自己破産したら引っ越しできないの?
持ち家がなくなったらどうすれば?
自己破産を検討している方や、すでに手続き中の方にとって、引っ越しができるのかどうかは重要な問題です。
結論としては、自己破産をしても引っ越しは可能です。
自己破産中の引っ越しが制限されるのは、管財事件となった場合の半年~1年間だけです。
本記事では、自己破産における引っ越しの可否、必要な許可の取り方、費用がない場合の具体的な対処法について詳しく解説します。
借金問題で悩んでいる方が、安心して新しい生活への一歩を踏み出せるよう、実践的な情報をお届けします。
目次
自己破産で引っ越しが必要になるケース

自己破産を行う際、引っ越しが避けられない状況がいくつか存在します。
それぞれの状況について、具体的に見ていきましょう。
持ち家が破産者名義の場合
持ち家が破産者本人の名義になっている場合、破産手続きにおいて換価処分の対象となります。
時価20万円以上の価値を持つ財産は原則として処分され、債権者への配当に充てられるためです。
住宅ローンが残っている場合でも、担保権を持つ金融機関が競売や任意売却によって物件を処分することになります。
この結果、破産者は現在の住居を失うことになり、賃貸物件などへの引っ越しが必要になるのです。
賃貸物件の家賃を滞納している場合
賃貸物件に居住している場合でも、家賃を滞納していると賃貸契約を解除される可能性が高くなります。
家賃の滞納は賃貸借契約における重大な契約違反に該当するため、大家から契約解除を求められることがあります。
特に数か月にわたる長期の滞納がある場合、裁判所を通じた明渡し請求を受けることも珍しくありません。
自己破産の手続きを開始したとしても、家賃債務は免責の対象となりますが、契約関係そのものは別問題です。
滞納が続いている状態では居住を継続することが困難になり、新たな住居を探して引っ越す必要が生じます。
収入に対し家賃が高すぎる場合
収入に対して家賃が明らかに高額すぎる場合、破産管財人により賃貸借契約が解除される可能性があります。
家賃の目安は手取り収入の3分の1程度とされることが一般的です。
手取りに占める家賃の割合が高いほど、契約解除のリスクが高まるのです。
自己破産中・前後の引っ越しはできる?

自己破産における引っ越しの可否は、手続きの進行段階によって大きく異なります。
ここでは、各段階における引っ越しの取り扱いについて詳しく説明します。
管財事件の手続き中:裁判所の許可が必要
管財事件として進行している場合、手続き中の引っ越しには裁判所からの許可が必須となります。
破産法第37条において、破産者は裁判所の許可なく居住地を離れることができないと定められているためです。
管財事件では破産管財人が選任され、破産者の財産状況や生活状況を詳細に調査します。
引っ越しによって破産者と連絡が取れなくなったり、財産を隠匿されたりすることを防ぐため、居住制限が設けられているのです。
正当な理由があれば、ほとんどのケースで許可が下りるため、過度に心配する必要はありません。
同時廃止の手続き中:引っ越し自由
同時廃止事件扱いになった場合、手続き中でも引っ越しは基本的に自由です。
同時廃止とは、換価すべき財産がほとんど存在しないケースで選択される簡易な手続きです。破産管財人も選任されないため、居住制限も課されません。
ただし、代理人弁護士や裁判所への連絡先の変更届は速やかに提出する必要があります。
郵便物が届かなくなったり、連絡が取れなくなったりすると、手続きに支障をきたす可能性があります。
また、引っ越し費用が過大である場合、財産の浪費と見なされる恐れもあるため、必要最小限の費用で行うことが望ましいです。
自己破産の手続き前後:引っ越し自由
自己破産の申立てを行う前、または免責許可が確定した後の期間については、引っ越しに関する制限は一切ありません。
手続き前は通常の生活と同様に自由に居住地を変更できます。
ただし、申立て直前の引っ越しで過大な費用を使った場合、財産の不当な減少と判断されることがあるため注意が必要です。
免責許可決定が確定した後は、すべての制限が解除されるため、完全に自由に引っ越しができます。
しかし、賃貸物件の入居審査においては、金融ブラックリスト登録されているため、審査に通りにくくなります。
自己破産(管財事件)手続き中に引っ越しをする流れ

管財事件における引っ越しには、適切な手順を踏む必要があります。
ここでは、具体的な流れを順を追って説明します。
破産管財人に許可をもらう
引っ越しの必要性が生じた場合、まず最初に破産管財人に相談し、転居の理由を説明する必要があります。
破産管財人は破産者の財産管理や手続き進行を監督する立場にあるため、引っ越しについても事前に報告し了承を得ることが求められます。
破産管財人は提示された理由の正当性や、引っ越し費用の妥当性を検討します。
財産隠匿や逃亡の意図がないことを示すためにも、誠実に状況を説明することが大切です。
破産管財人が転居の必要性を認めれば、次のステップへと進むことができます。
破産管財人が転居許可申請を裁判所に提出
破産管財人の了承が得られたら、破産管財人が裁判所に対して転居許可の申請書を提出します。
この申請書には、転居の理由、転居先の住所、引っ越し費用の見積もりなどが記載されます。
裁判所は提出された申請内容を審査し、転居が妥当であるかどうかを判断します。
審査では、転居の必要性が客観的に認められるか、費用が適正か、手続き進行に支障がないかといった点がチェックされます。
申請から許可までの期間は通常数日から2週間程度ですが、裁判所の状況によって異なることがあります。
許可が下りたら引っ越しが可能になる
裁判所から正式に転居許可が下りれば、引っ越しを実行することができます。
許可書が発行された時点で、法的には居住地変更が認められた状態となります。
引っ越しを行う際は、新しい住所を速やかに破産管財人、裁判所、代理人弁護士に通知する必要があります。
郵便局への転送届も忘れずに提出し、重要な書類が確実に届くようにしておきましょう。
許可を得て正当な手続きを踏めば、問題なく引っ越しを完了することができます。
無許可の引っ越しは免責不許可になる可能性
裁判所の許可なく勝手に引っ越しをした場合、極めて深刻な結果を招く恐れがあります。
居住制限違反は破産法に定められた義務違反に該当し、免責不許可事由となる可能性があるのです。
免責が許可されなければ、借金の返済義務が残り続けることになり、自己破産の手続きを行った意味がなくなってしまいます。
また、破産管財人や裁判所との信頼関係も損なわれ、その後の手続きが非常に困難になります。
どうしても緊急に引っ越す必要がある場合でも、必ず事前に破産管財人や代理人弁護士に相談し、適切な手続きを踏むことが絶対に必要です。
自己破産による入居審査への影響

自己破産をした後に新しい賃貸物件へ引っ越す際、入居審査において何らかの影響を受けるのではないかという不安を持つ方は多いでしょう。
実際のところ、審査の種類によって影響の度合いは大きく異なります。
大家による入居審査には影響はない
大家が直接行う入居審査においては、自己破産の事実が影響を与えることはほとんどありません。
大家は個人の信用情報機関にアクセスする権限を持っていないためです。
入居審査で重視されるのは、現在の収入や職業の安定性、保証人の有無といった要素です。
自己破産をしていても、安定した収入があり家賃の支払い能力を示すことができれば、審査に通過する可能性は十分にあります。
大家にとって最も重要なのは、毎月確実に家賃を支払ってもらえるかどうかという点です。
ただし、家賃保証会社の利用が条件となっている場合は、話が別になります。
家賃保証会社の審査に落ちる可能性大
家賃保証会社が関与する物件の場合、自己破産の影響を受ける可能性が高くなります。
特に信販系の保証会社は、信用情報機関に照会を行うため審査に通りにくくなります。
信販系保証会社は、クレジットカード会社や信販会社が運営しており、入居審査時に申込者の信用情報をチェックします。
自己破産から7年程度は信用情報に事故情報が登録されているため、この期間中は審査落ちのリスクが高いのです。
しかし、独立系の保証会社であれば審査基準が異なる場合もあります。
自己破産後に引っ越しをするときの注意点3つ

自己破産後の引っ越しでは、通常とは異なるいくつかの注意点があります。
実践的な対策を順番に見ていきましょう。
家賃保証会社の系列を確認(信販系・独立系)
物件を探す際には、家賃保証会社がどの系列に属するかを必ず確認しましょう。
信販系保証会社は。自己破産の記録が残っている間は審査が厳しくなります(信用情報機関と連携しているため)。
一方、独立系の保証会社は信用情報機関を利用せず、独自の基準で審査を行います。
独立系保証会社は、現在の収入や勤務先の情報を重視する傾向があり、過去の信用情報よりも現在の支払い能力を評価します。
このため、自己破産後でも審査に通過できる可能性が高いのです。
不動産会社に問い合わせる際は、利用する保証会社の種類を事前に確認し、独立系を扱っている物件を中心に探すことで、効率的に住居を見つけることができます。
審査に通りやすい物件を紹介してもらう
不動産会社の中には、信用情報に問題がある方向けの物件を取り扱っているところもあります。
こうした不動産会社に相談することで、審査に通りやすい物件を効率的に探すことができます。
正直に自己破産の事実を伝えた上で、それでも借りられる物件を紹介してもらうのが賢明です。
不動産会社には様々なネットワークがあり、保証会社不要の物件や、審査基準が緩やかな大家の物件などの情報を持っています。
複数の不動産会社に相談し、親身になって対応してくれる業者を見つけることが成功への近道です。
親族に連帯保証人になってもらう
信用力のある親族に連帯保証人を依頼することで、入居審査のハードルを下げることができます。
保証会社を利用する代わりに、親や兄弟姉妹などの親族が連帯保証人となることで、本人の信用が低くても審査に通る可能性が上がるのです。
ただし、連帯保証人には重い責任が伴うため、依頼する際は十分に説明し理解を得ることが必要です。
万が一家賃を滞納した場合、保証人に迷惑をかけることになるため、絶対に支払いを怠らないという強い決意を持つことが大切です。
公営住宅も検討する
民間の賃貸物件で審査に通りにくい場合、公営住宅を選択肢に入れることも有効です。
公営住宅は地方自治体が運営する住宅で、収入が一定基準以下の世帯を対象としています。
入居審査では信用情報機関への照会は行われず、主に収入や家族構成などが考慮されます。
自己破産の事実が審査に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
家賃も民間の物件に比べて安価に設定されているため、生活再建を目指す上で大きな助けとなります。
引っ越しの入居審査で重視されるポイント

入居審査では、大家や管理会社が様々な角度から入居希望者を評価します。
自己破産をした方でも、これらのポイントをしっかり押さえることで、審査通過の可能性を高めることができます。
本人の支払い能力
入居審査で最も重視されるのは、現在の収入と安定性です。毎月確実に家賃を支払える能力があるかどうかが判断の中心となります。
一般的に、家賃は月収の3分の1以下が望ましいとされており、この基準を満たしていることが重要です。
保証人の信用力
連帯保証人を立てる場合、その保証人の信用力も重要な審査ポイントになります。
保証人には安定した収入があり、万が一の際に家賃を代わりに支払える経済力が求められます。
一般的に、保証人の年収は家賃の年額の3倍以上が目安とされています。
また、保証人自身が信用情報に問題を抱えていないことも確認されます。
保証人の勤務先や勤続年数、年齢なども総合的に評価されるため、できるだけ信用力の高い方に依頼することが重要です。
自己破産後の引っ越しで費用がない場合は?

引っ越しには敷金、礼金、仲介手数料、引っ越し業者の費用など、まとまった金額が必要です。
ここでは、費用がない場合の具体的な対処法について解説します。
自由財産の中から捻出する必要がある
自己破産では一定以上の財産は処分されますが、生活に必要な最低限の財産は手元に残すことが認められています。
これを自由財産といいます。
自己破産において、99万円以下の現金と20万円以下の預貯金については、処分の対象外となります。
この範囲内のお金を引っ越し費用に充てることは認められています。
例えば、手元に現金で50万円ある場合、その中から引っ越し費用を支払うことは何ら問題ありません。
債権者が費用を負担してくれることも(持ち家の任意売却)
持ち家を手放す場合、住宅ローンを組んでいた金融機関など、債権者が引っ越し費用を負担してくれるケースがあります。
これは任意売却という方法で不動産を売却する際に、売却代金の中から引っ越し費用を配分してもらう仕組みです。
競売ではなく任意売却を選択すると、債権者にとっても高値で売却できる利点があるため、引っ越し費用の一部を認めてもらえる可能性があります。
金額は交渉次第ですが、10万円から30万円程度が相場とされています。
任意売却を検討している場合は、専門の不動産業者や弁護士に相談し、引っ越し費用の配分についても交渉してもらうことをお勧めします。
自己破産手続き中にしてはいけないこと

自己破産の手続き中は、免責を確実に得るために避けるべき行動があります。
手続き中は慎重に行動し、以下の行為を絶対に避けることが必要です。
新たな借金
自己破産の手続き中に新たな借金をすることは、絶対に避けなければなりません。
破産手続き開始後の借金は、詐欺的な借入と見なされ、免責不許可事由に該当します。
借金を踏み倒す意図があったと判断されるためです。
クレジットカードの利用や消費者金融からの借入はもちろん、友人や知人からの借金も控えるべきです。
生活費が不足してどうしても必要な場合は、破産管財人や代理人弁護士に相談し、適切な方法を検討してもらいましょう。
新たな借金は免責を危うくするだけでなく、生活再建の妨げにもなります。
無許可での旅行
管財事件の手続き中は、裁判所の許可なく居住地を離れることが制限されています。
これは引っ越しだけでなく、旅行や長期出張なども含まれます。
無断で県外に出たり、海外旅行に行ったりすることは居住制限違反となり、免責不許可の理由になる可能性があります。
仕事の都合でどうしても遠方に行く必要がある場合や、親族の冠婚葬祭で地方に行かなければならない場合は、必ず事前に破産管財人に相談し、裁判所の許可を得る必要があります。
手続き中は慎重に行動しましょう。
ギャンブル
自己破産の手続き中にギャンブルを行うことは、極めて深刻な問題です。
ギャンブルによる浪費は免責不許可事由の代表例であり、手続き中にギャンブルを続けていることが発覚すれば、免責が認められない可能性が非常に高くなります。
パチンコ、競馬、競輪、カジノなど、あらゆる形態の賭博行為を避けなければなりません。
破産に至った原因がギャンブルであった場合、手続き中は特に厳しく見られます。
たとえ少額であっても、手続き中のギャンブルは絶対に避けるべき行為です。
まとめ:管財事件の手続き中以外なら引っ越しは自由

自己破産における引っ越しは、管財事件として進行している場合のみ裁判所の許可が必要となります。
破産管財人に相談し、正当な理由があれば通常は許可が得られるため、過度に心配する必要はありません。
同時廃止事件や手続きの前後であれば、引っ越しは基本的に自由です。
ただし、連絡先の変更届を忘れずに提出し、手続きに支障が出ないよう配慮することが大切です。
引っ越し費用については、自由財産の範囲内で賄うことになりますが、持ち家の任意売却時に債権者から配分してもらえるケースもあります。
自己破産は人生の終わりではなく、新しい生活への再出発です。正しい知識を持って適切に対応すれば、必ず明るい未来が開けます。
どうしても引っ越し費用を準備できない…という方は
引っ越し費用が全く準備できない状況でも、決して諦める必要はありません。
まずは法律の専門家である弁護士に相談することが最善の解決策です。
弁護士は多くの自己破産案件を扱った経験があり、費用がない状況でも引っ越しを実現する方法を熟知しています。
例えば、任意売却における債権者との交渉、初期費用が少ない物件の探し方、公的支援制度の活用方法など、具体的なアドバイスを受けることができます。
自己破産は人生の再出発のための制度です。一人で悩まず、専門家の力を借りることで、必ず道は開けます。
借金問題と引っ越しの両方を解決するために、無料相談を受け付けている法律事務所に連絡してみましょう。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

