固定残業代の企業は辞退したほうがいい?
固定残業代の会社に入社してしまった…実はブラック企業だったりする?
固定残業代制度を導入している企業は増加しており、2022年時点では全産業の23.3%が導入しています
ネットなどでは、「固定残業代はやめとけ」と言われることが多いですが、実際はどうなのでしょうか?
結論として、直ちにブラック企業とは言えないが、激務の可能性は高い。という答えになります。
確かに激務の可能性は高く、長時間労働のリスクは存在します。
しかし、制度の運用方法によってはホワイト企業でも採用されている場合があります。
したがって、固定残業代制度の有無だけでブラック企業かどうかを判断するのは早計です。
企業の労務管理体制、労働条件の詳細、そして実際の労働環境を総合的に評価することが必要です。
目次
固定残業代とは?

固定残業代制度について正しく理解することは、転職活動や労働条件の評価において極めて重要です
実際の残業時間に関わらず、固定の残業代を支払う制度
固定残業代とは、労働者の実際の残業時間に関係なく、あらかじめ決められた時間分の残業代を毎月定額で支払う制度です。
「みなし残業代」とも呼ばれ、給与計算の簡素化や労働者の収入安定化を目的として導入されています。
例えば、月30時間分の固定残業代として5万円が設定されている場合、実際の残業が20時間であっても、基本的には同額の5万円が支給されます。
ただし、30時間を超過した分については別途追加で支払われる必要があります。
この制度の特徴は、残業時間の変動に関わらず一定額が保証される点にあります。
繁閑の差が激しい職種や、プロジェクトベースで働く職場では、労働者にとって収入の予測が立てやすくなるメリットがあります。
しかし重要なのは、固定残業代は労働基準法で定められた残業代の最低基準を満たす必要があることです。
時間外労働には25%以上、深夜労働や休日労働にはそれぞれ追加の割増率が適用されなければなりません。
企業がこれらの法的要件を満たさない固定残業代を設定している場合は、明らかに違法な運用となります。
固定残業代制度を取り入れる企業の意図
企業が固定残業代制度を導入する背景には、複数の経営的意図があります。
表向きの理由と実際の狙いを理解することで、その企業の労務管理に対する姿勢を読み取ることができます。
最も一般的な導入理由は給与計算の効率化です。
毎月変動する残業時間を個別に計算する手間を省き、人事労務業務の負担を軽減できます。
特に中小企業では人事担当者が限られているため、このメリットは大きいとされています。
また、労働者にとっての収入安定化も企業が掲げる理由の一つです。
残業時間が少ない月でも一定額の残業代が保証されるため、生活設計がしやすくなるというメリットを強調する企業は少なくありません。
固定残業代の計算方法と例
固定残業代の計算方法を理解することは、企業が提示する条件が適切かどうかを判断するために不可欠です。
法定の計算方式に基づいて算出されているかを確認することで、その企業の法令遵守度を測ることができます。
基本的な計算式は以下の通りです。
固定残業代=基本給÷1か月平均所定労働時間×1.25×固定残業時間
1.25は時間外労働の割増率で、労働基準法で定められた最低基準です。
深夜労働や休日労働が含まれる場合は、それぞれ1.25倍、1.35倍の割増率が適用されます。
具体例で説明すると、
基本給24万円、1か月の所定労働時間160時間、固定残業時間30時間の場合
24万円÷160時間×1.25×30時間=5万6,250円となります。
この金額が最低でも固定残業代として支払われる必要があります。
固定残業代はやめとけ、やばいと言われるデメリット4選

固定残業代制度への批判的な声が絶えない背景には、労働者の権利を侵害する具体的なリスクが存在しています。
1. 残業代が未払いになるリスクがある
固定残業代制度における最大のリスクは、本来支払われるべき残業代が未払いになることです。
企業が制度を悪用し、固定残業時間を超過した分の追加残業代を支払わないケースが頻発しています。
労働基準法では、固定残業時間を超過した場合、必ず追加の残業代を支払うことが義務付けられています。
しかし現実には、多くの企業がこの義務を果たしていません。
「固定残業代を支払っているから追加は不要」という誤った解釈が蔓延しているのです。
特に問題となるのは、残業時間の管理が不適切な企業です。
タイムカードやデジタル記録による正確な労働時間の把握を怠り、実際の残業時間を過少申告させる企業も存在します。
このような環境では、労働者が正当な残業代を請求することすら困難になります。
2. 長時間労働の温床である可能性
固定残業代制度は、企業にとって長時間労働を正当化する口実として利用されやすい側面があります。
「残業代は既に支払っている」という理由で、過度な残業を強いる企業が少なくありません。
特に月40時間もの固定残業代が設定されている場合、企業は「40時間は残業して当然」という職場文化を作り上げがちです。
その結果、定時での退社が困難になり、慢性的な長時間労働が常態化してしまいます。
週平均で10時間の残業は、労働者の健康と生活の質に深刻な影響を与える可能性があります。
長時間労働による健康被害のリスクも看過できません。慢性的な疲労、睡眠不足、ストレスの蓄積は、身体的・精神的な健康問題を引き起こす可能性があります。
企業が労働者の健康よりも生産性を優先する姿勢が見られる場合は、その職場環境を慎重に評価する必要があります。
3. 実質的な給料が低い可能性がある
固定残業代制度では、見かけ上の給与額と実際の基本給に大きな開きがある場合が多く、労働者が実質的に低い給与で働かされている可能性があります。
求人広告の罠とも言えるこの問題は、転職時に特に注意が必要です。
例えば、「月給30万円(固定残業代40時間分・8万円含む)」という求人があった場合、実際の基本給は22万円に過ぎません。
賞与計算が基本給ベースで行われる企業では、年収に大きな影響を与えます。
また、退職金計算も基本給を基準とする場合が多く、長期的な労働条件として非常に不利になる可能性があります。
さらに問題なのは、固定残業代込みの金額を同業他社の基本給と比較してしまうケースです。
一見高く見える給与も、基本給部分だけを抜き出すと業界平均を大幅に下回っている場合があります。
実質的な時給や基本給を正確に把握することで、適切な労働条件かどうかを判断する必要があります。
4.定時退社がしづらいため
固定残業代制度を導入している企業では、定時での退社が心理的・社会的に困難になりがちです。
「残業代を支払っているのだから残業するのが当然」という職場の雰囲気が形成されやすく、労働者の働き方に大きな制約を与えます。
特に日本企業に多く見られる「同調圧力」が、この問題を深刻化させています。
また、昇進や評価への影響を懸念する労働者も少なくありません。
定時退社を続けることで「やる気がない」「責任感に欠ける」といった評価を受けることを恐れ、必要以上に長時間職場に留まる傾向があります。
これは労働者の精神的負担を増大させるだけでなく、企業全体の生産性向上を阻害する要因ともなります。
健全な労働環境では、業務効率化による定時退社が評価されるべきですが、固定残業代制度がその価値観を歪めてしまう可能性があるのです。
固定残業代の会社で働くメリット

固定残業代制度には確かにリスクが存在しますが、適切に運用されている企業では労働者にとって明確なメリットも存在します。
1. 収入の見通しが立てやすい
固定残業代制度の最大のメリットは、月々の収入が安定することです。
残業時間が少ない月でも一定額の残業代が保証されるため、家計管理や将来設計がしやすくなります。
特に住宅ローンや子供の教育費など、長期的な支出を抱える労働者にとっては大きな安心材料となります。
また、転職活動においても現在の年収を説明しやすくなります。
固定残業代込みの総額を年収として提示できるため、次の転職先での給与交渉において有利な立場に立てる可能性があります。
ただし、これは基本給部分が適正な水準にある場合に限られるため、内訳の確認は必須です。
2. 業務効率化で時給を上げられる
固定残業代制度は、労働者が業務効率化に取り組むインセンティブを提供します。
定められた固定残業時間よりも短時間で業務を完了できれば、実質的な時給が向上するためです。
これは個人のスキルアップにもつながる好循環を生み出す可能性があります。
例えば、40時間の固定残業代が設定されている職場で、業務効率化により実際の残業時間を20時間に短縮できた場合、残り20時間分の残業代を無償で受け取ることになります。
これは実質的な時給アップと同じ効果をもたらします。労働者は自身の工夫と努力によって収入効率を改善できるのです。
ただし、このメリットを享受するためには、企業側が業務効率化を評価し、早期退社を認める文化を持っていることが前提となります。
3. 残業時間を抑えても一定の残業代が払われる
固定残業代制度では、実際の残業時間が設定時間を下回った場合でも、満額の残業代が支給されます。
季節性のある業種や、プロジェクトベースで業務量が変動する職場では、この安定性が特に重要な意味を持ちます。
例えば、会計事務所では税務申告期に集中的な残業が発生しますが、それ以外の時期は比較的残業が少なくなります。固定残業代制度があれば、閑散期でも一定の収入を確保できます。
育児や介護などの事情により、残業時間を制限せざるを得ない労働者にとってもメリットがあります。
時短勤務や定時退社を心がけても、固定残業代分の収入は確保されるため、ライフステージの変化に柔軟に対応できます。
企業によっては、このような多様な働き方を支援する制度として固定残業代を活用している場合もあります。
4. 固定残業時間を超えた分は追加で支給される
適切に運用されている固定残業代制度では、設定時間を超過した残業に対しては必ず追加の残業代が支給されます。
これにより、労働者は適正な対価を受け取りながら、必要に応じて長時間労働にも対応できるという柔軟性を得られます。
繁忙期や緊急事態における追加収入の機会も提供されます。
基本的な固定残業代で収入の安定性を確保しながら、必要に応じてさらなる収入アップを図ることができるのです。
しかし現実には、この超過分の支払いを怠る企業が存在するため、労働者側も正しく理解しておくことが重要です。
固定残業代は「残業し放題」の制度ではなく、あくまで一定時間分の残業代を事前に支払っているにすぎません。
固定残業代が月40時間の会社はやばい?

固定残業代が月40時間という設定は、多くの労働問題専門家から「危険」と指摘されています。この設定が問題視される理由は複数ありますが、最も大きな問題は労働者の健康とワークライフバランスへの深刻な影響です。
月40時間前後はあると思ったほうがいい
固定残業代40時間という設定の企業では、実際に月40時間程度の残業が発生すると考えるべきです。
企業が固定残業代を設定する際は、実際の業務量や繁忙期の労働時間を考慮して時間数を決定するのが一般的だからです。
つまり、40時間という設定は「最低でもこれくらいの残業は発生する」という企業側の見込みを表していると解釈できます。
求職者は、固定残業代の時間数を見て、実際の労働環境を推測する必要があります。
また、繁忙期にはこの時間数を大幅に超える可能性も考慮すべきでしょう。
企業選びの際は、固定残業代の時間数だけでなく、実際の労働時間や残業の実態についても確認することが重要です。
会社への事前調査は欠かせない
固定残業代制度を採用している企業への転職を検討する場合、事前の調査は必要不可欠です。
求人票の記載内容だけでは、実際の労働環境や企業の運用実態を把握することは困難だからです。
調査すべき項目として、まず企業の口コミサイトやSNSでの評判を確認することが挙げられます。
特に、残業時間や労働環境に関する元従業員や現従業員の声は貴重な情報源となります。
次に、面接の際に固定残業代の運用方法について質問することも重要です。
具体的には、固定残業時間を超過した場合の追加支払いの有無、実際の平均残業時間、繁忙期の労働状況などを確認すべきです。
これらの調査を怠ると、入社後に予想以上の労働環境に直面するリスクが高まります。
固定残業代のホワイト企業を見極める確認ポイント

固定残業代制度を採用していても、労働者に配慮したホワイトな企業は存在します。重要なのは、制度の採用理由と実際の運用方法を見極めることです。
1. なぜ固定残業代を採用しているのか
ホワイトな企業では、固定残業代制度を採用する理由が明確で合理的です。
例えば、業務の性質上一定の残業が避けられないが、従業員の収入を安定させるためという理由や、給与計算の効率化により人事コストを削減し、その分を従業員の待遇改善に充てるという理由などです。
一方、ブラック企業では「残業代を抑制したい」「長時間労働を正当化したい」といった企業側の都合が優先されがちです。
面接の際に制度導入の理由を質問し、その回答内容や説明の仕方から企業の姿勢を判断することが重要です。
誠実な企業であれば、制度のメリットとデメリットを両方説明し、労働者の疑問に対して真摯に回答するはずです。
逆に、曖昧な回答や一方的な説明しかない場合は注意が必要です。
2. ホワイト認定を受けているか
ホワイト企業かどうかを判断する客観的な指標として、各種認定制度の取得状況を確認することが有効です。
例えば、厚生労働省の「安全衛生優良企業認定」「くるみん認定」「えるぼし認定」、経済産業省の「健康経営優良法人認定」などがあります。
これらの認定を受けるためには、労働環境や従業員の待遇について厳しい基準をクリアする必要があります。
特に働き方改革や労働時間管理に関する認定は、固定残業代制度の適正な運用と密接な関係があります。
また、業界団体や地域の商工会議所からの表彰歴なども参考になります。
ただし、認定を受けていないからといって必ずしもブラック企業とは限らないため、他の要素と合わせて総合的に判断することが大切です。
3. 超過分の残業代が支給されているか
ホワイトな企業を見極める最重要ポイントは、固定残業時間を超過した場合の追加残業代の支給実績です。
法律上、固定残業時間を超えた分については別途残業代を支払う義務があります。
この点について、面接や企業説明会で具体的に質問することが重要です。
誠実な企業であれば、超過分の支給について明確に説明し、実際の支給実績や計算方法についても開示するはずです。
また、給与明細の見本を見せてもらい、固定残業代と基本給が明確に分離されているかも確認しましょう。
透明性の高い企業では、従業員が自分の残業代を正確に把握できるよう、給与明細の記載方法にも配慮しています。
逆に、超過分の支払いについて曖昧な回答をしたり、「超過することはない」と断言したりする企業は注意が必要です。
現実的に残業が発生する業務において、一切の超過がないというのは不自然だからです。
4. 平均残業時間は短いか
固定残業代制度を採用していても、実際の残業時間が短い企業はホワイト企業の可能性が高いです。
平均残業時間を確認する際は、月別や部署別の詳細な数値を求めることが重要です。
年間平均だけでなく、繁忙期と閑散期の差、新人とベテランの差なども把握しておきましょう。
また、労働時間の管理方法についても質問すべきです。
タイムカードやICカードでの客観的な記録があり、サービス残業を防ぐ仕組みが整っている企業は信頼できます。
逆に、自己申告制のみで管理しており、実際の労働時間の把握が曖昧な企業は要注意です。
残業時間の管理体制は、企業の労働環境に対する姿勢を表す重要な指標となります。
5. 定着率が高いか
従業員の定着率は企業の労働環境を判断する重要な指標です。
固定残業代制度を適正に運用し、働きやすい企業では従業員の満足度が高く、定着率も良好な傾向があります。
定着率を確認する際は、全社的な数値だけでなく、入社3年以内の離職率、部署別の離職率、管理職の定着状況なども聞いてみましょう。
特に、固定残業代制度の対象となる職種の定着率は重要な情報です。
もし同じ職種で離職率が高い場合、労働環境に問題がある可能性があります。
また、平均勤続年数や昇進の実績なども参考になります。
ただし、業界全体の特性も考慮する必要があります。
成長産業では転職が活発で定着率が低めになることもあるため、同業他社との比較も重要です。
6. 基本給が低くないか
固定残業代制度を悪用する企業の典型的な手口として、基本給を意図的に低く設定し、固定残業代で給与総額を膨らませる方法があります。
これにより、見かけ上の給与は高く見えても、実質的な時給は最低賃金を下回る場合があります。
基本給の妥当性を判断するためには、固定残業代を除いた基本給が同業他社と比較して適正水準にあるかを確認することが重要です。
また、基本給と固定残業代の比率も重要な指標です。
一般的に、固定残業代が給与全体の30%を超える場合は注意が必要とされています。
長期的なキャリア形成を考える上で、基本給の水準は極めて重要な要素です。
面接の際は遠慮せずに給与構成について詳しく質問し、納得できる説明を受けることが大切です。
7. 福利厚生は充実しているか
福利厚生の充実度は、企業が従業員を大切にする姿勢を表す重要な指標です。
固定残業代制度を採用していても、他の面で従業員に配慮している企業は信頼できる可能性が高いです。
特に、ワークライフバランスに関する制度は注目すべきポイントです。
育児・介護休業制度、フレックス制度、在宅勤務制度などが整備されている企業は、従業員の働きやすさを重視している証拠です。
福利厚生の内容と実際の利用状況の両方を確認することで、企業の真の姿勢を見極めることができます。
8. 経営は安定しているか
企業の経営安定性は、労働条件の維持・改善に直結する重要な要素です。
経営が不安定な企業では、固定残業代の支払いが滞ったり、労働環境が悪化したりするリスクがあります。
経営安定性を判断する指標として、売上高の推移、利益率、自己資本比率、格付け情報などを確認しましょう。
上場企業であれば有価証券報告書や決算説明資料から詳細な財務情報を入手できます。
非上場企業の場合は、業界での地位、取引先企業、事業の将来性などを調査することが重要です。
経営安定性の確認は、長期的なキャリア形成において極めて重要な要素となります。
固定残業代制度が違法になるケース

固定残業代制度は適法な制度ですが、運用方法によっては違法となる場合があります。
割増賃金が未払い
労働基準法第37条により、時間外労働、休日労働、深夜労働については通常の賃金に加えて割増賃金を支払う必要があります。
固定残業代制度を採用している場合でも、この割増賃金の支払い義務は免除されません。
違法となる典型例として、固定残業代に割増分が含まれていない場合があります。
例えば、通常の時給1,000円の労働者に対して、残業時間分として時給1,000円相当の固定残業代しか支払っていない場合、本来支払うべき25%の割増分が未払いとなります。
正しくは、時給1,250円相当の固定残業代を支払う必要があります。
また、深夜労働や休日労働が含まれる場合の割増率についても適正に計算されていなければなりません。
深夜労働は25%以上、休日労働は35%以上の割増賃金が必要です。
これらの割増賃金が適正に計算されていない固定残業代制度は違法となり、差額分の未払い残業代請求の対象となります。
固定残業代の超過分を支払っていない
固定残業代制度の最も重要な原則は、設定された固定残業時間を超えて労働した場合、超過分について別途残業代を支払う義務があることです。
この超過分の支払いを怠る企業は非常に多く、最も一般的な違法行為となっています。
例えば、月30時間分の固定残業代が設定されている労働者が実際に40時間残業した場合、10時間分の追加残業代を支払わなければなりません。
この追加分についても、時間外労働であれば25%以上の割増賃金が適用されます。
企業の中には「固定残業代を支払っているから、何時間働かせても追加の支払いは不要」と誤解している場合がありますが、これは明らかな法律違反です。
また、超過時間の計算において、休憩時間を適切に除外していなかったり、労働時間の記録を正確に行っていなかったりする企業も問題です。
労働者は自分の実際の労働時間を正確に記録し、固定残業時間との差額を把握しておくことが重要です。
最低賃金を下回っている
固定残業代制度を採用している場合でも、最低賃金法の適用は免除されません。
基本給と固定残業代を合わせた総額を、実際の労働時間で割った時給が最低賃金を下回っていれば違法となります。
特に問題となるのは、基本給を意図的に低く設定し、固定残業代で調整している企業です。
例えば、基本給15万円、固定残業代5万円で月給20万円の労働者が、月40時間の固定残業時間を含めて月200時間労働した場合、時給は1,000円となります。
この時給が都道府県の最低賃金を下回っていれば違法です。
さらに複雑なのは、固定残業代の計算基礎となる時給も最低賃金以上でなければならない点です。
基本給から算出した時給が最低賃金を下回っていれば、固定残業代の金額自体も不適切となります。
労働者は自分の給与構成を正確に把握し、時給換算で最低賃金を上回っているかを定期的に確認する必要があります。
まとめ:「固定残業代=やめとけ」とは言えない

固定残業代は、制度そのものを一律に否定することはできません。
適法かつ適正に運用されている企業においては、労働者にとってもメリットのある制度となり得るからです。
重要なのは、制度の内容と運用実態を正確に把握し、自分にとって適切な職場環境かどうかを判断することです。
固定残業代制度を採用している企業への転職を検討する際は、事前の情報収集と企業研究が不可欠です。
求人票の表面的な情報だけでなく、実際の労働時間、残業代の支給実績、企業の姿勢や文化まで幅広く調査しましょう。
特に固定残業代40時間という設定の企業については、より慎重な検討が必要です。
もし固定残業代のやばい企業に入ってしまったら

残念ながら固定残業代制度を悪用する企業に入社してしまった場合でも、諦める必要はありません。
労働者には法的に保護された権利があり、適切な手続きを踏めば未払い残業代の回収や労働環境の改善を求めることができます。
まず重要なのは、客観的な証拠を収集することです。
労働時間の記録、給与明細、業務指示書、メールなど、違法な労働実態を証明できる資料を系統的に保存しておきましょう。
さらに深刻な被害がある場合や、高額な未払い残業代がある場合は、労働問題に精通した弁護士への相談をおすすめします。
おすすめは、退職代行とセットで残業代請求をすることです。
在職中に残業代請求をすれば、もちろんその後働きにくくなったり、人事評価を下げられてしまう可能性もあります。
特に、サービス残業が月10時間以上ある方は、労働問題に特化している初回相談無料の法律事務所フォワードにご相談ください。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

