奨学金の返済が厳しく、個人再生を検討している方は多いです。
個人再生を利用すれば、奨学金を含む借金全体を大幅に減額できます。
しかし、奨学金だけを手続きから除外したいと考える方もいるでしょう。
個人再生では原則としてすべての債権者を平等に扱う必要があり、特定の借金だけを外すことはできません。
また、奨学金を個人再生に含めると保証人に請求が行くため、保証人から反対されるケースもあります。
本記事では、個人再生における奨学金の扱い、保証人への影響、失敗を避けるための注意点を解説します。
目次
個人再生で奨学金の返済を減額できる

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額する法的な手続きです。
奨学金も個人再生の対象となり、本人の返済義務は約5分の1から最大10分の1まで減額されます。
本人の返済義務は約8割減額される
個人再生では、借金総額に応じて返済額が決まります。
最低弁済額は、総債務額が100万円未満なら全額、100万円以上500万円未満なら100万円、500万円以上1,500万円未満なら総額の5分の1です。
例えば、奨学金300万円と消費者金融200万円の合計500万円の借金がある場合、最低弁済額は100万円になります。
返済義務が約8割減額されるため、本人の負担は大幅に軽減されるでしょう。
ただし、減額された分は消滅するわけではなく、保証人に請求されます。
保証人が請求を受ける
個人再生を行うと、債務者本人の返済義務は減額されますが、保証人の責任は残ります。
奨学金の保証人は、親や親族が務めているケースが多いです。つまり、親に一括請求されることになります。
債務者が個人再生を申し立てると、債権者である日本学生支援機構などは保証人に対して残債務の一括請求を行います。
例えば、300万円の奨学金を個人再生で100万円に減額した場合、残りの200万円が保証人に請求されます。
保証人が支払えない場合、保証人自身も債務整理を検討する必要が出てきます。
個人再生から奨学金を除外することはできない
個人再生では、債権者平等の原則により、すべての債権者を手続きに含めなければなりません。
特定の借金だけを手続きから外すことは、法律上認められていません。
つまり、奨学金だけを除外することは不可能です。
もし債権者一覧に奨学金を記載しなかった場合、個人再生の申立てが却下される可能性があります。
保証人に迷惑をかけたくない場合は、個人再生以外の方法を検討する必要があります。
奨学金の個人再生を検討する前に試すべきこと

奨学金を含めて個人再生を行うと、保証人に大きな負担がかかります。
そのため、まずは保証人に影響を与えない方法を試すべきです。
奨学金の救済制度を利用する
日本学生支援機構では、返済が困難な方向けに複数の救済制度を用意しています。
返還期限猶予制度では、病気や失業などの理由で返済が困難な場合、最長10年間返済を猶予してもらえます。
減額返還制度では、毎月の返済額を2分の1または3分の1に減らし、返済期間を延長できます。
これらの制度を利用すれば、保証人に請求が行くことなく、返済負担を軽減できます。
申請には所得証明書などの書類が必要なため、早めに日本学生支援機構に相談しましょう。
奨学金以外の借金を任意整理する
任意整理は、債権者と直接交渉して利息をカットし、返済期間を延長する手続きです。
個人再生と異なり、整理する借金を選択できるため、奨学金を除外して他の借金だけを整理できます。
例えば、消費者金融やクレジットカードの借金を任意整理すれば、利息負担が減り、毎月の返済額が軽減されます。
奨学金は従来どおり返済を続けるため、保証人に請求が行くこともありません。
ただし、任意整理でも信用情報機関に事故情報が登録されるため、新規借入れやクレジットカードの作成は難しくなります。
奨学金を個人再生するときの注意点

奨学金を個人再生に含める場合、いくつかの重要な注意点があります。
これらの影響を十分に理解した上で、個人再生を選択する必要があります。
連帯保証人が返済義務を負う
奨学金には通常、親や親族が連帯保証人または保証人になっています。
個人再生を申し立てると、債権者は保証人に対して残債務の一括請求を行います。
保証人は主債務者と同等の責任を負うため、拒否することはできません。
例えば、400万円の奨学金を個人再生で100万円に減額した場合、残りの300万円が保証人に請求されます。
事前に保証人と十分に話し合い、理解を得ることが重要です。
金融ブラックに登録される
個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。
この状態は一般的に金融ブラックと呼ばれ、約5年から10年間記録が残ります。
金融ブラックの期間中は、新規のローンやクレジットカードの審査に通らなくなります。
住宅ローンや自動車ローンも組めないため、大きな買い物をする際は現金での支払いが必要です。
ただし、記録が消えれば再び通常どおりクレジット利用が可能になります。
奨学金の個人再生が失敗するケース

個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
小規模個人再生では、債権者の過半数が反対すると手続きが認められません。
奨学金が借金全体の大部分を占める場合、保証人が反対することで個人再生が失敗する可能性があります。
小規模個人再生の場合
小規模個人再生は、債権者数の過半数かつ債権額の過半数の同意が必要です。
債権者が書面で異議を述べた場合、その数や金額によっては再生計画が不認可になります。
例えば、総債務500万円のうち奨学金が400万円を占める場合、日本学生支援機構が反対すると債権額の過半数を超えます。
保証人である親が「一括請求されると困る」という理由で債権者に反対を促すケースもあります。
小規模個人再生が不認可になった場合、給与所得者等再生への切り替えや自己破産を検討する必要があります。
給与所得者等再生の場合
給与所得者等再生は、債権者の同意が不要なため、反対されても手続きを進められます。
ただし、最低弁済額が可処分所得の2年分以上という条件が加わります。
可処分所得とは、収入から税金や社会保険料、最低生活費を差し引いた金額です。
例えば、可処分所得が年100万円の場合、最低弁済額は200万円になります。
小規模個人再生なら100万円で済む場合でも、給与所得者等再生では200万円になり、返済負担が重くなります。
収入が多い方ほど可処分所得が高くなるため、給与所得者等再生は不利になる可能性があります。
保証人が残債務を支払えない場合の解決方法

保証人に一括請求が行われても、すぐに支払える方は少ないでしょう。
保証人が支払えないまま放置すると、給与差し押さえなどの強制執行を受ける可能性があるため、早めの対応が必要です。
分割払いの交渉をする
債権者から一括請求を受けた保証人は、すぐに債権者に連絡して分割払いを相談しましょう。
日本学生支援機構などの公的機関は、支払能力に応じて柔軟に対応してくれるケースが多いです。
毎月の返済可能額を明示し、収入証明書などの資料を提出すれば、分割払いに応じてもらえる可能性があります。
例えば、300万円の請求を受けた場合、月3万円の100回払いなど、無理のない返済計画を提案できます。
ただし、交渉が成立するまでの間に遅延損害金が発生するため、できるだけ早く連絡することが重要です。
保証人も債務整理をする
保証人が分割払いでも返済できない場合、保証人自身も債務整理を検討する必要があります。
保証人が選択できる債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産があります。
任意整理では利息をカットして返済期間を延長できますが、元本は返済する必要があります。
個人再生では、保証人の借金も大幅に減額できますが、自身も信用情報に事故登録されます。
自己破産では、すべての借金をゼロにできますが、一定以上の財産を失う可能性があります。
保証人の収入や財産状況に応じて、最適な方法を弁護士や司法書士に相談しましょう。
個人再生と奨学金についてよくある質問

個人再生と奨学金に関して、多くの方が疑問に思う点があります。
これらの疑問について、法律上の正確な答えを解説します。
奨学金を個人再生から外すことは可能?
奨学金を個人再生から外すことはできません。
個人再生は、すべての債権者を平等に扱う債権者平等の原則に基づいています。
特定の借金だけを除外して優遇することは、法律上認められていません。
保証人に迷惑をかけたくない場合は、奨学金以外の借金を任意整理するか、奨学金の救済制度を利用しましょう。
奨学金を個人再生するとバレる?
保証人には必ずバレます。
債権者である日本学生支援機構などは、個人再生の申立てを受けると保証人に通知を送るからです。
保証人に残債務の請求書が届くため、隠すことはできません。
職場や友人など、保証人以外の第三者にバレる可能性は低いです。
まとめ:奨学金を個人再生する前に保証人と必ず相談しよう

個人再生を利用すれば、奨学金を含む借金を大幅に減額できます。
しかし、減額された分は保証人に請求されるため、保証人に大きな負担がかかります。
奨学金だけを個人再生から外すことはできないため、まずは救済制度や任意整理など他の方法を検討しましょう。
どうしても個人再生が必要な場合は、事前に保証人と十分に話し合い、理解を得ることが不可欠です。
保証人が支払えない場合の対処法も含めて、弁護士や司法書士に相談して最適な解決策を見つけてください。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

