保険募集人、損害保険代理店
- 警備員、警備業者
これらの職業に従事している場合、手続き期間中は業務を停止せざるを得ません。
ただし、免責許可が確定すれば制限は解除され、再び従事することができます。
自己破産と奨学金に関してよくある質問

奨学金と自己破産に関する疑問は多岐にわたります。ここでは、最もよく寄せられる質問について詳しく回答します。
奨学金を自己破産の対象から外すことはできる?
奨学金だけを自己破産の対象から外すことはできません。
自己破産は「債権者平等の原則」に基づいて行われるため、すべての借金を平等に扱う必要があります。
特定の借金のみを優遇的に扱うことは法律上認められていません。
どうしても奨学金の連帯保証人への影響を避けたい場合は、連帯保証人が代わりに返済を行い、後に本人が連帯保証人に対して分割返済を行うという方法もあります。
しかし、これは連帯保証人の経済状況次第であり、現実的でない場合も多いです。
まとめ:奨学金の自己破産は最終手段

奨学金は自己破産の対象であり、自己破産は可能です。
しかし、自己破産には連帯保証人への重大な影響をはじめ、様々なデメリットが伴います。
最も重要なのは、自己破産を選択する前に他の解決方法を十分に検討することです。
減額返還制度や返還期限猶予制度などの救済制度を活用すれば、自己破産を避けられる可能性があります。
また、奨学金以外の借金がある場合は、任意整理により他の借金のみを整理することで、全体的な返済負担を軽減できる場合もあります。
ただし、どの方法を選択するにしても専門的な知識と経験が必要です。
一人で抱え込まずに、債務整理に精通した弁護士に相談することが解決への第一歩となります。
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