不貞慰謝料は時代遅れ?
配偶者の不貞行為が発覚した際、慰謝料請求を検討する方は少なくありません。
ところが、「不貞慰謝料は時代遅れ」という声も聞かれるようになり、実際に請求すべきか迷う方もいらっしゃるでしょう。
確かに、時代が進み不貞慰謝料が時代遅れと言われるような側面もあります。
しかし、今の日本において不貞慰謝料の請求はまだ時代遅れとは言えません。
依然として100万円~300万円の慰謝料が相場になっているからです。
本記事では、不貞行為における慰謝料請求が時代遅れと言われる背景、時効の仕組み、民法改正による影響、そして慰謝料を請求されたらどう対応すべきかを法律の専門家の視点から詳しく解説します。
不貞行為の慰謝料問題に直面している方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
不貞行為の慰謝料請求が時代遅れと言われる理由

結論として、不貞慰謝料が時代遅れと言われるのは、国際的な価値観の変化が背景にあります。
多くの先進国で不貞行為の慰謝料請求が認められていない
欧米を中心とした先進国では、不貞行為を理由とした慰謝料請求制度が存在しないか、大幅に制限されているケースが多く見られます。
たとえばフランスでは1975年に姦通罪が廃止され、離婚原因としては認められても金銭的な賠償請求は困難です。
アメリカでも多くの州で不貞行為に対する慰謝料請求は認められておらず、離婚時の財産分与において考慮される程度にとどまります。
これらの国では個人の恋愛や性的自由を尊重し、国家や司法が私的な関係に過度に介入すべきではないという思想が根底にあるのです。
日本ではまだまだ現役
一方で日本の民法では、配偶者には貞操義務があると解釈されており、不貞行為は明確に不法行為とされています。
裁判所も一貫して不貞行為による精神的苦痛に対する損害賠償請求を認めており、判例も数多く蓄積されています。
社会通念上も配偶者の裏切り行為として厳しく捉えられる傾向が強く、法律実務においても慰謝料請求は日常的に行われているのが実情です。
したがって国際的には時代遅れと指摘されることがあっても、日本国内では依然として有効な権利救済手段として機能し続けています。
不貞行為における慰謝料時効はパターンによって変わる

不貞行為の慰謝料請求には時効が存在し、一定期間が経過すると権利が消滅します。
民法改正により時効制度自体が見直されましたが、不貞慰謝料の時効についても変更が加えられました。
具体的な時効期間とその起算点を正確に把握することが、適切な権利行使のために不可欠です。
不貞行為の時効は原則3年
不貞行為による慰謝料請求権の時効は、被害者が不貞の事実を知り、かつ加害者が誰であるかを知った時から3年間です。
この「知った時」とは、配偶者が浮気をしている事実と、その相手が特定の人物であることを認識した時点を指します。
単に配偶者の行動が怪しいと感じただけでは起算されず、確実な証拠や本人の自白などによって明確に認識した時点が重要になります。
したがって不貞の事実を知ってから3年以内に慰謝料請求の手続きを開始しなければ、権利を失う可能性が高くなるのです。
相手の素性がわからない場合は20年
不貞の事実は知っていても、相手が誰なのか特定できないケースでは、不貞行為が発生した時から20年という長期の時効が適用されます。
これは除斥期間と呼ばれる制度で、権利の存続期間を定めたものです。
たとえば配偶者が浮気をしていることは確実だが相手の氏名や連絡先が一切わからない場合、20年経過するまでは請求の可能性が残ります。
ただし実務上は相手を特定してから請求するのが一般的であり、20年という期間が実際に問題となるケースは比較的限られています。
不貞行為の慰謝料の相場と影響を与える要素

不貞慰謝料の金額は個別の事情によって大きく変動しますが、一般的な相場は存在します。
裁判所が認定する慰謝料額は、被害者の精神的苦痛の程度、婚姻関係への影響、不貞行為の態様などを総合的に考慮して決定されます。
以下では具体的な相場と、金額に影響を与える主な要素について説明します。
不貞行為の慰謝料相場は100万円~300万円程度
裁判実務における不貞行為の慰謝料相場は、おおむね100万円から300万円の範囲に収まることが多いです。
婚姻関係が破綻せず継続している場合は数十万円から100万円程度、離婚に至った場合は200万円から300万円程度が目安となります。
ただしこれはあくまで一般的な傾向であり、不貞行為の期間が長期に及ぶ場合や悪質性が高い場合には、これを上回る金額が認められることもあります。
逆に不貞行為の期間が短く婚姻関係への影響が軽微な場合には、相場を下回る金額になる可能性もあるのです。
精神的苦痛
慰謝料額を決定する最も重要な要素は、被害者が受けた精神的苦痛の大きさです。
不貞発覚後に精神疾患を発症した、日常生活に支障をきたすほどの深刻な心理的ダメージを受けたなどの事情があれば、高額の慰謝料が認められやすくなります。
また不貞行為の態様が悪質であった場合、たとえば配偶者の目の前で堂々と交際していた、家族ぐるみの付き合いを利用して関係を持ったなどの事情も考慮されます。
医師の診断書や通院記録などの客観的証拠があれば、精神的苦痛の立証がより確実になります。
離婚の有無
不貞行為によって夫婦が離婚に至ったかどうかは、慰謝料額に大きく影響する要素です。
離婚した場合には婚姻関係が完全に破壊されたと評価され、100万円から300万円という比較的高額の慰謝料が認められる傾向にあります。
一方で不貞があっても婚姻関係を継続している場合は、関係修復の可能性があると判断され、100万円から150万円程度にとどまることが多いです。
ただし離婚していなくても別居状態が続いている、夫婦関係が実質的に破綻しているなどの事情があれば、より高額の慰謝料が認められる余地もあります。
民法改正で慰謝料請求の時効はどう変わった?

2020年4月1日に施行された民法改正により、債権の消滅時効に関する規定が大幅に見直されました。
改正前は不法行為による損害賠償請求権の時効は、損害および加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年とされていました。
民法改正後もこの基本的な枠組みは維持されていますが、一般の債権の時効が「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」に統一されました。
不貞慰謝料については不法行為の特則が適用されるため、改正後も「知った時から3年」「行為時から20年」という時効期間に変更はありません。
したがって民法改正によって不貞慰謝料の時効が延長されたり短縮されたりすることはなく、従来通りの取り扱いが継続されています。
ただし時効の中断制度が更新制度に改められるなど、手続き面での変更はありましたので、専門家に相談する際は最新の法律に基づいたアドバイスを受けることが重要です。
時効間近で慰謝料を請求する場合の注意点

時効完成が迫っている状況で慰謝料を請求する場合、迅速かつ正確な対応が求められます。
時効が完成してしまえば原則として権利が消滅し、相手方が時効を主張すれば慰謝料を請求できなくなるためです。
以下では時効間近の状況における具体的な注意点を解説します。
時効の起算点を正確に確認する
時効の起算点は「不貞の事実と加害者を知った時」ですが、この判断が難しいケースも少なくありません。
配偶者の態度から浮気を疑い始めた時期と、確実な証拠を掴んだ時期にはずれがあることが多く、どの時点を起算点とすべきか慎重な判断が必要です。
裁判所は客観的な証拠に基づいて起算点を判断するため、自分が主観的に「知った」と思った時期が必ずしも起算点になるとは限りません。
時効完成が近い場合は弁護士に相談し、法的な観点から起算点がいつになるのか専門的な判断を仰ぐことが賢明です。
可能な限り早い段階で請求する
時効完成まで余裕があると思っていても、予期せぬ事情で手続きが遅れる可能性があります。
証拠収集に時間がかかる、相手方の所在が不明になる、郵便物の配達に遅延が生じるなど、様々な障害が発生しうるのです。
したがって不貞の事実を知った段階で速やかに行動を開始し、できるだけ早い時期に請求手続きを完了させることが重要です。
時効完成直前に慌てて対応するよりも、十分な時間的余裕を持って準備を進める方が、より有利な解決につながる可能性が高まります。
不貞行為の証拠を必ず集めておく
慰謝料請求を成功させるには、不貞行為があったことを証明する確実な証拠が不可欠です。
ラブホテルへの出入りを撮影した写真、親密な内容のメッセージ交換記録、クレジットカードの利用明細など、客観的な証拠を複数確保しておく必要があります。
時効間近になってから慌てて証拠を集めようとしても、既に証拠が消失していたり入手が困難になっていたりする可能性があります。
不貞の疑いを持った段階から計画的に証拠を収集し、法的に有効な形で保存しておくことが、後の請求手続きをスムーズに進めるために重要です。
不貞行為の時効については弁護士への相談がおすすめ
時効に関する判断は法律の専門知識を要するため、自己判断で進めるとリスクが伴います。
特に時効完成が間近に迫っている場合は、一刻を争う状況であり、手続きのミスが権利の喪失に直結する可能性があります。
弁護士に相談すれば時効の起算点の判断、時効を止めるための適切な手続き、証拠の評価など、専門的な観点からのアドバイスを受けられます。
初回相談が無料の法律事務所も多いので、まずは気軽に専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
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不貞行為の慰謝料を請求する流れ

不貞慰謝料を請求する際の一般的な流れは、まず相手方に対して書面で請求の意思を伝えることから始まります。
内容証明郵便を利用して慰謝料請求書を送付し、不貞の事実、請求金額、支払期限などを明示するのが通常です。
相手方が任意に支払いに応じれば示談が成立しますが、支払いを拒否された場合や金額に折り合いがつかない場合は、調停や訴訟といった法的手続きに進みます。
調停では裁判所の調停委員が間に入って話し合いを進め、双方が合意すれば調停成立となります。
調停でも解決しない場合は訴訟を提起し、裁判所に慰謝料の支払いを命じる判決を求めることになります。
訴訟では不貞の事実を証拠によって立証する必要があり、弁護士のサポートを受けながら手続きを進めるのが一般的です。
判決が確定すれば相手方は支払義務を負い、任意に支払わない場合は強制執行によって財産を差し押さえることも可能になります。
不貞行為の時効を止める・中断する4つの方法

時効完成が迫っている場合、法律上認められた手続きを取ることで時効の進行を止めることができます。
時効を止める手段を適切に活用すれば、時間的余裕を確保して慎重に請求手続きを進めることが可能になります。
以下では具体的な方法を4つ紹介します。
内容証明郵便を送付する
内容証明郵便で慰謝料請求の意思を相手方に伝えることで、催告による時効の完成猶予が認められます。
催告から6か月間は時効の完成が猶予されるため、その間に訴訟提起などのより確実な手続きを準備することができます。
ただし催告による猶予は一度しか使えず、6か月以内に訴訟提起などの本格的な手続きを取らなければ時効が完成してしまいます。
したがって内容証明郵便の送付は時間稼ぎの手段として有効ですが、それだけで時効を止め続けることはできない点に注意が必要です。
裁判で請求する
訴訟を提起すれば時効の完成が猶予され、判決確定によって時効が更新されます。
訴訟提起時点で時効の進行が止まり、判決が確定すればそこから新たに時効がスタートするため、権利を確実に保全できます。
調停の申立ても同様の効果があり、調停不成立から6か月以内に訴訟を提起すれば時効の完成猶予が継続します。
裁判手続きは時間と費用がかかりますが、時効対策としては最も確実な方法といえます。
支払い義務を認めさせる(債務の承認)
相手方に慰謝料の支払義務を認めさせることで、時効が更新されます。
書面で「不貞の事実を認め慰謝料を支払う義務があることを承認する」という内容の文書に署名押印してもらえば、そこから新たに3年の時効期間が開始します。
一部でも支払いを受けた場合も債務の承認と認められ、時効更新の効果が生じます。
ただし相手方が任意に承認に応じるケースは限られるため、実務上は訴訟提起などの手段と組み合わせて活用されることが多いです。
強制執行、差押え
判決や調停調書などの債務名義を取得した後、強制執行の手続きを開始すれば時効の完成が猶予されます。
差押えが実行されれば時効が更新され、新たな時効期間が開始します。
強制執行は既に債務名義がある場合に限られますが、時効完成前に判決を取得しておけば、その後の時効管理が容易になります。
判決確定後は10年間の時効期間が認められるため、慌てずに回収手続きを進めることが可能です。
時効経過後に不貞行為の慰謝料を請求されたら?

不貞行為から長期間が経過した後に突然慰謝料を請求されるケースもあります。
時効が完成していれば法的には支払義務を免れることができますが、相手方が時効を主張するかどうかは任意です。
以下では時効経過後に慰謝料請求された場合の対処法を説明します。
まずは時効が中断されていないか確認
時効期間が経過しているように見えても、途中で時効が更新されていれば時効は完成していません。
過去に訴訟を提起されていないか、債務を承認したことはないか、内容証明郵便を受け取った後に訴訟提起されていないかなどを確認する必要があります。
特に過去に示談交渉をした経緯がある場合、その際の発言や書面のやり取りが債務承認と評価される可能性があります。
時効の成立を主張する前に、弁護士に相談して法的な評価を受けることをおすすめします。
謝罪・反省の態度を示す
時効が成立している場合でも、道義的な責任は残ります。
不貞行為によって相手方に精神的苦痛を与えた事実は変わらないため、誠実に謝罪し反省の態度を示すことが円満な解決につながります。
時効を主張して一切の支払いを拒絶する姿勢を取れば、相手方の感情を逆なでして泥沼の紛争に発展する可能性もあります。
道義的責任を認めつつ、経済的には減額交渉を試みるなど、柔軟な対応を検討することが賢明です。
慰謝料相場を把握する
時効を主張せずに支払いに応じる場合でも、相場を大きく超える金額を支払う必要はありません。
一般的な不貞慰謝料の相場は100万円から300万円程度であり、自身のケースがこの範囲のどこに位置するかを冷静に判断することが重要です。
相手方が感情的に高額な金額を請求してきても、法的な妥当性を欠く請求には応じる必要はありません。
相場を踏まえた現実的な金額での示談を目指すことが、早期解決のポイントです。
弁護士に相談する
時効の成否判断、減額交渉の進め方、示談書の作成など、専門的な知識が必要な場面が多々あります。
弁護士に依頼すれば相手方との交渉を代行してもらえるため、直接対峙するストレスから解放されます。
また法的な観点から最も有利な解決策を提案してもらえるため、感情的な判断による失敗を避けることができます。
時効完成後の請求であっても、弁護士のサポートを受けながら慎重に対応することをおすすめします。
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弁護士に依頼するメリット

不貞慰謝料の問題を弁護士に依頼することには、多くのメリットがあります。
法的知識と交渉技術を駆使して、依頼者の利益を最大化する解決を目指してくれるためです。
以下では具体的なメリットを解説します。
手続きや連絡を一任できる
弁護士に依頼すれば、相手方との直接のやり取りをすべて弁護士に任せることができます。
不貞相手や配偶者と直接話すことは精神的に大きな負担となるため、代理人を介することで心理的なストレスを大幅に軽減できます。
また法的に適切な書面作成、証拠の整理、訴訟手続きなど、専門的な業務をすべて任せられるため、時間と労力を節約できます。
日常生活を送りながら並行して法的手続きを進められる点は、弁護士依頼の大きな利点です。
圧倒的な実績と経験に基づいて交渉してくれる
不貞慰謝料を専門に扱う弁護士は、数多くの類似事案を解決してきた実績と経験を持っています。
どのような証拠があれば有利に交渉できるか、相手方がどのような主張をしてくるか、裁判所がどのように判断するかなど、豊富な知見に基づいて戦略を立ててくれます。
特に時効が争点となるケースでは、過去の判例を踏まえた緻密な法的主張が必要であり、専門家のサポートが成否を分けます。
弁護士の交渉力と法的知識を活用することで、より有利な条件での解決が期待できるのです。
まとめ:不貞行為の慰謝料請求は時代遅れではない

国際的には不貞慰謝料が時代遅れと指摘されることもありますが、日本では現在も有効な救済手段として機能しています。
配偶者の不貞行為によって精神的苦痛を受けた場合、法律に基づいて慰謝料を請求することは正当な権利です。
不貞慰謝料の問題は法的に複雑な側面が多く、感情的な判断で誤った対応をすると不利な結果を招く可能性があります。
弁護士に依頼すれば、手続きや交渉を一任でき、豊富な実績と経験に基づいた最善の解決策を提案してもらえます。
不貞行為の慰謝料請求は決して時代遅れではなく、被害者の権利を守るための重要な制度です。
パートナーに不倫されて慰謝料請求したい!という方は

配偶者の不貞行為が発覚し、慰謝料請求を検討している方は、まず専門家に相談することから始めましょう。
不貞慰謝料の請求には時効があり、証拠収集や法的手続きにも専門知識が必要です。
自己判断で進めると不利な示談を結んでしまう危険性があるため、早期に弁護士のアドバイスを受けることが重要です。
フォワード法律事務所では不貞慰謝料の問題に精通した弁護士が、あなたの状況に応じた最適な解決策を提案いたします。
初回相談では時効の問題、必要な証拠、請求可能な慰謝料額の見通しなどを丁寧に説明し、今後の方針を一緒に考えます。
不貞行為によって傷ついた心を癒すためにも、法的に正当な賠償を受けることは大切です。
一人で悩まず、まずは当事務所にご相談ください。
あなたの権利を守り、納得のいく解決を実現するために、経験豊富な弁護士が全力でサポートいたします。
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法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

