少子高齢化や核家族化が進む現代、お墓の継承者がいないという理由で墓じまいを検討する家庭が増えています。
しかし、墓じまいは親族やお寺、石材店など多くの関係者が関わるため、適切な手順を踏まなければトラブルに発展する可能性が高いです。
実際に「高額な離檀料を請求された」「親族から猛反対を受けた」といった失敗事例が、国民生活センターへ多数報告されています。
本記事では、墓じまいで起こりがちな5つのトラブル事例と対策方法を詳しく解説します。
事前にトラブルの実態を知っておくことで、円満に墓じまいを進められるだけでなく、弁護士に相談すべきタイミングも判断できるようになります。
目次
墓じまいとは?

墓じまいとは、現在使用しているお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去した上で、墓地使用権を管理者に返還する一連の行為を指します。
単にお墓を閉じるだけではなく、取り出した遺骨を別の場所へ移して供養する「改葬」までを含めて墓じまいと呼ぶのが一般的です。
厚生労働省の統計によれば、改葬件数は2009年には約7万件でしたが、2019年には約12万件にまで大幅に増加しています。
管理が難しくなったお墓を放置すると無縁墓となるリスクがあるため、墓じまいは現代における新たな供養の形として注目されているのです。
墓じまいをする理由
墓じまいを選択する理由は家庭によって様々ですが、主に以下のような事情が挙げられます。
- 高齢のため定期的なお墓参りが困難になった
- 後継者となる子どもや親族がいない
- 都市部に転居してお墓の維持が難しくなった
- 経済的に墓地の年間管理費を支払えなくなった
- お寺との関係に負担を感じるようになった
特に独身者の増加や少子化により、お墓を継承する体制そのものが維持できなくなっている家庭が増えています。
また、価値観の多様化により、必ずしも先祖代々のお墓にこだわらない考え方も広まっています。
墓じまいは決して「罰当たり」な行為ではなく、現代のライフスタイルに合わせた供養の選択肢として認識されるようになっています。
墓じまいに掛かる費用
墓じまいに必要な費用は、大きく分けて「墓石の撤去費用」「新しい納骨先に掛かる費用」「行政手続き費用」の3つに分類されます。
総額としては35万円から150万円程度が相場ですが、墓石の大きさや改葬先の選択によって金額は大きく変動します。
安価に抑えようとすれば数十万円で済むケースもあります。
しかし、新しくお墓を建てる場合は300万円を超えることもあるため、事前の見積もりが重要です。
墓石の撤去費用
墓石の撤去費用は、1平方メートルあたり10万円から15万円が相場とされています。
撤去作業には、墓石の解体、運搬、廃棄処分、そして墓地を更地に戻す工程が含まれるため、墓石の大きさや基数によって費用が変わります。
重機が入れない狭い通路や山間部にある墓地では、人力での作業が必要になるため追加費用が発生するケースもあります。
また、複数の墓石が連結している共同墓所の場合も、通常より手間がかかるため費用が高くなる傾向にあります。
さらに、墓石を撤去する前に行う閉眼供養のお布施として3万円から5万円程度、お寺の檀家を離れる際の離檀料として5万円から20万円程度が必要になるため、撤去関連の総費用は30万円から50万円ほどになるのが一般的です。
新しい納骨先に掛かる費用
納骨先の選択肢によって費用は大きく異なり、最も安価な合祀墓や散骨であれば5万円から10万円程度で済みます。
日本の法律では、遺骨を勝手に廃棄したり放置したりすることは禁じられているため、墓じまい後は必ず新しい納骨先を用意する必要があります。
永代供養墓は10万円から80万円、納骨堂は30万円から100万円、樹木葬は20万円から70万円が相場です。
一方、新しくお墓を建てる場合は、墓地の使用料と墓石代を合わせて100万円から250万円以上かかることもあります。
費用だけでなく、将来的な管理の手間や家族の意向も考慮して納骨先を選ぶことが重要です。
行政手続き費用
墓じまいを行うには、法律に基づいた行政手続きが必要になります。
具体的には、現在の墓地管理者から「埋蔵証明書」を取得し、新しい納骨先から「受入証明書」を受け取り、市町村役場に「改葬許可申請書」を提出して「改葬許可証」を交付してもらう必要があります。
これらの書類発行にかかる手数料は、自治体や霊園によって異なりますが、1通あたり数百円から1,500円程度です。
ただし、埋蔵証明書は墓に埋葬されている人数分の枚数が必要になる場合があるため、先祖代々のお墓では費用が上乗せされることがあります。
自分で手続きをするのが難しい場合は、行政書士に代行を依頼できますが、報酬として3万円から5万円程度の追加費用がかかります。
墓じまいで起こりがち5つのトラブル(失敗)と対策

墓じまいは多くの関係者が関わるため、様々なトラブルが発生する可能性があります。
ここでは実際に報告されている代表的な5つの失敗事例と、それぞれの対策方法を詳しく解説します。
親族間で費用について揉めた
墓じまいでは、誰が費用を負担するかをめぐって親族間でトラブルになるケースが非常に多く報告されています。
法的には、お墓の祭祀承継者が費用を負担する義務がありますが、墓じまいには数十万円から100万円以上の費用がかかるため、一人で全額を負担するのは大きな経済的負担になります。
特に兄弟姉妹がいる場合、「長男だから払うべき」「平等に分担すべき」といった意見の対立が起こりやすいです。
対策としては、墓じまいを検討し始めた段階で、できるだけ早く親族全員に相談し、費用負担の割合について話し合いの場を設けることが重要です。
費用の見積もりを取って具体的な金額を提示し、誰がいくら負担するのかを明確にして、できれば書面で合意を残しておくとトラブルを防げます。
菩提寺(お寺)から高額な離檀料を請求された
墓じまいに伴って菩提寺の檀家を離れる際、高額な離檀料を請求されてトラブルになるケースが多発しています。
離檀料とは、長年お世話になったお寺への感謝の気持ちとして支払うお布施の一種で、一般的な相場は5万円から20万円程度です。
しかし、事前の相談なしに突然「墓じまいをする」と告げた場合、お寺側が激怒して100万円や300万円といった法外な金額を要求してくることがあります。
お寺にとって檀家は重要な収入源であり、檀家が離れることは経営に直結するため、感情的な対立に発展しやすいのです。
国民生活センターには「過去帳に8名記入されているので700万円請求された」といった相談事例も報告されています。
離檀料には法的な支払い義務はないため、法外な金額を請求された場合は、その場では支払わずに親族間で対策を練りましょう。
消費者センター、弁護士に間に入ってもらうことも手段のひとつです。
勝手に墓じまいした
墓じまいの決定権は祭祀承継者にありますが、他の親族に相談せず独断で進めてしまうと、深刻な親族トラブルに発展します。
「お墓参りに行ったらお墓が消えていた」「先祖を粗末にするなんて許せない」といった親族からの強い反発を受けるケースが多発しています。
特に親世代と子世代ではお墓に対する価値観が大きく異なるため、年配の親族は墓じまいを「罰当たり」と感じることが多いです。
また、墓じまい後の改葬先が遠方になると、他の親族がお墓参りに行けなくなるため、さらに不満が高まります。
対策としては、墓じまいを検討し始めた段階で必ず親族全員に相談し、できれば家族会議を開いて全員の意見を聞く場を設けることが必要です。
どうしても合意が得られない場合は、分骨して一部のお墓は残すという妥協案も検討する価値があります。
石材店から墓石撤去料を吹っ掛けられた
墓石の撤去を依頼する石材店から、相場を大きく上回る高額な費用を請求されるトラブルも頻繁に発生しています。
民間霊園では指定石材店制度がある場合が多く、その石材店しか工事ができないため、言い値で請求される危険性があります。
例えば、通常なら20万円程度の撤去費用が40万円以上請求されるといったケースが報告されています。
また、インターネットの概算見積もりだけを見て依頼したところ、実際には様々な追加費用が発生して最終的な金額が大幅に高くなることもあります。
対策としては、必ず複数の石材店から詳細な見積もりを取って比較検討することが重要です。
概算ではなく、現地を実際に見てもらった上での正式な見積もりを依頼し、追加費用が発生する可能性についても確認しましょう。
改葬先に受け入れ拒否された
新しい納骨先として選んだ霊園や寺院から、遺骨の受け入れを拒否されるトラブルもあります。
特に、遺骨の状態が悪く骨壷が破損している場合や、遺骨の数が多すぎる場合、受け入れ条件に合わないとして断られることがあります。
また、改葬先の霊園が特定の宗派に限定している場合、宗派が異なるという理由で受け入れを拒否されるケースもあります。
対策としては、墓じまいを実行する前に、必ず新しい納骨先を決定し、受入証明書を取得しておくことが絶対に必要です。
受入証明書がなければ行政手続きの改葬許可も下りないため、必ず改葬先を確定させてから墓じまいの作業を始めましょう。
墓じまいにおけるトラブルの相談先

墓じまいでトラブルが発生した場合、一人で抱え込まずに適切な相談先に助けを求めることが解決への近道です。
トラブルの内容によって相談すべき窓口が異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
家族・親族
墓じまいに関するトラブルの多くは、家族や親族内のコミュニケーション不足から生じています。
まずは親族間でしっかりと話し合いの場を設け、それぞれの立場や考えを理解し合うことが最も重要です。
特に費用負担や改葬先の選択については、全員が納得できるまで時間をかけて話し合うことで、後々のトラブルを防げます。
感情的な対立を避けるために、できれば中立的な立場の親戚や家族の友人などに同席してもらい、冷静に議論を進めることも有効です。
親族全員の合意を得ることは理想的ですが、難しい場合でも、できるだけ多くの親族の理解を得る努力をすることが大切です。
菩提寺・総本山
お寺との間でトラブルが発生した場合、まずは菩提寺の住職と直接話し合うことが基本です。
多くの場合、事前の相談不足や感謝の気持ちが伝わっていないことが原因で関係がこじれてしまいます。
よって、丁寧にコミュニケーションを取ることで解決できる可能性があります。
しかし、どうしても菩提寺との話し合いがまとまらない場合は、その寺院が所属する宗派の総本山に相談する方法があります。
総本山は末寺を指導する立場にあるため、高額な離檀料の請求や不当な要求について相談すれば、適切なアドバイスや仲介をしてくれることがあります。
特に、宗派によっては離檀料を受け取らないよう指導している本山もあるため、確認してみる価値があります。
消費者センター
お寺から法外な離檀料を請求された場合や、石材店から不当に高額な費用を請求された場合は、国民生活センターや消費生活センターに相談することができます。
消費生活センターは、商品やサービスに関する消費者トラブル全般を扱っており、墓じまいに関する相談も受け付けています。
専門の相談員が公正な立場からアドバイスをしてくれるため、適正な対応方法を知ることができます。
相談は電話番号「188」で受け付けており、平日は10時から16時まで、土日祝日も10時から16時の間に相談可能です。
弁護士
話し合いでは解決できない深刻なトラブルに発展した場合は、弁護士に相談することを検討すべきです。
特に、法外な離檀料の支払いを強要されたり、改葬に必要な埋蔵証明書の発行をお寺が拒否したりする場合は、法的な対応が必要になります。
弁護士は法律の専門家として、離檀料に法的な支払い義務がないことを根拠に交渉したり、必要に応じて裁判所への調停申立てや訴訟を行ったりすることができます。
また、親族間で費用負担や遺骨の取扱いについて合意が得られない場合も、弁護士が法的な観点からアドバイスをすることで解決の糸口が見つかることがあります。
ただし、弁護士への依頼には費用がかかるため、相談料や着手金、報酬金などの料金体系を事前に確認しておくことが重要です。
墓じまいの流れ6ステップ

墓じまいを円滑に進めるためには、正しい手順を理解しておくことが重要です。
ここでは、一般的な墓じまいの流れを6つのステップに分けて解説します。
親族間で話し合う
墓じまいを検討し始めたら、まず最初に親族全員に相談することが絶対に必要です。
墓じまいの理由、改葬先の候補、費用負担の方法などについて、できるだけ早い段階で情報を共有しましょう。
特に兄弟姉妹や直系の親族には必ず相談し、できれば全員が集まる家族会議を開いて意見を聞く場を設けることが望ましいです。
お墓は家族全員に関わる重要な問題であり、独断で進めると後々まで親族関係に亀裂が生じる可能性があります。
反対意見がある場合は、なぜ墓じまいが必要なのか、維持管理の困難さや将来の無縁墓化のリスクなどを丁寧に説明し、理解を得る努力をしましょう。
菩提寺(お寺)と相談する
親族の理解が得られたら、次に菩提寺の住職に相談します。
これまでお世話になった感謝の気持ちを丁寧に伝えながら、墓じまいを検討している事情を説明することが重要です。
突然「墓じまいをする」と一方的に告げると、お寺側が感情的になって高額な離檀料を請求してくる可能性があるため、早めの段階から相談しておくことがトラブル防止の鍵になります。
離檀料の金額についても、この段階で率直に相談し、お互いが納得できる金額を話し合っておくと安心です。
また、墓じまいに必要な閉眼供養の日程や、埋蔵証明書の発行についても確認しておきましょう。
新しい納骨先を決める
墓じまいを実行する前に、新しい納骨先を決定しておくことが絶対に必要です。
永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨、新しいお墓など、様々な選択肢があるため、費用や立地、供養の方法などを比較検討しましょう。
改葬先が決まったら、その施設から受入証明書を発行してもらいます。
受入証明書がなければ行政手続きの改葬許可が下りないため、この書類の取得は必須です。
また、受け入れ条件や宗派の制限、納骨できる遺骨の数、将来的な管理の方法なども詳しく確認しておくことが重要です。
石材屋を選定する
墓石の撤去を依頼する石材店を選定します。
墓地が民間霊園の場合は指定石材店制度があることが多いため、まずは霊園に確認しましょう。
指定がない場合は、複数の石材店から見積もりを取って比較検討することが重要です。
概算ではなく、現地を実際に見てもらった上での詳細な見積もりを依頼し、追加費用が発生する可能性についても確認しておきましょう。
同じ作業内容でも石材店によって20万円以上の差が出ることもあるため、相見積もりを取ることで適正価格を把握できます。
行政手続きを行う
墓じまいには法律に基づいた行政手続きが必要です。
まず、現在の墓地管理者から埋蔵証明書(埋葬証明書)を取得します。次に、新しい納骨先から受入証明書を受け取ります。
そして、現在のお墓がある市町村役場に改葬許可申請書を提出し、埋蔵証明書と受入証明書を添付して改葬許可証を交付してもらいます。
書類の発行には数百円から1,500円程度の手数料がかかります。
自分で手続きをするのが難しい場合は、行政書士に代行を依頼することも可能です。
新しい納骨先に遺骨を移す
すべての準備が整ったら、菩提寺に閉眼供養を依頼してお墓から魂を抜き、墓石を撤去して遺骨を取り出します。
撤去後は墓地を更地に戻し、墓地使用権を管理者に返還します。取り出した遺骨は、新しい納骨先に移して改めて供養します。
改葬先でも開眼供養などの法要を行うことが一般的なので、必要に応じて僧侶に依頼しましょう。
すべての作業が完了したら、親族にも報告して、今後の供養の方法について共有しておくことが大切です。
墓じまいで失敗しないためのポイント

墓じまいを円滑に進め、トラブルを未然に防ぐためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、失敗しないための具体的な対策を4つ紹介します。
親族と十分に話し合う
墓じまいにおける最大のトラブル防止策は、親族との十分なコミュニケーションです。
墓じまいを検討し始めた段階から、できるだけ早く親族全員に相談し、それぞれの意見や希望を聞く場を設けましょう。
特に費用負担については、誰がいくら負担するのかを明確にし、できれば書面で合意を残しておくことが重要です。
一度にすべてを決める必要はないため、時間をかけて段階的に話し合いを重ねることが大切です。
相見積を取る
墓石の撤去費用は石材店によって大きく異なるため、必ず複数の業者から見積もりを取って比較検討することが重要です。
同じ墓石の撤去作業でも、業者によって20万円以上の差が出ることも珍しくありません。
インターネットの概算見積もりだけで判断せず、実際に現地を見てもらった上での詳細な見積もりを依頼しましょう。
見積もりには、墓石の解体費用、運搬費用、廃棄処分費用、更地化の費用などが含まれているか確認し、追加費用が発生する可能性についても事前に聞いておくことが大切です。
相見積もりを取ることで適正価格を把握でき、不当に高額な請求を避けられます。
菩提寺(お寺)とは丁寧に接する
お寺とのトラブルを避けるためには、早い段階から丁寧にコミュニケーションを取ることが最も重要です。
墓じまいを検討している段階から、まずは住職に相談し、これまでお世話になった感謝の気持ちを伝えましょう。
突然「墓じまいをする」と一方的に告げるのではなく、維持管理が困難になった事情を丁寧に説明し、理解を求める姿勢が大切です。
離檀料についても、相場を確認した上で適切な金額を包むことで、円満に離檀できる可能性が高まります。
お寺との良好な関係を最後まで維持することが、スムーズな墓じまいの鍵になります。
トラブルに備えて弁護士の依頼を検討する
万が一のトラブルに備えて、早めに弁護士に相談しておくことも検討する価値があります。
特に、お寺との関係がすでにこじれている場合は、事前に弁護士に相談しておくことで適切な対応方法を知ることができます。
弁護士は、離檀料に法的な支払い義務がないことを根拠に交渉したり、必要に応じて内容証明郵便を送付したりすることで、トラブルの拡大を防げます。
また、親族間で費用負担について合意が得られない場合も、弁護士が法的な観点からアドバイスをすることで解決の糸口が見つかることがあります。
弁護士への依頼には費用がかかりますが、トラブルが深刻化して裁判に発展するよりも、早い段階で相談しておく方が結果的に費用を抑えられる場合もあります。
墓じまい後の納骨先

墓じまいを行った後は、取り出した遺骨を新しい場所で供養する必要があります。
納骨先の選択肢は多様化しており、それぞれ特徴や費用が異なるため、家族の事情に合わせて選ぶことが重要です。
永代供養墓
永代供養墓とは、お寺や霊園が親族に代わって遺骨を管理・供養してくれる形式のお墓です。
一定期間は個別に供養され、その後は他の遺骨と一緒に合祀墓に移されるのが一般的です。
後継者がいない家庭や、将来的にお墓の管理が難しくなることが予想される場合に適しています。
費用は10万円から80万円程度で、年間管理費が不要な場合が多いため、長期的な経済負担を軽減できます。
ただし、合祀後は遺骨を取り出すことができなくなるため、親族と十分に相談してから決定することが大切です。
散骨
散骨とは、遺骨をパウダー状に粉砕して海や山に撒く供養方法です。
「自然に還りたい」という故人の希望や、お墓を持たない生き方を選ぶ人に選ばれています。
費用は5万円から30万円程度で、海洋散骨が最も一般的ですが、山林散骨や空中散骨などの選択肢もあります。
合同散骨であれば費用を抑えられますが、個別散骨を選ぶと費用は高くなります。
また、親族の中には散骨に抵抗感を持つ人もいるため、事前に十分な話し合いが必要です。
新しく用意したお墓
墓じまいをした後、別の場所に新しくお墓を建てる選択肢もあります。
従来の一般墓を建てる場合は、墓地の使用料と墓石代を合わせて100万円から250万円以上の費用がかかります。
最近では、洋風のデザインやコンパクトなお墓など、多様な選択肢があり、個性的なお墓を建てることも可能です。
ただし、新しくお墓を建てる場合は、将来的にまた墓じまいが必要になる可能性があるため、後継者の有無や長期的な管理の見通しを考慮して決定することが重要です。
納骨堂や樹木葬など、管理の手間が少ない選択肢と比較検討することをおすすめします。
墓じまいと離檀料について

墓じまいにおいて最もトラブルになりやすいのが離檀料の問題です。
ここでは、離檀料の基本的な知識と、トラブルを避けるための重要なポイントを解説します。
離檀料とは
離檀料とは、菩提寺の檀家をやめる際に、これまでの供養や管理に対する感謝の気持ちとして、お寺に渡すお布施のことです。
「離檀料」という言葉自体は近年使われるようになったもので、本来は「お布施」として包むものです。
檀家とは、江戸時代の寺請制度に由来するもので、特定の寺院を経済的に支援する代わりに、法要や供養を行ってもらう関係を指します。
墓じまいをすると、そのお寺の檀家をやめることになるため、今までお世話になったお礼として離檀料を支払うのが習わしとなっています。
離檀料には、墓じまいに関する手続きや書類発行の手間、閉眼供養の費用なども含まれることが一般的です。
離檀料の相場
離檀料の相場は、一般的に5万円から20万円程度とされています。
閉眼供養のお布施が3万円から5万円程度なので、これに感謝の気持ちを上乗せして、合計で8万円から30万円程度を包むことが多いです。
ただし、離檀料には明確な決まりがないため、地域やお寺の格式、檀家との関係の深さによって金額は大きく異なります。
法要1回から3回分のお布施に相当する金額が適切とされており、最低でも3万円程度、最高でも20万円程度が目安です。
金額に迷う場合は、事前にお寺に率直に相談するか、同じお寺の他の檀家に聞いてみるのも一つの方法です。
離檀料を支払う法的義務はない
離檀料はあくまでもお布施であり、法的な支払い義務は一切ありません。
憲法第20条では信教の自由が保障されており、檀家をやめることを妨げる権利は誰にもありません。
そのため、お寺から法外な離檀料を請求されても、支払う義務はないのです。
ただし、墓地使用許可証に離檀料が明記されている場合は、契約上の義務として支払いが必要になる可能性があります。
しかし、一般的に離檀料について明記された契約書はほとんど存在しないため、この点は心配する必要はありません。
万が一、100万円や300万円といった法外な金額を請求された場合は、その場では支払わず、国民生活センターや弁護士に相談することが賢明です。
まとめ:墓じまいはトラブルの影響が大きいからこそ慎重に

墓じまいは、親族やお寺、石材店など多くの関係者が関わるため、一つ一つの手順を丁寧に進めることが成功の鍵です。
本記事で紹介した5つのトラブル事例からわかるように、事前の相談不足や準備不足がほとんどのトラブルの原因になっています。
墓じまいを検討し始めたら、まず親族全員に相談し、費用負担や改葬先について十分に話し合うことが絶対に必要です。
そして、菩提寺には早めに相談し、感謝の気持ちを丁寧に伝えながら、円満に離檀できるよう努めましょう。
万が一トラブルが発生した場合は、一人で抱え込まず、国民生活センターや弁護士などの専門家に相談することで、適切な解決策が見つかります。
お寺から高額な離檀料を請求された!という方は
もしあなたが現在、菩提寺から法外な離檀料を請求されてお困りなら、すぐに専門家に相談することをおすすめします。
前述の通り、離檀料には法的な支払い義務がないため、100万円や300万円といった高額な請求に応じる必要は一切ありません。
まずは国民生活センター(電話番号188)に相談し、公正な立場からのアドバイスを受けてください。
それでも解決しない場合は、弁護士に相談することで、法的な根拠に基づいた交渉や対応が可能になります。
弁護士は、離檀料の支払い義務がないことを明確に主張し、お寺との交渉を代行してくれます。
泣き寝入りする必要は全くありませんので、まずは専門家に相談して、適正な金額での解決を目指しましょう。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

