振り込め詐欺で振り込んでしまった…
振り込め詐欺の被害に遭った場合、完全にあきらめる必要はありません。
振り込んでしまったお金が戻ってくる制度があるのをご存じでしょうか。
その鍵を握るのが振り込め詐欺救済法という制度です。
この法律は、平成20年6月に施行された被害者のための財産回復の仕組みです。
ただし、すべての被害金が必ず全額返ってくるわけではなく、返金額は振込先の口座残高や被害者数によって変動します。
一方で、「75%返金される」という話は振り込め詐欺救済法ではなく別の制度です。
本記事では、振り込め詐欺救済法の制度概要から具体的な手続き方法、返金率の実態、対象外となるケースまでを網羅的に解説します。
被害回復への道筋を正しく理解し、一日も早く生活を立て直すための判断材料として役立ててください。
目次
振り込め詐欺被害金は返金される可能性がある

振り込め詐欺の被害に遭ってしまった場合でも、泣き寝入りする必要はありません。
ここでは、返金を受けるための基本的な流れと注意点について詳しく説明します。
振込先の金融機関に申請する

振り込め詐欺の被害金を取り戻すための第一歩は、振込先の金融機関に対して被害回復分配金の支払申請を行うことです。
この申請は、警察への被害届提出と並行して進める必要があります。
申請時には本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書、振込を証明する書類として振込明細書や通帳のコピーが求められます。
金融機関は申請を受理すると、振込先の口座が犯罪利用口座として認定されているかを確認し、条件を満たしていれば手続きを進めます。
注意すべき点は、申請には期限が設けられており、公告が開始されてから一定期間内に行わなければならないことです。
預金保険機構のウェブサイトで公告情報を確認し、申請期間を逃さないようにしましょう。
振込先の口座残高を被害者で分け合う
振り込め詐欺救済法による返金の仕組みでは、振込先の口座に残っている資金を被害者全員で按分する形で分配されます。
つまり、被害金が全額戻ってくるとは限らず、口座凍結時点での残高と被害者の人数によって受取金額が決まります。
たとえば、口座に200万円が残っており、合計で400万円の被害申請があった場合、各被害者は被害額の50%程度しか受け取れない計算になります。
さらに、犯人が資金をすでに引き出していた場合や複数の口座に分散させていた場合、返金額はさらに少なくなる可能性があります。
この制度は犯罪による残高を公平に分配することが目的であり、被害者個人への完全な補償を保証するものではありません。
さらに返金を求めるなら弁護士に相談

振り込め詐欺救済法による返金だけでは被害額を十分に回復できない場合、弁護士に相談して加害者への直接請求を検討する選択肢があります。
弁護士は犯人が特定されている場合や口座の名義人が判明している場合に、民事訴訟や損害賠償請求を通じて追加の返金を目指すことができます。
また、振り込め詐欺救済法の申請手続き自体が複雑で不安な場合も、弁護士のサポートを受けることで書類作成や金融機関とのやり取りをスムーズに進められます。
弁護士費用は事案の内容や金額によって異なりますが、初回相談を無料で行っている法律事務所も多く、まずは相談してみることが重要です。
特に被害額が大きい場合は、専門家の助言を得ることで被害回復の可能性が高まります。
振り込め詐欺に遭ってしまったら?口座凍結・返金のために

振り込め詐欺の被害に気づいた瞬間、冷静に適切な対応を取ることが被害回復の可能性を大きく左右します。
ここでは、被害発覚から返金までの具体的な手順と、各段階で注意すべきポイントについて詳しく解説します。
すぐに警察に連絡
振り込め詐欺の被害に気づいたら、まず第一に警察に連絡して被害届を提出することが重要です。
警察への通報は、犯罪として正式に記録されるだけでなく、金融機関に対して口座凍結を要請する根拠となります。
最寄りの警察署または交番に出向き、詐欺の経緯、振込先の口座情報、振込金額、振込日時などを詳しく説明します。
ただし、警察への届出だけでは口座凍結および返金手続きは完了しないため、別途金融機関への申請が必要です。
警察への連絡は、被害回復の第一歩であると同時に、犯人逮捕に向けた捜査の端緒となります。
振込先の金融機関に連絡し口座を凍結
警察への届出と並行して、振込先の金融機関にも直ちに連絡を取ることが極めて重要です。
金融機関に詐欺被害を伝えることで、該当する口座の取引停止措置を講じてもらえます。
多くの金融機関では、振り込め詐欺被害専用の相談窓口を設けており、電話で対応してくれます。
口座凍結が早ければ早いほど、口座内に残る資金が多くなり、返金される可能性も高まります。
凍結された口座は、振り込め詐欺救済法に基づく手続きの対象となり、後日公告が行われます。
金融機関への連絡は、警察への届出と同じくらい重要な初動対応であり、被害発覚後できるだけ早く行うべきです。
必要書類を提出する
口座凍結後、振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金の支払いを受けるためには、正式な申請手続きが必要です。
預金保険機構のウェブサイトで公告された対象口座を確認し、自分が振り込んだ口座が含まれているかをチェックします。
対象口座であれば、振込先の金融機関に対して被害回復分配金支払申請書を提出します。
申請には期限が設けられており、公告開始から60日以内に行う必要があるため、期限を過ぎないよう注意が必要です。
金融機関から被害金の返金がある
申請書類が受理されると、金融機関と預金保険機構によって審査が行われます。
審査では、申請内容の正確性、振込事実の確認、他の被害者との重複がないかなどがチェックされます。
審査が完了すると、対象口座の残高を被害者間で按分し、各被害者への分配金額が決定されます。
返金は申請から半年程度の期間を要することが一般的であり、すぐに返金されるわけではありません。
振り込め詐欺救済法で返金してもらえる金額と時期

被害者が返金を得るまでには時間がかかります。
申請から返金までに半年ほど要する
振り込め詐欺救済法に基づく返金手続きは、申請から実際の支払いまでに時間を要します。
一般的には6か月程度かかることが多く、金融機関および関係機関での審査手続きが関与するためです。
早期の申請は返金可能性を高めるものの、全額返金されるかは口座残高次第であり、複数の被害者がいる場合は按分されるため注意が必要です。
また、手続きの進捗状況は金融機関や警察への問い合わせで確認することが可能です。
金額は振込先の口座残高によって決まる
返金される金額は、犯罪利用口座に振り込まれた資金のうち、残っている残高を上限として決まります。
口座が既に部分的に引き出されている場合は、返金額も減少します。
また、被害者が複数いる場合は、残高を按分して分配されるため、個人の申請額はさらに少なくなることがあります。
振込後の経過時間が長いほど、残高が減っている可能性が高く、返金金額が期待よりも低くなる場合もあります。
したがって、振り込め詐欺被害に気づいたら、なるべく早く申請を行うことが返金額を最大化するために非常に重要です。
振り込め詐欺被害を弁護士に相談するメリット

専門家を介入させることで手続きが有利になります。
加害者へ返還請求できる可能性がある
振り込め詐欺救済法による返金だけでは全額回収できない場合もあります。
その際、弁護士は加害者に対する民事上の不法行為に基づく損害賠償請求や、差押え・仮差押えなどの法的手段を活用して、残りの被害金回収を目指すことが可能です。
さらに、警察捜査や金融機関との調整も並行して進められるため、返金の可能性を最大化できます。
具体的な返金率を書くことはできませんが、全額返金に至るケースも確かにあります。
自己判断で手続きを進めるよりも、弁護士を介入させることで手続きが確実になり、被害者にとって有利な条件で返金を受けられる可能性が高まります。
専門家の支援は、迅速かつ効果的な被害回復に不可欠です。
振り込め詐欺救済法の申請のサポートを受けられる
弁護士に相談することで、振り込め詐欺救済法に基づく返金申請手続きをスムーズに進められます。
申請書類の作成や必要書類の整理、金融機関への提出手続きまで、専門家のサポートを受けられるため、誤記や書類不備による却下リスクを避けることが可能です。
また、複数の被害者が存在する場合の按分計算や手続きの進捗管理も弁護士が代行できます。
さらに、返金手続きに関する疑問点や不明点を事前に相談できるため、安心して申請を進められます。
被害額の回復を確実にするためには、弁護士の介入が大きな助けとなります。
振り込め詐欺救済法とは?

振り込め詐欺救済法とは、正式名称を「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」といい、平成20年6月に施行された被害者救済のための法律です。
振り込んだ口座を停止してくれる
振り込め詐欺救済法の重要な機能のひとつが、犯罪に利用された口座を迅速に凍結する仕組みです。
警察や金融機関が口座の不正利用を確認すると、その口座の取引を停止し、資金の流出を防ぎます。
口座凍結は被害者からの通報や金融機関の独自調査によって行われ、凍結後は口座名義人であっても資金を引き出すことができなくなります。
これにより、犯人が被害金をさらに移動させたり別の犯罪に使用したりすることを防ぐことができます。
口座凍結のタイミングが早ければ早いほど、口座内に残る資金が多くなり、被害者への返金額も増える可能性が高まります。
そのため、詐欺被害に気づいた時点で直ちに警察と振込先の金融機関に連絡することが極めて重要です。
被害額が戻ってくる可能性も
振り込め詐欺救済法を利用することで、振込先の口座に残っている資金から被害額の一部または全部が返金される可能性があります。
ただし、返金額は口座の残高状況と他の被害者の申請状況に左右されるため、必ずしも全額が戻るわけではありません。
預金保険機構の統計によれば、近年の返金率は約88%と比較的高い水準を維持していますが、これは対象となった金額に対する割合であり、個別の被害者がどれだけ回収できるかは事案ごとに異なります。
それでも、何もしなければ一円も戻ってこないため、被害に遭った際は必ず申請を行うべきです。
警察対応は犯人逮捕と口座凍結の支援
警察は振り込め詐欺事件において、犯人の逮捕と口座凍結の両面で重要な役割を果たします。
被害者が警察に被害届を提出すると、警察は事件として捜査を開始し、犯人の特定や逮捕に向けた活動を行います。
同時に、金融機関に対して口座凍結の要請を行い、被害金の流出を防ぐための措置を講じます。
ただし、警察の主な役割は犯罪捜査と犯人の検挙であり、被害金の返金手続き自体は金融機関と被害者の間で進められます。つ
まり、警察は口座凍結のきっかけを作る存在ではありますが、返金の手続きそのものを代行するわけではありません。
被害者は警察への届出とは別に、自ら金融機関に対して被害回復分配金の支払申請を行う必要があります。
振り込め詐欺救済法の対象となる事件の種類

振り込め詐欺救済法は、その名称から振り込め詐欺のみが対象と思われがちですが、実際には振込を利用した幅広い財産犯罪が対象となります。
振り込め詐欺・オレオレ詐欺
振り込め詐欺とは、電話やメール、手紙などを使って相手をだまし、金融機関の口座に現金を振り込ませる詐欺の総称です。
代表的なものとしてオレオレ詐欺があり、親族や警察官、金融機関職員などを装って緊急性を訴え、被害者に振込を促します。
架空請求詐欺は、実際には存在しない料金や債務を請求してくる手口であり、訴訟を起こすなどと脅して支払わせるケースが多く見られます。
これらの詐欺に共通するのは、被害者が金融機関を通じて犯人の口座に送金している点であり、振り込め詐欺救済法の対象となります。
被害に遭った場合は、直ちに警察と金融機関に連絡し、口座凍結と被害回復の手続きを開始することが重要です。
恐喝
恐喝とは、相手を脅迫してお金や財産を奪う犯罪行為です。
暴力団関係者や反社会的勢力を名乗って金銭を要求したり、個人情報や秘密を暴露するなどと脅して振込を強要したりする事案が該当します。
近年では、インターネット上での誹謗中傷や個人情報の公開をちらつかせて金銭を要求する手口も増えています。
恐喝による被害金が金融機関の口座に振り込まれた場合、振り込め詐欺救済法の対象となります。
還付金詐欺
還付金詐欺とは、税金や医療費、保険料などの還付金があると偽り、ATMを操作させて振込を行わせる詐欺です。
犯人は市役所や税務署、年金事務所の職員を名乗り、還付金を受け取るための手続きが必要だと説明します。
被害者は還付金を受け取るつもりでATMを操作しますが、実際には犯人の口座に送金する操作をさせられています。
還付金詐欺も振込を利用した財産犯罪であるため、振り込め詐欺救済法の対象となります。
被害に気づいた時点で速やかに警察と金融機関に連絡し、口座凍結の措置を取ることで被害回復の可能性が高まります。
ヤミ金
ヤミ金とは、貸金業の登録を受けずに違法な高金利で貸付を行う業者のことです。
法定金利を大幅に超える利息を請求し、暴力的な取立てや嫌がらせを行うことで知られています。
ヤミ金への返済として金融機関の口座に振り込んだ資金も、振り込め詐欺救済法の対象となります。
ヤミ金は出資法や貸金業法に違反する犯罪行為であり、借りた側に返済義務はありません。
ヤミ金被害に遭った場合は、警察や弁護士に相談し、法的措置を取ることが重要です。
振り込め詐欺救済法で対象外となるケース

振り込め詐欺救済法は被害者救済の重要な制度ですが、すべての被害が対象となるわけではありません。
ここでは、どのような場合に振り込め詐欺救済法の適用が受けられないのか、具体的な条件と理由について詳しく説明します。
犯罪利用口座の残高が1,000円未満の場合
振り込め詐欺救済法では、犯罪利用口座の残高が1,000円未満の場合、被害回復分配金の支払対象から除外されます。
これは、少額の残高に対して手続きを行うことが、事務コストに見合わないと判断されているためです。
そのため、口座凍結が行われても残高がわずかしかない場合は、被害者への返金が事実上不可能となります。
この点は制度の限界として理解しておく必要があり、犯人が資金を素早く引き出してしまった場合には救済が困難になることを意味します。
現金を手渡しした場合
振り込め詐欺救済法は、あくまで金融機関の口座への振込を利用した犯罪を対象としています。
したがって、犯人に現金を直接手渡しした場合や、レターパックやゆうパックなどで現金を郵送した場合は対象外となります。
また、商品券やギフトカードでの支払いなども振り込め詐欺救済法の適用を受けることができません。
これは、法律が「預金口座への振込」という特定の取引形態を前提に設計されているためです。
近年、詐欺グループは振り込め詐欺救済法の適用を逃れるため、現金手渡しや電子マネーでの支払いを要求するケースが増えています。
被害者としては、どのような支払方法を求められた場合でも、まず詐欺を疑い、警察や専門家に相談することが重要です。
75%の返金はクレジットカード被害の金額
インターネット上で「振り込め詐欺救済法で75%返金される」という情報が見られることがありますが、これは誤解を招く表現です。
75%という数字は、クレジットカードの不正利用被害における補償割合を指しており、振り込め詐欺救済法における返金率とは異なります。
振り込め詐欺救済法による返金額は、口座凍結時点での残高と被害者数によって決まるため、一律に75%が返金されるわけではありません。
預金保険機構の統計によれば、返金率は近年約88%となっていますが、これは「対象となった金額に対する返金の割合」であり、個々の被害者が被害額の何%を回収できるかとは別の話です。
口座に十分な残高があり被害者が少なければ全額回復できることもあれば、残高が少なく被害者が多ければ数%しか戻らないこともあります。
振り込め詐欺の返金に関する3つの注意点

返金手続きにおいて、次の点に特に注意してください。
必ずしも全額返金されるわけではない
振り込め詐欺救済法による返金は、振込先口座に残っている資金の範囲で行われるため、全額が返金される可能性は低いです。
口座に資金がほとんど残っていなかったり、複数の被害者が存在する場合は、残高を按分して分配されます。
そのため、被害額の大部分が回収できないケースも少なくありません。被害者は、返金可能性を理解した上で、早期に警察や金融機関に連絡し、必要書類を揃えて申請することが重要です。
全額返金が期待できないことを念頭に置き、手続きを進めることが被害回復の現実的な方法です。
証拠がないと返金されない可能性がある
返金手続きを進める際には、振込証明書や通帳、振込先の口座情報などの証拠が必須です。
証拠が不十分な場合、金融機関は申請を却下する可能性があります。
特に、振込後に時間が経過していたり、明細書の写しがない場合は、返金が認められないことがあります。
そのため、振り込め詐欺被害に気づいた時点で、証拠を確保し、正確な申請書類を提出することが重要です。
迅速かつ証拠を揃えた行動が、返金成功の大きなポイントとなります。
手渡しの場合は返金されない
振り込め詐欺救済法は、口座振込による被害に限定して適用されるため、現金を直接手渡しで支払った場合は返金対象外です。
手渡し被害は、金融機関を介さないため、口座凍結や被害回復分配金の申請ができません。
そのため、返金を受けるには、加害者に対する損害賠償請求や民事訴訟など、別の法的手段を検討する必要があります。
被害発覚後は、警察や弁護士に早急に相談し、可能な法的手段を講じることが重要です。
振り込め詐欺の被害金の返金についてよくある質問

振り込み以外の方法で支払った場合は返金してもらえる?
現金手渡しや電子マネー、商品購入などの方法で支払った場合は返金対象外です。
返金を希望する場合は、加害者に対する民事上の損害賠償請求や、弁護士による法的手続きが必要になります。
振り込み先の金融機関が近くにない場合はどうすれば?
近くに支店がない場合でも、郵送、オンラインで申請できるケースがあります。
まずは振込先金融機関に連絡し、必要書類や手続き方法を確認することが大切です。
まとめ:振り込め詐欺に遭ったら今すぐ警察と弁護士に相談を!

振り込め詐欺に遭ったと気づいたら、迷わず警察と弁護士に相談することが最も重要です。
警察は被害届を受理し、犯人逮捕や口座凍結の手続きを進めてくれます。
弁護士は返金申請のサポートや加害者への返還請求、必要書類の整理など、手続き全体を支援してくれます。
時間が経過するほど、口座からの資金引き出しや証拠の散逸などで返金が難しくなるため、早期対応が被害回復の鍵です。
迅速に行動することで、返金の可能性を最大化し、被害を最小限に抑えられます。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。



