資金繰りに困った企業がファクタリングを利用する機会が増えていますが、その裏側でファクタリング詐欺が横行している実態をご存知でしょうか。
実は、あなたが利用しようとしているファクタリング会社が悪徳業者である可能性や、知らず知らずのうちに自社がファクタリング詐欺の加害者となってしまう危険性があります。
本記事では、ファクタリング詐欺の具体的な手口から罰則、そして被害に遭わないための見極め方まで徹底解説します。
警察や弁護士への相談が必要なケースについても触れていますので、ファクタリングを検討中の経営者の方は必読です。
目次
ファクタリング詐欺とは?手口一覧

ファクタリング詐欺とは、売掛債権を利用した資金調達の仕組みを悪用し、不正に金銭を騙し取る行為を指します。
利用者側が業者を騙すパターンと、悪徳業者が利用者を騙すパターンの両方が存在し、いずれも刑事罰の対象となる重大な犯罪です。
ここからは、実際に発生しているファクタリング詐欺の代表的な手口を5つ紹介します。
同じ売掛債権を複数の業者へ売却
同一の売掛債権を複数のファクタリング業者に売却する行為は、典型的なファクタリング詐欺の手口です。
本来、売掛債権は一度譲渡すれば所有権が移転するため、再度別の業者に売却することは法的に許されません。
しかし、資金繰りに困窮した企業が短期間に複数の業者から資金を調達しようとして、この手口を使うケースが後を絶ちません。
この行為は詐欺罪や横領罪に該当する可能性が高く、警察に刑事告訴される危険性があります。
請求金額を水増し・虚偽請求
実際の売掛金額よりも高い金額を記載した請求書を作成し、ファクタリング業者に提出する手口も横行しています。
例えば、実際は100万円の売掛金であるにもかかわらず、請求書上では200万円と記載して高額な資金を調達しようとする行為です。
この場合、実際には存在しない債権部分について不正に資金を得ることになるため、明確な詐欺行為とみなされます。
取引先との実際の契約内容との齟齬が発覚すれば、刑事告訴を受ける可能性が極めて高くなります。
架空の取引で売掛金をねつ造
実在しない取引や取引先をでっち上げて、架空の売掛債権を作り出す手口は最も悪質なファクタリング詐欺の一つです。
知人に協力を依頼して架空の会社を設立し、存在しない商取引の証拠書類を偽造するといった手の込んだケースも報告されています。
この行為は詐欺罪に加えて私文書偽造罪にも該当し、複数の罪が重なることで刑罰がより重くなる可能性があります。
警察の捜査が入れば比較的容易に発覚するため、絶対に手を出してはならない犯罪行為です。
不良債権を現金化
回収見込みのない不良債権や、すでに回収不能が確定している売掛金をファクタリング業者に売却する行為も詐欺に該当します。
ファクタリング契約では、売掛金が回収できない場合のリスク負担について明確に定められていますが、最初から回収不能と知りながら売却することは詐欺的行為です。
特に償還請求権なしの契約で不良債権を売却した場合、業者側に損害が発生するため刑事告訴される可能性が高まります。
債権の回収可能性について虚偽の説明をすることも、詐欺罪の構成要件を満たす行為となります。
粉飾決算で信用を偽装
自社の財務状況を実際よりも良く見せるために粉飾決算を行い、その資料をもとにファクタリング契約を結ぶ行為も詐欺の一種です。
ファクタリング業者は利用企業の信用状況を審査して手数料率や契約条件を決定するため、虚偽の財務情報を提示することは業者を欺く行為に当たります。
粉飾決算自体も会社法違反などの別の罪に問われる可能性があり、複数の法的リスクを抱えることになります。
弁護士に相談すれば、このような行為が刑事告訴の対象となることを明確に指摘されるでしょう。
ファクタリング詐欺が発覚すると罰則は?

ファクタリング詐欺を行った場合、その手口や悪質性に応じて複数の刑事罰が科される可能性があります。
単なる民事上の契約違反では済まず、刑事事件として警察の捜査対象となり、最終的には刑事告訴を経て起訴される危険性が高いのです。
ここでは、ファクタリング詐欺に関連して問われる可能性がある主な3つの罪とその罰則について説明します。
詐欺罪
ファクタリング詐欺で最も適用される可能性が高いのが刑法第246条の詐欺罪です。
詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立し、10年以下の懲役という重い刑罰が定められています。
架空の売掛債権を作り出したり、同じ債権を複数の業者に売却したりする行為は、まさにこの詐欺罪の典型例です。
警察に被害届を出されて刑事告訴された場合、証拠が揃っていれば逮捕・起訴される可能性が非常に高く、実刑判決を受ける危険性もあります。
横領罪
すでに他の業者に譲渡済みの売掛債権を、自己の所有物であるかのように扱って別の業者に売却する行為は横領罪に該当します。
刑法第252条の横領罪は、自己の占有する他人の物を横領した場合に成立し、5年以下の懲役が科されます。
ファクタリングでは債権譲渡により所有権が業者に移転しているため、その後の債権は既に他人の物という扱いになります。
それを自分の物として再度売却すれば横領罪が成立し、弁護士を通じて刑事告訴される可能性が高まります。
私文書偽造罪
架空の請求書や契約書、取引先の印鑑を偽造した書類などを作成してファクタリング契約を結んだ場合、私文書偽造罪が成立します。
刑法第159条の私文書偽造罪は、3ヶ月以上5年以下の懲役という刑罰が定められており、偽造した文書を実際に使用すれば偽造私文書行使罪も加わります。
さらに、偽造文書を使って金銭を騙し取れば詐欺罪も併せて成立するため、複数の罪が重なって刑罰が加重される可能性があります。
警察の捜査では文書鑑定や取引先への裏取り調査が行われるため、偽造の事実は高確率で発覚します。
悪徳業者によるファクタリング詐欺の事例

ファクタリング詐欺は利用者側が業者を騙すケースだけでなく、悪徳業者が利用者を騙すパターンも数多く存在します。
資金繰りに困窮している企業の弱みにつけ込み、違法な高金利や不当な手数料を要求する業者が後を絶ちません。
ここでは、悪徳業者による典型的なファクタリング詐欺の事例を3つのカテゴリーに分けて紹介します。
詐欺罪にあたる事例
悪徳業者によるファクタリング詐欺で最も多いのが、ファクタリングを装った実質的な貸金業務を行うケースです。
債権譲渡契約という形式をとりながら、実際には高金利での貸付を行い、返済できなければ法外な遅延損害金を請求する手口が横行しています。
また、契約時に提示した条件と異なる金額しか振り込まず、差額について不透明な手数料として徴収する業者も存在します。
このような被害に遭った場合は、速やかに警察や弁護士に相談し、刑事告訴を検討する必要があります。
横領罪にあたる事例
ファクタリング契約後、売掛先から入金があったにもかかわらず、それを利用者に返還せず着服してしまう悪徳業者も存在します。
3者間ファクタリングの場合、本来は売掛先から直接業者に支払われるべきですが、2者間ファクタリングでは一旦利用者が受け取った売掛金を業者に支払う形になります。
この仕組みを悪用し、業者側が正当な理由なく返還すべき金額を着服するケースが報告されています。
このような行為は横領罪に該当する可能性があり、被害者は警察への被害届提出や弁護士を通じた刑事告訴を検討すべきです。
私文書偽造罪にあたる事例
悪徳業者が利用者の署名や印鑑を無断で使用し、契約書や債権譲渡通知書などを偽造するケースも発生しています。
契約内容を後から改ざんしたり、利用者が同意していない追加条項を勝手に書き加えたりする悪質な手口です。
特に、債権譲渡通知を偽造して取引先に送付し、本来支払われるべき売掛金を横取りする事例が問題となっています。
このような被害に遭った場合、偽造された文書を証拠として警察に届け出ることで、業者を私文書偽造罪および詐欺罪で刑事告訴できる可能性があります。
ファクタリング詐欺に遭わないための見極め方

ファクタリング詐欺の被害に遭わないためには、契約前に業者の信頼性をしっかりと見極めることが不可欠です。
資金繰りに困っているときほど焦って判断しがちですが、悪徳業者は正にそのような心理状態につけ込んできます。
ここでは、優良なファクタリング会社と悪徳業者を見分けるための6つのチェックポイントを紹介します。
手数料は相場通りか?
ファクタリングの手数料相場は、2者間ファクタリングで10%から20%程度、3者間ファクタリングで1%から9%程度が一般的です。
これを大きく上回る手数料を提示してくる業者は、貸金業法に違反する違法な高金利貸付を行っている可能性があります。
逆に、相場よりも極端に低い手数料を提示する業者も要注意で、契約後に追加費用を請求してくるケースがあります。
複数の業者から見積もりを取り、相場と比較することで適正な手数料かどうかを判断しましょう。
所在地に会社が実在しているか?
ファクタリング会社の所在地が実在するかどうかは、信頼性を判断する重要な要素です。
ウェブサイトに記載されている住所を確認し、可能であれば実際に訪問するか、少なくともインターネットの地図サービスで建物の存在を確認しましょう。
バーチャルオフィスや私書箱だけを所在地としている業者は、夜逃げのリスクが高く信頼性に欠けます。
警察に相談しても所在が不明では捜査が困難になるため、実体のある事務所を構えている業者を選ぶことが重要です。
連絡先、代表者名などの情報は記載されているか?
信頼できるファクタリング会社であれば、ウェブサイトや契約書に代表者名、固定電話番号、メールアドレスなどの連絡先が明記されています。
携帯電話番号しか記載されていない、代表者名が明示されていないといった業者は、問題が発生した際に連絡が取れなくなる危険性があります。
また、会社の登記情報を法務局で確認することで、実在する法人かどうかを調べることも可能です。
万が一詐欺被害に遭った場合に警察への刑事告訴や弁護士への相談がスムーズに進むよう、業者の基本情報は必ず確認しておきましょう。
やり取りはオンラインで完結しないか?
全ての手続きをオンラインやメールだけで完結させようとする業者には注意が必要です。
優良なファクタリング会社であれば、初回契約時には対面での面談や本人確認を行うのが一般的です。
対面を避けたがる業者は、身元を明かしたくない事情があったり、後で問題が発生した際に逃げやすい状況を作っておきたいという意図がある可能性があります。
少なくとも電話での直接対話を行い、担当者の対応や説明内容の丁寧さを確認することをお勧めします。
口座名は個人名義ではないか?
ファクタリング会社が指定する振込先口座が個人名義になっている場合は、高確率で詐欺業者と判断できます。
正規の法人であれば必ず法人名義の口座を使用するため、個人名義の口座を指定すること自体が異常事態です。
仮に「代表者の個人口座を使用している」という説明を受けても、それは正当な理由にはならず、むしろ警察への届出を逃れるための手段である可能性が高いです。
振込先口座の名義は契約前に必ず確認し、個人名義であれば取引を中止して弁護士に相談することを強くお勧めします。
契約書に不利・不明な点はないか?
ファクタリング契約書の内容を詳細に確認し、不利な条項や不明瞭な文言がないかをチェックすることは極めて重要です。
特に、償還請求権の有無、手数料以外の費用、期限の利益喪失条項、遅延損害金の利率などは入念に確認する必要があります。
法外な遅延損害金や、理由なく一括返済を求められる条項が含まれている場合は、実質的な違法貸付である可能性があります。
契約内容に少しでも疑問を感じたら、署名押印する前に弁護士のリーガルチェックを受けることで、後々の刑事告訴や民事訴訟のリスクを回避できます。
まとめ:相見積を取って優良なファクタリング会社を選定しよう

ファクタリング詐欺は、自社が加害者になるケースと被害者になるケースの両方が存在し、いずれも深刻な法的リスクを伴います。
悪徳業者の被害に遭った場合、資金を失うだけでなく取引先との信頼関係まで損なわれる深刻な事態に発展します。
これらのリスクを避けるためには、複数のファクタリング会社から相見積もりを取り、手数料の相場や業者の信頼性をしっかりと比較検討することが不可欠です。
もし少しでも不審な点や違法性を感じた場合は、契約を進める前に警察や弁護士に相談することを強くお勧めします。
適切な知識と慎重な業者選定によって、ファクタリングを安全かつ効果的な資金調達手段として活用してください。
ファクタリング詐欺に巻き込まれていませんか?
もし現在進行形でファクタリング取引に不安を感じていたり、すでに詐欺被害に遭っている可能性がある場合は、すぐに行動を起こす必要があります。
警察への相談は最寄りの警察署または都道府県警察の相談窓口で受け付けており、刑事告訴を視野に入れた相談も可能です。
また、法的な観点からの助言が必要な場合は、企業法務や金融取引に詳しい弁護士に相談することで、民事・刑事の両面から最適な対応策を提案してもらえます。
時間が経過するほど証拠の確保が難しくなり、被害回復の可能性も低下するため、疑問を感じたらすぐに専門家の力を借りることが重要です。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

