残業代請求の和解金相場はケースバイケース!決め方や勝率も解説

未払い賃金請求
残業代請求の和解金相場はケースバイケース!決め方や勝率も解説

「残業代請求を検討しているが、和解金の相場はどの程度なのか」

「交渉で勝てる見込みはあるのか」

このような疑問を抱えている労働者の方も多いでしょう。

残業代請求における和解金に固定的な相場は存在しません。

未払い残業時間の長さ、証拠の有無、労働者の基本給などによって金額が大きく左右されるためです。

本記事では、残業代請求の和解金額を決定する要因や実際の金額、勝率を高める方法について詳しく解説します。

読み終える頃には、あなたの状況に応じた適切な対応策を見つけることができるでしょう。

\悩む時間が一番もったいない/

残業代請求の和解金相場について

融資 お金

残業代請求における和解金に明確な相場は存在しません。なぜなら、労働者一人ひとりの状況が大きく異なるためです。

勝率は何をもって勝利とするかによる

残業代請求の勝率を考える際、まず「勝利」の定義を明確にする必要があります。

請求金額の全額を獲得することを勝利とするのか、それとも一定額でも回収できれば勝利とするのかで勝率は大きく変わります。

労働者側の勝率は証拠が充実している場合に高くなる傾向があります。

タイムカードや勤怠記録、労働契約書などの客観的な証拠が揃っている場合、労働者側が有利に交渉を進められます。

一方で、証拠が不十分な場合や、固定残業代制などの複雑な労働条件がある場合は、勝率が下がる可能性があります。

重要なのは、現実的な勝利の基準を設定し、それに向けた戦略を立てることです。

証拠の有無で変わる

残業代請求における和解金額は、証拠の有無と質によって大きく左右されます。

客観的で信頼性の高い証拠が多いほど、労働者側が有利な条件で和解を成立させることが可能です。

タイムカード、勤怠管理システムの記録、業務メールの送受信記録、日報や業務記録などが有効な証拠となります。

これらの証拠が充実している場合、会社側も争うことが困難となり、早期に和解に応じる傾向があります。

逆に、証拠が不十分な場合は、会社側が争う姿勢を示すことが多く、和解金額も低くなりがちです。

証拠収集は残業代請求の成功を左右する最も重要な要素といえるでしょう。

未払い残業時間で変わる

和解金額を決定する最も大きな要因の一つが、未払い残業時間の長さです。

残業時間が多いほど、請求できる金額も大きくなり、結果として和解金額も高額になる傾向があります。

月20時間程度の残業であれば、和解金額は数万円から十数万円程度に留まることが多いです。

一方、月80時間を超えるような長時間の未払い残業がある場合、和解金額は数十万円から100万円以上になることもあります。

残業時間の算定には、始業時刻前の準備時間、終業時刻後の片付け時間、休憩時間の有無なども含まれる場合があります。

これらの詳細な時間の積み重ねが、最終的な和解金額に大きな影響を与えるため、正確な記録の保持が重要です。

時間外労働の立証には継続性も重要な要素となります。

数十万円程度なら会社側が折れる可能性も

会社側の立場から考えると、請求金額が数十万円程度の場合、争うよりも早期に和解で解決した方が経済的にメリットがあることが多いです。

訴訟になれば弁護士費用、時間的コスト、企業イメージへの影響などが発生するためです。

特に、請求金額が50万円以下の場合、会社側は和解に応じやすい傾向があります。

このような状況では、労働者側も比較的有利な条件で和解を成立させることが可能です。

ただし、会社側が和解に応じやすい金額であっても、証拠が不十分な場合は期待通りの結果が得られない可能性があります。

早期解決を望む場合は、適切な金額設定と交渉戦略が重要になります。

残業代請求の判例①

残業代請求に関する重要な判例として、固定残業代制の有効性を争った事例があります。

この事例では、労働者が月30万円の給与のうち5万円が固定残業代として設定されていたにもかかわらず、実際の残業時間に対する割増賃金が不足していることが争点となりました。

裁判所は、固定残業代制が有効に機能するためには、基本給部分と残業代部分が明確に区分され、かつ実際の残業時間に応じた割増賃金の不足分を支払う必要があると判断しました。

最終的に、労働者側の請求が認められ、2年分の未払い残業代約180万円のうち、約140万円の支払いが命じられました。

この判例は、形式的な固定残業代制であっても、実質的な要件を満たさない場合は無効となることを示した重要な事例です。

残業代請求の判例②

もう一つの重要な判例として、管理職の残業代請求が認められた事例があります。

この事例では、部長職に就いていた労働者が、管理監督者に該当しないとして残業代を請求しました。

会社側は「管理職だから残業代は支払わない」と主張しましたが、裁判所は以下の点を総合的に判断し、労働者側の主張を認めました。

実際の権限が限定的で、部下の採用や解雇の決定権がない、勤務時間の制約があり、遅刻や早退で給与が減額される、基本給に占める管理職手当の割合が低いことなどです。

結果として、3年分の未払い残業代約320万円のうち、遅延損害金を含めて約400万円の支払いが命じられました。

この判例は、肩書きだけでは管理監督者に該当せず、実質的な権限と待遇が伴わない場合は残業代の支払い義務があることを明確にした事例です。

残業代請求で和解金が多く支払われるケース

裁判 お金

残業代請求における和解金が高額になるケースには、いくつかの共通する特徴があります。

これらの要素が複数重なることで、労働者側にとって有利な和解条件を獲得できる可能性が高まります。

確実な証拠が揃っている

和解金が高額になる最大の要因は、客観的で確実な証拠が豊富に揃っていることです。

タイムカード、ICカードの入退館記録、パソコンのログイン・ログアウト記録、業務メールの送受信記録、日報や業務報告書などが該当します。

これらの証拠が複数組み合わさることで、労働時間の立証力が格段に向上します。

特に、会社側が管理している客観的な記録は証明力が高く、会社側も反論が困難になります。

さらに、残業の指示を受けたことを示すメールやチャットの記録、上司からの業務指示書なども重要な証拠となります。

証拠の時系列が整理され、継続的な長時間労働の実態が明確に示されている場合、会社側は争うことが困難となり、早期かつ高額な和解に応じる可能性が高くなります。

証拠保全の段階から専門家の助言を得ることで、より効果的な証拠収集が可能になります。

会社側の譲歩を引き出した

会社側から譲歩を引き出すことができれば、和解金額を大幅に増額できる可能性があります。

会社側が譲歩する理由としては、訴訟リスクの回避、企業イメージの保護、他の従業員への影響を懸念することなどが挙げられます。

特に、同様の労働問題を抱えている従業員が他にもいる場合、会社側は問題の拡大を防ぐため早期解決を望む傾向があります。

また、労働基準監督署への申告や労働審判の申立てを示唆することで、会社側にプレッシャーをかけることも有効です。

ただし、過度に強硬な姿勢を取ると交渉が決裂する可能性もあるため、適切なバランスが重要です。

残業代請求の和解金の決め方フロー

流れ ステップ

残業代請求における和解金の決定は、複数の段階を経て行われます。

労働者側が未払い残業代を請求する

和解金決定の第一段階は、労働者側からの残業代請求です。

この段階では、正確な残業時間の算定と法的根拠に基づいた請求金額の算出が重要になります。

請求書には、対象期間、残業時間数、時間単価、割増率、遅延損害金などを明確に記載する必要があります。

請求の根拠となる労働基準法の条文や、労働契約の内容も併せて示すことで、請求の正当性を明確にします。

請求書の送付方法も重要で、内容証明郵便を利用することで、確実な送達と証拠保全を図ることができます。

適切な請求を行うことで、その後の交渉を有利に進める基盤を築くことができます。

会社側からの反論がある

労働者側の請求に対して、会社側から反論が提示されるのが第二段階です。

よくある反論としては、残業時間の争い、固定残業代の主張、管理監督者該当性の主張、業務の必要性の否定などがあります。

会社側は労働者の主張する残業時間数に対して、実際の業務時間はそれより短いと反論することが多いです。

これらの反論に対して、労働者側は証拠に基づいて反駁する必要があります。

固定残業代の主張に対しては、その有効性を法的観点から検証し、不足分の存在を明らかにします。

管理監督者の主張に対しては、実際の権限や労働条件の実態を示して反論します。

この段階での対応が、最終的な和解金額に大きな影響を与えるため、慎重かつ戦略的な対応が求められます。

裁判所の心証が示される

労働審判や訴訟手続きにおいて、裁判所が事案に対する心証を示すのが第三段階です。

裁判所は提出された証拠や双方の主張を検討し、争点に対する見解を示します。

この心証は和解金額の決定に大きな影響を与える重要な要素です。

裁判所が労働者側の主張を支持する心証を示した場合、会社側は不利な判決を避けるために和解に応じやすくなります。

逆に、会社側の主張に理解を示す心証が表れた場合、労働者側は請求金額の見直しを検討する必要があります。

裁判所の心証は、事実認定の見通し、法的評価の方向性、賠償額の概算などを含みます。

この段階で示される心証を踏まえて、双方が現実的な和解案の検討に入ることになります。

双方歩み寄れるか検討する

最終段階では、裁判所の心証を踏まえて双方が歩み寄れるかを検討します。

労働者側は請求金額の減額、会社側は支払い金額の増額を検討し、合意点を見つけることが目標となります。

この段階では、金額面だけでなく、支払い方法や時期、その他の条件についても調整が行われます。

分割払いの可否、支払い期限、遅延損害金の取り扱い、将来の労働条件の改善なども和解条件に含まれることがあります。

双方の歩み寄りが成功すれば和解が成立し、決裂すれば判決に委ねられることになります。

和解の成立には、双方が現実的な妥協案を受け入れる柔軟性が必要です。

労働者側は完全勝利を目指すより、確実な解決を重視する姿勢も時には重要です。

残業代請求の和解金を増額する方法5つ

残業代請求において、和解金額を増額させるための具体的な方法があります。これらの方法を適切に活用することで、より有利な条件での和解が期待できます。

弁護士に相談する

残業代請求において弁護士に相談することは、和解金増額の最も効果的な方法の一つです。

弁護士は法的知識と交渉経験を活用して、労働者の権利を最大限に保護します。

まず、弁護士は残業代の正確な計算を行い、請求可能な金額を明確にします。

また、弁護士が代理人として交渉に臨むことで、会社側も真剣に対応せざるを得なくなります

法的手続きの知識と経験を持つ専門家との交渉では、会社側も安易な対応はできません。

さらに、弁護士は労働審判や訴訟への移行も視野に入れた戦略的な交渉を展開します。

弁護士費用は発生しますが、その分を上回る和解金の増額が期待できる場合が多いです。

証拠を集める

和解金増額のためには、可能な限り多くの客観的証拠を収集することが重要です。

証拠の質と量が交渉力を大きく左右するためです。

まず、労働時間を証明する基本的な証拠として、タイムカード、勤怠管理システムの記録、入退館記録などを収集します。

これらが入手困難な場合は、自分で作成した労働時間の記録や、業務日報、カレンダーへの記録なども有効な証拠となります。

次に、残業の指示や業務の必要性を示す証拠を集めます。

上司からの業務指示メール、会議資料、プロジェクトの締切資料、顧客との打ち合わせ記録などが該当します。

さらに、労働条件を証明する証拠として、労働契約書、就業規則、給与明細、人事通知書なども重要です。

労働審判や訴訟を活用する

労働審判や訴訟の申立てを活用することで、会社側に心理的プレッシャーを与え、和解金の増額につなげることができます。

労働審判は比較的短期間で解決が図れる制度で、裁判官と労働審判員が関与して和解の仲介を行います。

審判手続きが開始されると、会社側は法的手続きの負担とリスクを感じ、和解に応じやすくなります。

労働審判では3回以内の期日で解決を図るため、迅速な解決が期待できます。

一方、訴訟は時間がかかりますが、より詳細な事実認定と法的判断が行われます。

会社側にとって訴訟は時間的・経済的負担が大きく、企業イメージへの影響も懸念されます。

そのため、訴訟の提起や提起の示唆により、会社側の和解への意欲を高めることができます。

ただし、これらの手続きには費用と時間がかかるため、事案の内容と予想される回収額を総合的に判断して活用する必要があります。

遅延損害金も請求する

未払い残業代には遅延損害金を付加して請求することで、和解金額を大幅に増額できます。

労働基準法第114条により、未払い賃金には年3.0%(退職後は年14.6%)の遅延損害金が発生します。

長期間未払いが続いている場合、この遅延損害金は相当な金額になります。

例えば、100万円の未払い残業代が2年間未払いの場合、遅延損害金は約6万円になります。

遅延損害金の起算点は、各給与の支払い期日からとなるため、正確な計算が必要です。

ただし、和解交渉では遅延損害金の一部を減額することで合意に達することもあります。

遅延損害金を含めた総額を基準として交渉することで、より有利な条件での和解が期待できます。

他の請求も同時に請求する

残業代請求と併せて、他の労働問題に関する請求も同時に行うことで、総合的な解決と和解金の増額を図ることができます。

よくある併合請求としては、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントに対する慰謝料請求があります。

職場でのいじめや嫌がらせ、不当な叱責や暴言などがあった場合、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。

これらの請求を組み合わせることで、会社側はより大きな責任とリスクを認識し、包括的な和解に応じやすくなります。

ただし、複数の請求を行う場合は、それぞれについて十分な根拠と証拠が必要です。

根拠の薄い請求は交渉力を弱める可能性があるため、専門家の助言を得ながら慎重に検討する必要があります。

総合的な解決により、労働者にとってより満足度の高い結果を得ることができるでしょう。

残業代請求の和解金額を決める5つの要素

家計

残業代請求における和解金額は、複数の要素が複合的に影響して決定されます。

未払い残業代の金額

和解金額を決定する最も基本的な要素は、未払い残業代の総額です。

この金額は基本給、残業時間数、割増率、対象期間によって算定されます。

基本給が高い労働者ほど、1時間当たりの残業代単価も高くなり、結果として和解金額も高額になります。

月給30万円の労働者と月給50万円の労働者では、同じ残業時間でも請求可能な金額に大きな差が生じます。

残業時間数については、月20時間程度の軽微なものから、月100時間を超える過労死ラインの長時間労働まで幅があります。

長時間の残業ほど社会的関心も高く、会社側も早期解決を望む傾向があります。

対象期間は労働基準法の時効により3年間に限定されますが、この期間内の全ての未払い分を請求できます。

正確な計算により請求金額を算定することが、和解交渉の出発点となります。

遅延損害金

遅延損害金は和解金額を大きく左右する重要な要素です。

労働基準法第114条に基づき、未払い賃金には年率3.0%(退職後は年率14.6%)の遅延損害金が付加されます。

この遅延損害金は各給与の支払い期日から発生し、未払い期間が長いほど高額になります。

例えば、月10万円の残業代が24か月間未払いの場合、元本240万円に対して約14.4万円の遅延損害金が発生します(年率3.0%で計算)。

遅延損害金の存在により、会社側は早期解決への動機を強く持つようになります。時間が経過するほど支払い総額が増加するためです。

証拠の有無

証拠の質と量は和解金額に直接的な影響を与える決定的な要素です。

客観的で信頼性の高い証拠が豊富にある場合、労働者側の交渉力は格段に向上します。

タイムカードや勤怠管理システムの記録は最も有力な証拠とされ、これらが完備されている場合は高額な和解金が期待できます。

一方、証拠が労働者自身の手書きメモや記憶に依存している場合は、会社側の反論を受けやすく、和解金額も低くなる傾向があります。

証拠保全の適切な方法や、追加証拠の収集可能性も和解金額に影響するため、専門家のアドバイスを得ることが重要です。

社会保険料・税金などの源泉徴収

残業代の支払いに伴う社会保険料や所得税などの取り扱いは、実質的な受取額に大きく影響する要素です。

残業代が支払われると、それに応じて社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額が変更される可能性があります。

また、所得税や住民税の追加納付が必要になる場合もあります。これらの負担を考慮した実質的な受取額を基準として和解金額を算定することが重要です。

適切な税務処理を行うため、和解書の条項や支払い方法についても慎重に検討する必要があります。

弁護士依頼の有無

弁護士に依頼するかどうかは、和解金額と最終的な受取額の両方に大きな影響を与えます。

弁護士が代理人として交渉に臨むことで、専門的な法的知識と交渉経験を活用でき、より高額な和解金を獲得できる可能性が高まります。

弁護士の存在により会社側も真剣に対応し、法的リスクを回避するため早期かつ有利な和解に応じやすくなります。

一方で、弁護士費用は成功報酬として和解金の10%から20%程度が一般的で、この費用を差し引いた金額が実質的な受取額となります。

ただし、弁護士に依頼することで獲得できる和解金の増額分が弁護士費用を上回る場合が多いため、総合的には有利になることが多いです。

会社側に弁護士費用の負担を求めることも可能です。

\悩む時間が一番もったいない/

和解に応じる場合のメリット・デメリット

流れ ステップ

残業代請求において和解という解決方法を選択することには、明確なメリットとデメリットがあります。

メリット

和解を選択する最大のメリットは、確実かつ迅速な解決が図れることです。

訴訟や労働審判では判決や審判の結果が予測できませんが、和解では合意内容が確定しているため、確実に金銭を受け取ることができます。

また、和解は両当事者の合意に基づくため、強制執行などの複雑な手続きを経ることなく、約定された期日に支払いを受けることができます。

時間的なメリットも大きく、通常の訴訟では解決まで1年以上かかることも珍しくありませんが、和解であれば数か月以内に解決することが可能です。

費用面でも、長期間の訴訟に比べて弁護士費用や裁判所費用を抑制できる利点があります。

デメリット

和解を選択することのデメリットとして、請求金額の満額回収が困難である点があります。

和解では双方の妥協が前提となるため、労働者側は当初の請求額から一定程度の減額を受け入れざるを得ない場合が多いです。

特に証拠が不十分な場合や、会社側の反論が強い場合は、大幅な減額を余儀なくされることもあります。

また、和解により権利関係が確定してしまうため、後から追加の証拠が発見されても、改めて請求することは困難になります。

企業の体質改善効果も限定的で、和解による解決では企業が根本的な労務管理の見直しを行わない場合があります。

残業代請求を和解で解決するときの注意点

注意

残業代請求を和解で解決する際には、後々のトラブルを避けるため、いくつかの重要な注意点があります。

時効に気を付ける

残業代請求権には3年間の時効があるため、和解交渉中であっても時効の進行に注意が必要です。

労働基準法の改正により、2020年4月1日以降に発生した残業代については3年間の時効が適用されます

時効期間中に請求の意思表示を行わないと、古い分から順次時効により消滅していきます。

和解交渉が長期化する場合は、内容証明郵便による催告や、労働審判の申立てにより時効を中断させる必要があります。

退職後の請求では、在職中に比べて証拠収集が困難になるため、在職中から準備を進めることが重要です

時効管理は専門的な知識を要するため、弁護士などの専門家に相談しながら適切な対応を取ることをお勧めします。

合意書を作成する

和解が成立した際は、必ず書面による合意書を作成することが重要です。

口約束での合意は後日の紛争の原因となりやすく、証明も困難です。

合意書には、支払い金額、支払い方法、清算条項、秘密保持条項などを明確に記載する必要があります。

支払い金額については、元本と遅延損害金を区別して記載し、税務上の取り扱いも明記します。

ただし、範囲を限定し、将来発生する権利まで放棄しないよう注意が必要です。

秘密保持条項では、和解の事実と内容について第三者への開示を制限します。

合意書の作成は法的な知識を要するため、専門家の助言を得ながら、適切な条項を盛り込むことが重要です。

法的なアドバイスを受ける

残業代請求の和解においては、法的な専門知識が必要な場面が多数あります。

労働基準法の適用、残業代の計算方法、証拠の評価、交渉戦略の策定など、素人では判断が困難な問題が次々と発生します。

弁護士などの専門家からアドバイスを受けることで、適切な判断と対応が可能になります。

特に、会社側から提示された和解案が適正かどうかの判断は重要です。

一見有利に見える和解案でも、法的な観点から見ると不利な条項が含まれている場合があります

また、税務上の取り扱いや社会保険への影響など、労働法以外の法的問題についても検討が必要です。

専門家のアドバイスにより、これらの複合的な問題に対して総合的な解決策を見つけることができます。

さらに、将来的な法改正や判例の動向を踏まえた戦略的なアドバイスを受けることで、より有利な条件での和解が期待できます。

まとめ:サービス残業と証拠が多いほど高額に

ワンポイント 

残業代請求における和解金額は、未払い残業時間の長さと証拠の充実度によって大きく左右されることが明らかになりました。

月80時間を超える長時間のサービス残業があり、タイムカードや業務メールなどの客観的証拠が豊富に揃っている場合、数百万円規模の和解金も十分に期待できます。

一方で、証拠が不足している場合や残業時間が短い場合は、和解金額も相応に低くなります。

重要なのは、現在の状況を正確に把握し、証拠収集に努めながら、専門家のサポートを得て戦略的に交渉を進めることです。

和解は確実性と迅速性を重視する解決方法として有効ですが、妥協も必要になります。

自分の状況と目標を明確にした上で、最適な解決策を選択することが成功への鍵となるでしょう。

「証拠がないんだけど…」という場合は?

証拠が不足している場合でも、残業代請求を完全に諦める必要はありません。

まず、記憶を頼りに労働時間の記録を再構築することから始めましょう。

手帳やカレンダーへの記載、家族との会話の記録、通勤に使用した交通系ICカードの履歴、コンビニでの購入レシートなど、間接的な証拠でも積み重ねることで労働時間を推定できます。

証拠が乏しい場合は、弁護士への相談も検討してください。

専門家に相談することで、限られた証拠でも最大限活用する方法を見つけることができるはずです。

\悩む時間が一番もったいない/

フォワード法律事務所 保坂 康介

法律事務所FORWARD 代表弁護士

監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)

弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

無料減額相談 シミュレーター