借金って時効があるの!?
実は借金には時効があって、「時効の援用」という手続きを経て成立させることができます。
時効の援用は正しいやり方を理解すれば、弁護士に頼まなくても自分で手続きできます。
しかし、なるべく専門家に依頼することをオススメします。
うっかりミスで時効がリセットされるNG行為がいくつもあるからです。
- 借金の時効は原則最終弁済日から5年
- 時効がリセットされるNG行為が多数
- 万が一に備えて債務整理を検討しておく
- 絶対にミスしたくないなら専門家に依頼
この記事では、時効の援用のやり方をわかりやすく解説します。
よくある失敗例から学ぶ注意点まで、実践的な情報を詳しくお伝えします。
目次
時効の援用とは?借金の時効を主張する手続き

時効の援用の定義と仕組み
時効の援用とは、一定期間が経過した借金について、「時効が成立したので支払い義務はありません」と主張することです。
時効の援用が成功した分の借金は帳消しになります。
しかし、単に時間が経過しただけでは借金は消えません。必ず「援用」という手続きが必要です。
| 項目 | 内容 | 重要ポイント |
|---|---|---|
| 時効の援用とは | 時効完成を主張する意思表示 | 自動的には成立しない |
| 効果 | 債務が消滅する | 支払い義務が完全になくなる |
| 手続き方法 | 内容証明郵便で通知 | 口頭では証拠が残らない |
時効期間は原則5年!計算方法は?
借金の時効は、返済日の翌日が起点となります。借金をした日ではないことに注意が必要です。
つまり、2025年8月31日が返済日となっていたら、2025年9月1日が起算点です。
そこから5年後なので、2030年8月31日が時効日となります。
| 債権の種類 | 時効期間 | 起算点 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 貸金業者からの借入 | 5年 | 最終返済日の翌日 | 消費者金融、クレジットカード |
| 個人間の借金 | 5年(※) | 返済期限の翌日 | 友人、知人からの借入 |
| 銀行からの借入 | 5年 | 最終返済日の翌日 | カードローン、フリーローン |
| 信用金庫・信用組合 | 5年 | 最終返済日の翌日 | 事業資金、住宅ローン |
※2020年4月1日以前に発生した債権は、10年の場合があります。
時効が中断(更新)される行為
時効が中断(更新)されるケースがあります。
更新されると、時効までの期間がリセットされてしまいます。
あと1年待てば時効…!という場合でも、5年に戻ってしまうのです。
- 債務の承認
- 一部でも返済する
- 「払います」と言う・書く
- 支払い猶予を申し出る
- 分割払いの相談をする
- 裁判上の請求
- 支払督促を受ける
- 訴訟を起こされる
- 調停を申し立てられる
- 差押え・仮差押え
- 給料の差押え
- 預金口座の差押え
- 不動産の差押え
時効の援用ができる5つのポイント

時効成立の条件チェックリスト
| チェック項目 | 確認内容 | ×の場合 |
|---|---|---|
| 1. 時効期間経過 | 最終返済から5年以上経過? | 援用不可 |
| 2. 債務承認なし | 期間中に返済や承認していない? | 時効リセット |
| 3. 裁判なし | 裁判所から書類が来ていない? | 10年に延長 |
| 4. 差押えなし | 財産の差押えを受けていない? | 時効中断(リセット) |
| 5. 援用未実施 | 過去に援用していない? | 再援用不可 |
自分でできる!時効の援用のやり方6ステップ

ステップ1:時効期間の確認
まずは、いつ時効になるのかを確認します。
| 確認方法 | 入手先 | 確認する項目 |
|---|---|---|
| 信用情報の開示請求 | CIC、JICC、KSC | 最終返済日、延滞開始日 |
| 契約書の確認 | 手元の書類 | 契約日、返済期限 |
| 督促状の日付 | 債権者からの通知 | 請求日、債権譲渡日 |
| 通帳の記録 | 銀行 | 最後の引き落とし日 |
ステップ2:債権者の特定
現在の債権者を正確に特定します。
債権譲渡されている場合は、現在の債権者に援用通知を送る必要があります。
ステップ3:内容証明郵便の作成
次に、債権者に向けて送る内容証明郵便を作成します。
この時点では、作る書類は普通郵便と変わりありません。
発送手続きをするときにはじめて内容証明郵便になります。
【時効援用通知書の記載事項】
- 債権者の名称・住所
- 債務者(自分)の氏名・住所・生年月日
- 契約の特定(契約番号、借入日、借入金額)
- 時効援用の意思表示
- 時効期間が経過している旨
- 日付と署名
内容証明郵便の書き方(具体例)
時効援用通知書
令和○年○月○日
○○株式会社 御中
東京都○○区○○1-2-3
通知人:山田太郎
住所:東京都△△区△△4-5-6
生年月日:昭和○年○月○日
私は、貴社との間で締結した金銭消費貸借契約(契約番号:123456、契約日:平成○年○月○日、借入金額:50万円)について、最終返済日である平成○年○月○日から既に5年以上が経過しており、消滅時効が完成しております。
つきましては、民法第145条に基づき、本書面をもって消滅時効を援用いたします。
今後、本件に関する請求は一切お控えください。
以上
ステップ4:内容証明郵便の発送
続いて、作成した書類を内容証明郵便で債権者へ向けて発送します。
| 発送方法 | 費用 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 郵便局窓口 | 約2,600円 | 確実、即日発送 | 平日のみ、手間 |
| 電子内容証明 | 約1,600円 | 24時間可、安い | 登録必要 |
| 弁護士・司法書士 | 2-5万円 | 確実、交渉も依頼可 | 費用が高い |
ステップ5:債権者からの反応への対応
内容証明郵便が債権者に着いたら、相手からのアクションを1か月ほど待ちます。
ちなみに、債権者側は「受け取っていない」と主張することはできません。
届けたという証明が郵便局によってなされるからです。
- 援用を認める場合:債務不存在証明書の発行を依頼
- 異議を申し立てる場合:根拠を確認し、必要なら専門家に相談
- 無視される場合:援用は成立している可能性大
ステップ6:信用情報の確認
援用成立後、1-3か月後に信用情報機関で情報が更新されているか確認します。
最終弁済日から5年(または10年)経っていれば、援用は成功です。
時効援用の失敗例|よくある間違いと対策

失敗例1:時効期間の計算ミス
時効期間の計算は1日単位で正確に行う必要があります。
万が一、計算ミスをして債権者に連絡してしまうと、時効が終わっていないことに気づかれて裁判を起こされる可能性があるからです。
裁判を起こされたら、時効がリセットされるので必ず正確に確認しましょう。
| 失敗内容 | 原因 | 結果 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 4年11か月で援用 | 最終返済日の勘違い | 援用無効、債務承認扱い | 信用情報で正確に確認 |
| 裁判後5年で援用 | 判決後は10年だから | 援用無効 | 裁判の有無を必ず確認 |
| 旧法で10年計算 | 法改正を知らなかった | 5年で援用可能だった | 最新の法律を確認 |
失敗例2:援用前の不用意な連絡
時効が近いときに、債権者と不用意に連絡を取ってはなりません。
支払いの意思を示してしまうことで、時効がリセットされるからです。
Aさんの失敗談(40代男性)
「時効を確認するため債権者に電話したら、『いくらなら払えますか?』と聞かれ、つい『月1万円なら…』と答えてしまった。
これが債務承認となり、時効がリセットされた。」
対策:援用前は絶対に債権者と連絡を取らない。確認は信用情報機関で行う。
失敗例3:不完全な援用通知
時効援用通知書は必ず内容証明郵便で、正しい方法で送りましょう。
普通郵便では送った証拠にはならないため、債権者がしらばっくれる可能性があるからです。
| 不備の内容 | 問題点 | 正しい対応 |
|---|---|---|
| 普通郵便で送付 | 証拠が残らない | 内容証明郵便を使用 |
| 「時効だと思う」と記載 | 援用の意思が不明確 | 「時効を援用します」と明記 |
| 契約の特定なし | どの債務か不明 | 契約番号等で特定 |
| 債権者の住所間違い | 通知が届かない | 登記簿等で正確に確認 |
失敗例4:複数債務の一括援用
複数債務がある場合は、借り入れの返済日をひとつひとつ確認しましょう。
一括で手続きすると、ある債務だけ時効に達していなかった!ということが起こり得ます。
Bさんの失敗談(50代女性)
「A社、B社、C社の3社に同じ内容で時効援用通知を送った。しかし、B社は時効期間が4年しか経過しておらず、援用が無効となった上、債務承認とみなされた。」
対策:債権ごとに個別に時効期間を確認し、個別に援用通知を作成する。
失敗例5:援用後の油断
時効の援用は油断せずに行いましょう。
うっかりミスで時効がリセットされるリスクが高いからです。
- 援用無視して請求継続→無視せず、援用済みであることを再度通知
- 債権譲渡先から請求→譲渡先にも援用通知を送付
- 信用情報が更新されない→信用情報機関に異議申立て
時効援用にかかる費用|自分でやる? 専門家に依頼?

時効の援用にかかる費用を解説します。
安く済ませたいなら自分で行うことも可能ですが、絶対にミスしたくないなら弁護士司法書士に依頼することをオススメします。
| 方法 | 費用内訳 | 総額 | メリット・デメリット |
|---|---|---|---|
| 自分で行う | ・信用情報開示:1,000円×3 ・内容証明郵便:2,600円 ・配達証明:320円 | 約6,000円 | ◎費用が安い △失敗リスクあり |
| 司法書士 | ・着手金:1-2万円 ・成功報酬:2-3万円 ・実費:約3,000円 | 3-5万円 | ◎確実性高い △弁護士より制限あり |
| 弁護士 | ・着手金:2-3万円 ・成功報酬:3-5万円 ・実費:約3,000円 | 5-8万円 | ◎完全代理可能 △費用が高い |
援用後のトラブルと対処法
時効の援用は、債権者が本気で回収しに来る可能性が高く、トラブルのリスクも大きいです。
| トラブル | 対処法 | 予防策 |
|---|---|---|
| 援用を無視して請求してくる | 再度援用通知、消費者センター相談 | 配達証明で証拠保管 |
| 嫌がらせ的な取り立てをされる | 警察、弁護士に相談 | 録音等で証拠収集 |
| 訴訟を起こされる | 時効援用を主張、弁護士依頼 | 時効完成を確実に確認 |
よくある質問(FAQ)

Q1. 時効援用したら信用情報はすぐきれいになる?
A. いいえ。援用後も5年間は「貸倒」として記録が残ります。
ただし、延滞情報よりは影響が小さくなります。
Q2. 保証人がいる場合も時効援用できる?
A. 主債務者は援用できますが、保証人の債務は別途時効期間を計算する必要があります。
保証人にも影響するため事前相談が必要です。
Q3. 時効援用は何回でもできる?
A. 同一債権に対しては1回のみです。
ただし、援用が無効だった場合は、時効完成後に再度援用可能です。
Q4. 債権者が倒産していたら?
A. 債権譲渡されている可能性があります。
信用情報や債権回収会社からの通知を確認し、現在の債権者を特定して援用します。
Q5. 時効援用したことは家族や会社にバレる?
A. 原則バレません。
ただし、給与差押えを受けていた場合等は、会社に知られている可能性があります。
まとめ:時効援用の次の手段を考えておこう

時効の援用は正しいやり方を理解すれば、自分で手続きすることも十分可能です。
しかし、絶対に時効日の計算を間違えないようにしましょう。失敗すると時効がリセットされることもあるからです。
気づいた債権者が本気で回収しに来る可能性もあるので、個人再生や自己破産をすることも視野に入れておきましょう。
成功のための重要ポイント:
- 時効期間を正確に計算する(最終返済日から5年)
- 援用前は絶対に債権者と連絡を取らない
- 内容証明郵便で確実に通知する
- 失敗例から学び、慎重に手続きを進める
絶対にミスしたくない場合は専門家に相談することをお勧めします。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

