個人再生をすると住宅ローンはどうなるの?
個人再生は、高額な財産は原則すべて処分される手続きです。
しかし、住宅ローンについては特例があり、返済を続ける代わりに家に住み続けることが可能です。
また、個人再生後に新たな住宅ローンを組むことには大きな制約があります。
本記事では、個人再生と住宅ローンの関係について詳しく解説します。
住宅ローンの支払いが難しい方や、マイホームを守りながら借金を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
個人再生をすると住宅ローンはどうなる?

個人再生と住宅ローンの関係には2つのパターンがあります。
それぞれの状況について具体的に見ていきましょう。
1. 住宅ローンを個人再生するとき
住宅ローンを返済中に個人再生をする場合、住宅ローン特則利用できる可能性があります。
この制度を利用すれば、住宅ローンの返済を続けながら、他の借金だけを減額できます。
たとえば、住宅ローンがと消費者金融への借金がある場合、住宅ローン特則を使えば住宅ローンはそのまま返済し、消費者金融への借金だけを5分の1程度に減額できます。
住宅ローン特則を利用するためには、対象となる債権が住宅資金貸付債権であることなどの条件を満たす必要があります。
住宅ローンを個人再生する際は、住宅ローン特則を活用することで自宅を守りながら借金を整理できます。
2. 個人再生後に住宅ローンを組むとき
個人再生の手続きが完了した後に新たに住宅ローンを組むことは、非常に難しくなります。
個人再生をすると信用情報機関に事故情報が登録され、一定期間ローン審査に通りにくくなるからです。
一般的に、個人再生後は5年から10年程度、信用情報機関に事故情報が残り続けます。
この期間中は、金融機関の住宅ローン審査において審査に通ることはほぼありません。
個人再生後に住宅ローンを組むには、事故情報が消えるまで待つ必要があります。
住宅ローンがある人が個人再生するメリット

住宅ローンを返済中の方が個人再生を選択することには、大きなメリットがあります。
最も重要なのは、自宅を手放さずに借金を整理できる点です。
自宅を残しつつ借金を減額できる
個人再生の住宅ローン特則を利用すれば、自宅を残しながら他の借金を大幅に減額できます。
住宅ローン以外の借金を最大で5分の1程度まで圧縮できるため、月々の返済負担が大きく軽減されるメリットがあります。
たとえば、住宅ローン以外に600万円の借金がある場合、個人再生によって120万円まで減額できる可能性があります。
減額後の借金は原則3年(最長5年)で分割返済するため、月々の返済額も大幅に下がります。
自宅を残しつつ借金を減額できる個人再生は、住宅ローンを抱える債務者にとって非常に有効な選択肢です。
住宅ローンがある人が個人再生するデメリット

個人再生には自宅を残せるというメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
特に住宅ローン特則を利用する際には、すべてのケースで適用できるわけではないという点に注意が必要です。
必ずしも住宅ローン特則を利用できるとは限らない
必ずしも住宅ローン特則を利用できるとは限りません。
住宅ローン特則の適用には厳格な条件があるからです。
- 住宅資金貸付債権である
- 住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていない
たとえば、住宅ローン以外の消費者金融などが住宅に抵当権を設定している場合、住宅ローン特則は利用できません。
また、事業用の店舗兼住宅の場合、床面積の2分の1以上が居住用でなければ対象外となります。
さらに、住宅ローンの返済が大幅に遅れている場合や、保証会社が代位弁済してから6か月以上経過している場合も、住宅ローン特則を利用できない可能性があります。
住宅ローン特則を利用するためには、弁護士など専門家に相談し、自分のケースが条件を満たしているか確認することが不可欠です。
個人再生の認可後に住宅ローンを組むことはできない

個人再生の手続きが完了し、再生計画が認可された後に新たに住宅ローンを組むことは極めて困難です。
個人再生をすると信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト」に載った状態になるからです。
ブラックリストに登録される
個人再生をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
この情報は、金融機関が住宅ローンの審査をする際に大きな影響を与えます。
この期間中は、住宅ローンだけでなく自動車ローンやクレジットカードの新規発行も困難になります。
日本には主に3つの信用情報機関があり、CIC、JICC、KSCが該当します。
ブラックリストに登録されている間は、金融機関から「返済能力に問題がある」と判断され、住宅ローンの審査に通ることはほぼありません。
住宅ローン特則を利用するための条件

住宅ローン特則を利用するためには、法律で定められた厳格な条件を満たす必要があります。
これらの条件を満たさない場合、自宅を残しながら個人再生することはできません。
再生計画に則った弁済ができること
住宅ローン特則を利用するには、再生計画に基づいた弁済を行える見込みがなければなりません。
個人再生では、住宅ローンは従来通り返済し、その他の減額された借金も3年かけて返済する必要があるからです。
たとえば、月々の住宅ローン返済額が8万円で、減額後の借金の返済額が月3万円の場合、合計で月11万円を確実に支払える収入が必要です。
裁判所は、申立人の収入や支出を詳細に審査し、再生計画を完遂できる見込みがあるかを判断します。
安定した収入がない場合や、収入に対して返済額が過大な場合は、再生計画が認可されない可能性があります。
住宅ローン特則を利用するには、継続的な収入と返済能力を示すことが不可欠です。
住宅資金貸付債権にあたること
住宅ローン特則を適用できるのは、対象となる債権が住宅資金貸付債権である場合に限られます。
住宅資金貸付債権とは、住宅を建設・購入するための資金貸付けに関する債権のことです。
具体的には、新築住宅の購入資金、中古住宅の購入資金、住宅のリフォーム資金などが該当します。
つまり、住宅ローンの借り換えや、不動産投資用の物件購入資金は、条件を満たさない場合があるのです。
また、その住宅に本人が居住していることが条件となるため、別荘や投資用物件は対象外です。
住宅ローン特則を利用するには、借入れの目的が住宅資金貸付債権に該当することを確認する必要があります。
住宅ローンしか借金がなくても個人再生したほうがいいケース

住宅ローンしか借金がない場合でも、個人再生を検討したほうがよいケースがあります。
以下、具体的なケースを2つ紹介します。
住宅ローンの返済期間を延長したいとき
住宅ローンの月々の返済額が負担になっている場合、個人再生の住宅ローン特則を利用して返済期間を延長できます。
返済期間を延長することで、月々の返済額を減らし、家計の負担を軽減できる制度です。
たとえば、残り20年で月10万円の住宅ローンを返済期間を、25年に延長することで月8万円程度に減額できる可能性があります。
ただし、返済期間の延長には上限があり、最長で70歳までに完済できる期間までとされています。
住宅ローンの返済期間を延長したい場合、個人再生の住宅ローン特則は有効な選択肢となります。
一時的に返済を猶予してもらいたいとき
失業や病気などで住宅ローンの返済が困難になった場合、個人再生を利用して返済を一時的に猶予してもらえます。
住宅ローン特則では、最長で再生計画の弁済期間(原則3年)の間、元本の返済を猶予し、利息のみの支払いにすることが可能だからです。
たとえば、突然のリストラで収入が半減した場合、3年間は利息のみを支払い、その間に再就職して収入を回復させることができます。
猶予期間中は元本の返済が止まるため、月々の負担が大幅に軽減されます。
一時的に返済が困難な状況では、個人再生の住宅ローン特則を活用することで、自宅を守りながら経済的な立て直しを図れます。
個人再生と住宅ローンでよくある質問

個人再生と住宅ローンに関しては、多くの方が疑問や不安を抱えています。
これらの情報を参考に、個人再生を検討する際の判断材料にしてください。
個人再生後に審査に通った・組めた人はいる?
個人再生後に住宅ローン審査に通って組めた人は存在しますが、非常に限られたケースです。
- ブラックリストから消えた後(約5~7年後)
- 安定した収入
- 十分な頭金
個人再生の記録が残っている間は、大手銀行や信用金庫の審査に通ることはほぼ不可能です。
個人再生後に住宅ローンを組むには、事故情報が消えるまで待ち、その間に信用を回復させることが必要です。
住宅ローンの支払いが難しい人はどうしたらいい?
住宅ローンの支払いが難しい場合、早めに専門家に相談することが重要です。
状況を放置すると、延滞が重なり、最終的には競売にかけられて自宅を失うリスクが高まるからです。
まず、金融機関に相談して返済計画の見直しができないか確認しましょう。
条件変更(リスケジュール)によって、返済期間の延長や一時的な返済額の減額が認められる場合があります。
金融機関との交渉がうまくいかない場合は、弁護士や司法書士に相談し、個人再生の住宅ローン特則を利用できるか検討してください。
住宅ローンの支払いが難しい場合は、早期に行動を起こすことで自宅を守れる可能性が高まります。
まとめ:個人再生は持ち家を残して借金を整理できる

個人再生は、住宅ローン特則を活用することで、自宅を残しながら他の借金を大幅に減額できる有効な債務整理の方法です。
住宅ローンは従来通り返済を続け、消費者金融などの借金だけを最大5分の1程度まで圧縮できます。
ただし、個人再生後は5年から10年間、信用情報機関に事故情報が登録され、新たな住宅ローンを組むことは非常に難しくなります。
住宅ローンの支払いが困難な方や、自宅を守りながら借金を整理したい方は、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。
適切なタイミングで個人再生を選択することで、マイホームを守りながら経済的な再建を実現できます。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

