原野商法の二次被害が再び増加しており、過去に被害を受けた方やその相続人が新たな詐欺に遭うケースが後を絶ちません。
原野商法とは、1960年代から1980年代にかけて横行した悪徳商法です。
被害者が高齢化した今、「価値のない土地を高額で買い取る」という甘い言葉に騙され、さらなる金銭を詐取される事例が全国で報告されています。
国民生活センターへの相談件数は2018年に1,500件を超え、被害額も一件あたり数百万円に達しています。
本記事では、原野商法の手口と実際の事例、特に被害が多い北海道の状況、買った土地の適切な処分方法について詳しく解説します。
原野商法の二次被害が増えている

近年、原野商法の被害者を狙った二次被害が深刻化しています。
被害者の多くが高齢化し、所有する土地の処分に困っている状況につけこんだ新たな詐欺手口が横行しているからです。
特に2010年代以降、相談件数が急増し、一人暮らしの高齢者や相続に直面した子ども世代が標的になっています。
かつての被害者に対して再び勧誘する手口
原野商法の二次被害では、過去に原野を購入した被害者に対して、業者が「価値のない土地を高額で買い取る」と持ちかけ、測量費や整地費などの名目で金銭を請求します。
実際には、保有している土地を売却する代わりに、さらに高額な別の原野を購入させられる「下取り型」の手口が主流になっているからです。
業者は過去の顧客リスト、いわゆる「カモリスト」を使って被害者を特定し、「子どもに負担をかけたくない」「元気なうちに処分したい」という心理につけこみます。
契約書の内容を詳しく説明せず、「税金対策になる」「転売先が決まっている」などと言葉巧みに誘導し、気づいたときには新たな契約を結ばされているケースが多いです。
年300件弱の相談が寄せられている
国民生活センターへの原野商法二次被害の相談は、2019年以降減少傾向にあるものの、依然として年間数百件の相談が寄せられています。
被害が継続しているのは、被害者の情報が業者間で出回り続けているからです。
2018年までは年間1,000件を超える相談があり、2017年度には前年比約1.8倍の1,196件にまで増加しました。
一件あたりの平均被害額は、2019年度には約487万円に達し、近年でも100万円を超える高額な被害が続いています。
被害者の約9割が60歳以上、特に70歳代が約4割を占めており、高齢者を狙った悪質な詐欺として問題視されています。
原野商法とは?

原野商法とは、ほとんど価値のない山林や原野を、将来値上がりすると偽って高値で売りつける悪徳商法です。
当時は情報が少なく、「開発計画がある」「新幹線が通る予定」などの虚偽の説明を信じてしまう人が後を絶ちませんでした。
値上がりの見込みがない土地を購入させる手口
原野商法では、実際には建設計画も道路整備の予定もない山林や原野を、「近く大規模開発が行われる」「将来必ず値上がりする」と虚偽の説明をして販売します。
業者が消費者を騙すために、架空の開発計画や有名人の推薦文を使った巧妙な手口を用います。
購入価格は1区画30万円から100万円程度が相場で、持ち家のある収入が安定した人々がターゲットにされました。
多くの被害者は、業者の勧誘を受けて現地を確認せずに契約してしまい、実際に土地を見に行くことすら難しい場所に原野があることを後から知る結果になります。
購入した土地は公図上では区画整理されていても、実際には道路もなく、場所の特定すら困難な山林や原野がほとんどです。
主に北海道や栃木の山奥で横行
原野商法は、特に北海道の山奥や栃木県などの遠隔地で多数発生しました。
北海道は面積が広く未開の地が多いため、原野商法の対象となる土地が豊富にあったからです。
北海道では、ニセコ町、倶知安町などの羊蹄山周辺、苫小牧市周辺、千歳市や札幌市丘珠町周辺に原野商法の土地が集中しています。
1973年に北海道新幹線の計画が公示されると、実際には関係のない土地について「新幹線が開通する」として販売する手口が横行しました。
北海道で持ち家を所有する人の5件に1件程度が、持ち家以外に山林を所有しているというデータもあり、いかに原野商法が広範囲に行われていたかがわかります。
札幌の司法書士によると、相続相談の5件に1件は原野や山林を所有している方からの相談であり、北海道特有の深刻な問題となっています。
原野商法の勧誘方法3選

原野商法の二次被害における勧誘方法には、いくつかの典型的なパターンがあります。
手口を知っておくことで、二次被害を未然に防ぐことができます。
「あなたの土地を高く買い取ります」
「保有している原野を高額で買い取りたい」という電話勧誘は、原野商法二次被害の最も典型的な手口です。
売却を希望する被害者の心理につけこみ、契約後に予想外の費用を請求したり、別の土地購入契約に誘導したりします。
業者は「買い手が見つかった」「特別な投資家が興味を持っている」などと説明し、被害者に期待を抱かせます。
しかし実際には、売却代金が入る前に「測量が必要」「整地費用がかかる」「地盤調査が必須」といった名目で、数十万円から数百万円の支払いを求められます。
「山林を購入したい人がいる」
「中国人やオーストラリア人があなたの土地を欲しがっている」という勧誘も、近年増加している手口の一つです。
外国人投資家の存在をほのめかすことで信憑性を持たせ、土地の管理委託契約を結ばせて管理費用を詐取するからです。
業者は「外国人に売却するための管理が必要」と説明し、月々の管理費用や契約金を請求します。
しかし実際には、対象となる土地は森林法による開発規制があり、外国人どころか日本人でも利用できない場所がほとんどです。
管理契約を結んでも買い手が現れることはなく、支払った管理費用は戻ってきません。
「滞納している管理費を払ってください」
「別荘地の管理費が滞納されている」という名目で金銭を請求する手口も報告されています。
実際には管理組合が存在しない土地や、管理費の支払い義務がない土地について、虚偽の請求を行います。
業者は「このままでは法的措置を取る」「他の所有者に迷惑がかかる」などと脅迫的な言葉を使い、被害者を焦らせます。
原野商法で販売された土地の多くは、そもそも管理組合が存在せず、固定資産税もかからない無価値な土地です。
突然の請求に対しては、すぐに支払わず、まず自治体や消費生活センターに確認することが重要です。
原野商法に遭ってしまったら?主な相談先

原野商法や二次被害に遭った場合、適切な相談先に連絡することで被害を最小限に抑えられる可能性があります。
一人で悩まず、早めに相談することが解決への第一歩です。
消費者センターに相談する
消費生活センターは、原野商法を含む消費者トラブル全般の相談を無料で受け付ける公的機関です。
消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながります。
相談員は、クーリングオフの方法や契約内容の問題点について助言し、必要に応じて事業者との交渉も行います。
ただし、消費生活センターによる「あっせん」は法的な強制力を伴うものではなく、あくまで消費者と事業者の話し合いを支援するものです。
弁護士の無料相談を利用する
法的な解決が必要な場合や、消費生活センターでの対応が難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は法的な観点から契約の有効性を判断し、詐欺罪での刑事告訴や損害賠償請求などの対応を検討できるからです。
多くの弁護士事務所では初回相談を無料または低額で実施しており、気軽に相談できる環境が整っています。
弁護士に依頼する場合は費用がかかりますが、被害の回復や今後のトラブル防止のためには有効な手段です。
原野商法で買った土地はどうすれば?処分の方法

原野商法で購入してしまった土地は、処分が非常に困難ですが、いくつかの方法があります。
ただし、それぞれの方法には条件や費用がかかるため、自分の状況に合った選択が重要です。
不動産会社に依頼する
原野の処分を検討する際、まず不動産会社への相談を試みる価値があります。
一般的な不動産会社では取り扱いが難しい土地でも、専門の買取業者であれば引き取りや売却の可能性があるからです。
不動産会社に依頼する方法には、会社に直接買い取ってもらう「買取」と、買い手を探してもらう「仲介」があります。
原野商法の対象となった土地は資産価値が低いため、一般的な仲介では買い手が見つからない可能性が高いです。
しかし、近年では原野や山林の引き取りを専門とする業者も増えており、有料での引き取りサービスを提供しています。
自治体に寄付する
自治体への寄付は、原野を無償で手放す方法として考えられますが、実際には受け入れてもらえるケースは極めて限定的です。
自治体は管理費用がかかる土地の寄付を基本的に受け付けておらず、特に原野商法の対象となった土地は断られることがほとんどだからです。
北海道内の一部自治体では、条件によっては無償で引き受けるケースもあると報告されていますが、多くの場合は拒否されます。
寄付を検討する場合は、まず土地が所在する自治体の固定資産税課などに問い合わせてみることが必要です。
ただし、期待はせず、他の処分方法も並行して検討することをおすすめします。
「相続土地国庫帰属制度」を利用する
相続土地国庫帰属制度は、相続で取得した土地を国に引き取ってもらえる制度です。
2023年4月から開始されたこの制度により、一定の条件を満たせば、原野商法の土地も国に帰属させることが可能になるからです。
ただし、この制度を利用できるのは、相続または遺贈により土地を取得した人に限られます。
つまり、原野商法の直接の被害者は売買で土地を取得しているため、制度を利用できません。
しかし、被害者の相続人であれば申請が可能で、共有者がいる場合は全員が共同で申請することで利用できます。
申請には一筆あたり14,000円の審査費用と、承認された場合は最低20万円の負担金が必要です。
審査には半年から1年程度かかり、条件を満たさない場合は不承認となる可能性もあります。
マッチングサービスを利用する
土地の売買マッチングサービスは、原野商法の土地を自分の希望価格で売却できる可能性がある方法です。
マッチングサービスでは、原野商法で取得した土地であっても自由に価格を設定でき、インターネット上で広く買い手を募集できます。
ただし、成約するまでに時間がかかる可能性があり、サービスによっては手数料が発生する点に注意が必要です。
また、あまりにも条件が悪い土地は、いくら価格を下げても買い手が現れない可能性もあります。
すぐに処分したい場合は、専門の引き取り業者を利用する方が確実です。
まとめ:契約内容に要注意です!

原野商法の二次被害は、過去の被害者の弱みにつけこんだ悪質な詐欺です。
「土地を高く買い取る」という甘い言葉には絶対に耳を貸さず、不審な勧誘を受けたら必ず家族や専門家に相談してください。
契約書にサインする前に、必ず内容を十分に確認し、即決を迫られても決して応じないことが重要です。
一人で悩まず、消費生活センター(188)や弁護士に相談することで、被害を防ぎ、適切な解決策を見つけることができます。
買った土地の処分は困難ですが、諦めずに専門家に相談することで、必ず道は開けます。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。


