個人再生の家計簿ってなんで出す必要があるの?
家計簿を書くのに何が必要?
個人再生手続において、家計簿の提出は原則必須です。
しかし、家計簿の記載方法を誤ると、個人再生の申立てが認められない可能性があります。
家計簿は裁判所が確認して返済能力を判断するため、正確な記載が求められるのです。
本記事では、個人再生における家計簿の重要性から具体的な書き方、レシートがない場合の対処法まで詳しく解説します。
この記事を読めば、適切な家計簿の作成方法が理解でき、個人再生の手続きをスムーズに進められるでしょう。
目次
個人再生で家計簿を提出する理由と目的

個人再生の手続きでは、裁判所への申立て時に家計簿(家計収支表)の提出が必要です。
ここでは、家計簿提出の具体的な理由と目的について解説します。
個人再生の手続きをする上で必要になる
個人再生は裁判所を介して行う法的手続きであり、借金を大幅に減額できる制度です。
裁判所は債務者に対して家計簿の提出を求めます。継続的な返済能力があるかどうかを精査するためです。
家計簿は民事再生規則第112条2項2号により、生活の状況を示す資料として法律で定められた提出書類です。
提出を怠ると個人再生の申立てそのものができなくなってしまいます。
申立てをするタイミングで提出
家計簿は個人再生の申立て時に、他の必要書類と一緒に裁判所へ提出します。
弁護士や司法書士に依頼している場合は、弁護士事務所へ提出した後、裁判所に渡る流れとなります。
申立て前の確認作業も含めると、弁護士への提出期限はさらに前倒しになるでしょう。
申立ての準備には書類収集や費用の積立などで2~3ヶ月程度かかることが多いです。
そのため、弁護士に依頼したタイミングから家計簿をつけ始めても十分間に合います。
裁判所が内容を確認する
提出された家計簿は、裁判所の審査官や再生委員によって詳細に確認されます。
- 収支のバランス
- 支出の妥当性
- 返済能力の有無 など
特に娯楽費や交際費、嗜好品などの支出が高額な場合は、節約の余地があると判断されやすいです。
裁判所の確認によって、再生計画案通りの返済が実現可能かどうかが判断されるのです。
家計簿を作成する期間は約2〜3か月
裁判所への提出が求められる家計簿の期間は、申立日の直近2〜3ヶ月分が一般的です。
管轄する裁判所によって運用が異なりますが、ほとんどの裁判所では2ヶ月分の提出を求めています。
東京地方裁判所など一部の裁判所では、申立て後も履行テスト期間中に追加の家計簿提出を求められることがあります。
そのため、個人再生の手続きが終了するまで、少なくとも6~8ヶ月間は継続して家計簿をつけることになるでしょう。
早めに家計簿をつけ始めれば、その分早く個人再生に着手できるというメリットがあります。
個人再生の家計簿はどこまでつける?

個人再生の家計簿では、世帯全体の収支を正確に記載する必要があります。
ここでは、家計簿に記載すべき項目や必要な資料について詳しく解説します。
家計簿のつけ方
家計簿の作成は、まず記帳を開始する日を決めることから始めます。
固定費は端数まで正確に記載。食費や日用品費は概算でも可能ですが、できるだけ正確な金額を記載しましょう。
給料日を起点とする場合と、月の1日から始める場合がありますが、どちらでも構いません。
作成開始日を決めたら、その日からレシートや領収書などの支出に関する書類をすべて保管してください。
収集した資料をもとに、裁判所や弁護士が指定する書式に収入と支出を項目ごとに記入していきます。
家計簿に必要な資料一覧
家計簿の正確性を裏付けるため、収入と支出それぞれに証拠書類の保管が必要です。
ここでは、収入の場合と支出の場合に分けて、必要な資料を解説します。
収入の場合
収入に関しては、以下の資料が必要となります。
- 給与明細書(直近2〜3ヶ月分)
- 源泉徴収票
- 賞与明細書(支給された場合)
- 年金振込通知書(年金受給者の場合)
- 児童手当支払通知書などの公的給付の証明書
配偶者や同居家族に収入がある場合は、その方の収入証明書も必要です。
個人事業主の場合は、確定申告書や所得証明書の提出が求められます。
支出の場合
支出に関しては、以下の資料を保管しておく必要があります。
- 家賃の領収書または振込明細
- 水道光熱費の請求書
- 通信費の請求書
- 保険料の領収書や口座振替の記録
- 食費や日用品のレシート
口座引き落としの場合は、通帳のコピーが証拠となります。
食費や日用品などのレシートは、裁判所によっては提出を求められない場合もありますが、念のため保管しておくと安心です。
個人再生用:家計簿の書き方を解説

個人再生で提出する家計簿には特定の書式があり、各裁判所によって様式が異なります。
ここでは、一般的な家計簿の記載項目と具体的な書き方について解説します。
収入欄の記載方法
収入欄には、申立人本人だけでなく世帯全員の収入を記載します。
給与の場合は手取り額を記載し、額面金額ではない点に注意が必要です。
「給与(申立人)○○円」「給与(妻)××円」のように、誰の収入かを明確に分けて記載しましょう。
年金、児童手当、失業保険などの公的給付も忘れずに記載してください。
親族からの援助がある場合は、援助者の氏名も明記します。
支出欄の記載方法
支出欄には、家賃、水道光熱費、通信費などの固定費から、食費、日用品費、医療費などの変動費まで記載します。
口座引き落としの固定費は、1円単位で正確に記載しましょう。
食費や日用品費は、レシートを参考にできるだけ正確な金額を記載します。
項目に迷った場合は「その他」の欄に内容を記載して金額を入れます。
臨時の支出や数ヶ月に一度支払う税金なども「その他」に記載してください。
個人再生の家計簿を作成するときの注意点4つ

個人再生の家計簿は、裁判所が返済能力を判断する重要な資料です。
ここでは、家計簿作成時に特に注意すべき4つのポイントを解説します。
入出金をもれなく記録する
家計簿には、すべての収入と支出を漏れなく記録する必要があります。
わずかな金額でも記載を忘れると、使途不明金として問題視される可能性があるからです。
裁判所は銀行口座の取引明細も確認するため、口座の記録と家計簿の記載が一致しているかチェックされます。
記載漏れが多いと「隠している支出があるのではないか」と疑われかねません。
特に現金での支払いはレシートを保管し、記録を残しておくことが重要です。
家計簿に嘘や適当なことを書かない
家計簿に虚偽の内容を記載すると、高い確率で発覚します。
裁判所は家計簿だけでなく、給与明細、銀行口座の通帳、収入証明書など複数の書類を照合するからです。
さらに、弁護士との面談での発言内容とも照らし合わせて矛盾がないか確認されます。
虚偽の申告が発覚すると、申立てが却下されるだけでなく、詐欺破産罪に問われる可能性もあります。
適当な金額を記載するのも避け、給与や借金返済額などは特に正確に記載してください。
領収書(レシート)はすべて保管しておく
家計簿の正確性を証明するため、領収書やレシートはすべて保管しておく必要があります。
特に水道光熱費や家賃、通信費などの固定費は、領収書の提出を求められることがあります。
食費や日用品のレシートは提出が必須ではない場合もありますが、自身の支出を正確に把握するために保管をおすすめします。
レシートは月ごとに封筒やファイルに分けて保管すると、後から確認しやすくなります。
万が一レシートがない場合は、出金伝票やメモで記録を残しておきましょう。
同居人の収支も併せて記載する
個人再生では世帯家計が重要視されるため、同居家族全員の収支を記載する必要があります。
裁判所は申立人を含む家計全体の状況を見て、支払い能力の有無を調査するからです。
たとえ住民票上の世帯が分離されていても、生計を一にしている場合は全員分の記載が必要です。
配偶者や親などと同居している場合、その方の給与明細や通帳のコピーも提出を求められます。
家族の協力が得られない場合は、弁護士に相談して対応策を検討しましょう。
【個人再生時】裁判所は家計簿を見て何を知りたい?

裁判所が家計簿を確認する目的は、再生計画案通りの返済が実現可能かどうかを判断することです。
ここでは、裁判所が家計簿から確認したい6つのポイントを解説します。
収支のバランス
裁判所はまず、収入に対する支出のバランスを確認します。
毎月の収支が赤字の状態では、再生計画案通りの返済は困難と判断されるからです。
家計簿には月末の余剰金(または不足金)を記載する欄があり、この数字が重要視されます。
再生計画で支払うべき金額を毎月きちんと余剰として残せていることが肝心です。
もし余剰が作れていない月があっても、合理的な理由があれば書面で説明することで認められる場合もあります。
弁済計画の実現可能性
裁判所は家計簿から、再生計画案で定められた返済額を継続的に支払えるかどうかを判断します。
例えば、減額後の借金が100万円で3年間で返済する場合、毎月約27,800円の返済が必要です。
家計簿の収支から、この金額を安定的に捻出できる余裕があるかチェックされます。
収入が不安定だったり、支出が多すぎたりすると、返済継続が難しいと判断されかねません。
履行可能性が認められるよう、申立て前に収支を改善しておくことが重要です。
支出の内容が妥当かどうか
裁判所は支出の内容が生活に必要なものかどうかを精査します。
特に娯楽費、嗜好品費などが高額な場合、浪費とみなされる可能性があります。
タバコやお酒、ギャンブルなどへの支出は、できる限り抑えるべきでしょう。
食費が極端に高い場合や、被服費が多すぎる場合も指摘を受けることがあります。
無理に節約した家計簿は現実的でないため避けるべきですが、削減可能な支出は見直しておくことをおすすめします。
財産隠し・偏頗弁済の有無
裁判所は家計簿から、財産隠しや偏頗弁済の痕跡がないかも確認します。
偏頗弁済とは、一部の債権者にのみ優先的に返済する行為で、個人再生では禁止されています。
家計簿の「借入等の返済」欄に支出の記載があれば、債権者の記載漏れが発覚します。
裁判所は家計簿を通じて、申立人が隠している財産や不正な返済がないかチェックしているのです。
家族全員分の情報が記入されているか
裁判所は家計簿に世帯全員の収支が記載されているか確認します。
申立人本人の収支だけでは、家計全体の実態を把握できないからです。
配偶者や親などの同居家族に収入がある場合、その収入も含めて返済能力を判断します。
家族の収入が記載されていない場合は、追加で給与明細の提出を求められます。
家族の協力が不可欠なため、事前に説明して理解を得ておくことが重要です。
個人再生の家計簿についてよくある質問

個人再生の家計簿に関しては、多くの方が同じような疑問を抱えています。
ここでは、特に問い合わせの多い3つの質問について回答します。
家計簿のほかに必要な書類は?
家計簿以外にも多数の書類が必要です。
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 収入証明書
- 住民票、戸籍謄本 など
また、給与明細書、源泉徴収票、預金通帳のコピー、保険証券なども提出が求められます。
管轄の裁判所によって必要書類が異なる場合があるため、弁護士に相談して確認することをおすすめします。
レシートがないときはどうすればいい?
出金伝票を作成して記録を残す方法があります。
出金伝票には、支払った日付、金額、相手方、内容などを正確に記入します。
電車代やバス代などの交通費は、領収書がないことが多いため、交通費精算書を作成しましょう。
ただし、出金伝票を多用すると税務調査などで疑われる可能性があるため、やむを得ない場合に限定すべきです。
家計簿に嘘を書いたらバレる?
高い確率でバレると考えるべきです。
裁判所は家計簿だけでなく、給与明細、銀行口座の通帳、収入証明書など複数の書類を照合します。
書類間で矛盾があれば、虚偽の申告を疑われます。
また、弁護士との面談での発言内容とも照らし合わせられるため、嘘は必ず発覚するでしょう。
虚偽の申告が発覚すると、申立てが却下されるだけでなく、詐欺破産罪などの刑事罰の対象となる可能性もあります。
まとめ:個人再生の家計簿は専門家への相談が無難

個人再生における家計簿は、裁判所が返済能力を判断する極めて重要な書類です。
家計簿には世帯全員の収支を正確に記載し、虚偽や適当な記載は絶対に避けなければなりません。
レシートや領収書はすべて保管し、記載漏れがないよう注意深く作成する必要があります。
裁判所は収支のバランス、弁済計画の実現可能性、支出の妥当性などを厳しくチェックします。
家計簿の作成方法を誤ると、個人再生の申立てが認められない可能性があるため、専門家のサポートが不可欠です。
借金問題を確実に解決するため、まずは専門家に相談することをおすすめします。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

