「無料で点検します」と突然訪問してくる業者に、不必要な高額工事を契約させられる点検商法の被害が過去最多を記録しています。
特に屋根点検詐欺と呼ばれる手口では、被害者の8割以上が60歳以上の高齢者となっております。
契約金額が数十万円から数百万円にも及ぶ深刻な消費者トラブルです。
実は点検商法で狙われやすい人には明確な特徴があり、事前に知っておくだけで被害を防ぐことができます。
本記事では、点検商法の具体的な手口や実際の事例、そして被害に遭わないための対策まで詳しく解説していきます。
目次
点検商法とは?

必要のない工事で高額請求する商法
点検商法とは、「無料で点検します」と称して家庭を訪問し、実際には問題がないにもかかわらず、不要な工事や商品を高額で契約させる悪質な商法です。
訪問販売の一形態として特定商取引法の規制対象となっていますが、手口が巧妙で被害が後を絶ちません。
屋根や床下、給湯器、水回りなど、自分では点検が難しい箇所を狙うのが特徴だからです。
業者は「近所で工事をしているので」「市役所から委託されています」などと偽って信頼を得ようとします。
点検商法の被害は過去最多!
国民生活センターによると、2022年度の屋根工事の点検商法に関する相談件数は2,885件に達し、過去5年で最も多い水準となりました。
2018年度が923件だったことを考えると、わずか4年で約3倍に増加したことになります。
増加の背景には、新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたことや、自然災害の増加により住宅の安全に対する不安が高まったことがあるからです。
2023年度以降も被害は増え続けており、給湯器の点検商法に関する相談は2023年度に1,099件と前年度の約3倍に急増しています。
点検商法の問題点

被害額が高額である
点検商法の最大の問題は、1回の契約金額が数十万円から数百万円にも及ぶことです。
屋根工事では200万円、給湯器交換では40万円といった事例が報告されており、材料費や人件費から考えると法外な価格設定となっているからです。
複数回にわたって契約を結ばされるケースでは、被害総額が数千万円に達することもあります。
契約を急かされる
点検商法の業者は、消費者に考える時間を与えず、その場で即決を迫る手口を使います。
「今日契約すれば安くなります」「資材の在庫がなくなる前に」といった言葉で焦らせるからです。
冷静な判断ができないまま契約してしまい、後になって高額だったことに気づくケースが多発しています。
被害者が被害に遭ったと認識できない
点検商法では、実際に工事が行われることが多いため、被害者が詐欺だと気づきにくい特徴があります。
きれいなパンフレットや施工写真を渡されることで、「ちゃんとした工事をしてもらった」と思い込んでしまうからです。
不要な工事だったことや価格が法外だったことに、家族や他の業者から指摘されて初めて気づくケースが大半です。
点検商法で狙われやすい人の特徴

60~80代の高齢者
点検商法の被害者の8割以上が60歳以上の高齢者であり、特に70歳以上の方が標的となりやすいデータが出ています。
給湯器の点検商法では、契約当事者の7割以上が70歳以上となっており、高齢者が圧倒的に狙われているからです。
高齢になると判断力が低下したり、専門知識がないため業者の説明を信じやすくなったりする傾向があります。
また、在宅時間が長いことも、訪問販売の標的になりやすい要因となっています。
一人暮らし
一人暮らしの方は、点検商法の業者にとって格好のターゲットとなります。
家族がいないため、契約前に相談できる相手がおらず、業者の言いなりになりやすいからです。
特に高齢者の一人暮らしでは、訪問してくれた業者に親近感を持ってしまい、警戒心が薄れる傾向があります。
業者側もそれを知っていて、意図的に一人暮らしの家を狙って訪問しているケースが多いのです。
押しに弱い・断れない人
性格的に押しに弱く、はっきりと断ることができない人も狙われやすい特徴があります。
点検商法の業者は、断られても粘り強く勧誘を続け、最終的には根負けさせる手口を使うからです。
「せっかく来てくれたのに悪い」「無料で点検してくれるなら」といった気持ちから、ドアを開けてしまうことが被害の入り口となります。
一度家の中に入れてしまうと、さらに断りにくい状況を作られてしまいます。
実際に起きた点検商法の事例

実際には不要な工事を契約(屋根点検詐欺)
「近所で工事をしているので挨拶に来ました」「屋根瓦がずれているのが見えましたよ」
と業者が突然訪問してきたケースがあります。典型的な屋根点検詐欺です。
無料で点検すると言われたので依頼したところ、点検後に撮影した写真を見せられ「このままでは瓦が飛んでご近所に迷惑がかかります」と不安を煽られました。
その場で工事を急かされ、100万円以上の屋根修理工事を契約してしまったという事例です。
後日、別の業者に確認してもらったところ、実際には修理の必要はなく、しかも相場よりはるかに高額だったことが判明しています。
不安を煽って機器交換を即日契約
ある家庭に、「給湯器の無料点検をしています」と電話がありました。
訪問を受けたところ、15年使用していることを伝えると「危険です。今すぐ交換が必要」と言われた事例があります。
その場で新しい給湯器への交換工事を含めて税込み約40万円の契約をしてしまいました。
業者に解約を申し出ると「もうクーリングオフ期間を過ぎている」と虚偽の説明をされ、引き留められています。
訪問販売でリフォーム工事を契約
「床下の点検をしています」と訪問してきた業者に点検をさせたところ、「土台の木が腐っており、このままでは家が傾きます」と嘘をつかれた事例があります。
不安になって床下換気扇の設置工事を契約したものの、実際には全く問題がなかったことが後から分かりました。
工事費用は相場の数倍にも及んでおり、完全に不要な工事だったからです。
さらに「雨どいと外壁も直さないと効果が出ない」と追加工事まで勧められ、総額で数百万円の被害となったケースもあります。
複数の業者が結託して騙すケースも
リフォーム工事が終了した直後に、別の業者が「屋根に不具合がありますよ」と訪問してくるケースがあります。
「知り合いの業者に点検してもらった方がいいですよ。代わりに点検しましょうか?」と提案され、紹介された業者と次々に契約させられてしまいます。
実はこれらの業者が結託しており、組織的に被害者を回している可能性があるからです。
一度被害に遭うと業者間で情報が共有され、短期間のうちに複数の契約を結ばされる悪質なケースも報告されています。
点検商法はこんな言葉に注意!

「近所の工事のついでに挨拶に来ました」
「近所で外壁工事をやっているので、ついでに見させてください」という切り出しは、点検商法の典型的な手口です。
親近感や安心感を持たせて、自然な流れで点検を行おうとする狙いがあるからです。
実際には近所で工事などしておらず、後から確認すると嘘だったというケースが多数報告されています。
この言葉を聞いたら、まず近所で本当に工事をしているか確認する必要があります。
「屋根が壊れています」
「通りかかったら、お宅の屋根が壊れているのが見えました」という言葉は、不安を煽る常套句です。
実際には地上から屋根の詳細な状態を正確に確認することは難しいにもかかわらず、断定的に問題があると主張するからです。
点検をさせた後、屋根の一部をわざと壊して写真を撮り、「ほら、壊れていたでしょう」と証拠として見せるケースもあります。
屋根の状態は自分では確認しにくいため、業者の言葉を信じてしまいやすい点を悪用した手口です。
「無料で点検しています」
「今、無料で点検キャンペーンをやっています」という勧誘は、最も警戒すべき言葉の一つです。
「無料」という言葉で安心感を与え承諾させることが目的だからです。
点検後には必ず何らかの問題を指摘され、高額な工事契約へと誘導されるパターンが定番となっています。
本当に信頼できる業者であれば、突然訪問して無料点検を持ちかけることはありません。
「雨漏りの危険があります」
「このままでは雨漏りします」
「雨が降ったら大変なことになります」
といった言葉で、緊急性を演出する手口です。
雨漏りという具体的で深刻なトラブルを持ち出すことで、強い不安を感じさせる狙いがあるからです。
「梅雨に入る前に」「台風シーズンが来る前に」と期限を切って契約を急かされるケースも多くあります。
実際には雨漏りの危険などないにもかかわらず、恐怖心を利用して契約させる悪質な手法です。
イケメン営業が訪問してくる
若くて感じの良い営業マンが訪問してくるケースにも注意が必要です。
外見や態度で信頼感を演出し、警戒心を解こうとする戦略があるからです。
特に高齢者の一人暮らしでは、親切にしてくれる若者に好感を持ちやすく、断りにくい心理状態になります。
見た目の印象だけで業者を判断せず、契約内容や価格の妥当性をしっかり確認することが重要です。
点検商法の対策|もう騙されない!

その場で契約しない
点検商法を防ぐ最も効果的な対策は、訪問してきた業者とその場で契約しないことです。
どんなに緊急性を訴えられても、「今日は決めません」ときっぱり断る姿勢が必要です。
本当に工事が必要なら、他の業者に依頼しても間に合うはずなので、焦る必要は全くありません。
複数の業者から見積もりを取り、家族や信頼できる人に相談してから決めることで、被害を防げます。
点検もさせない
そもそも突然訪問してきた業者には、点検自体をさせないことが重要です。
一度家の中に入れてしまうと、断りにくい状況を作られてしまうからです。
インターホン越しに「点検は必要ありません」とはっきり断り、ドアを開けないようにしましょう。
点検が本当に必要な場合は、自分で信頼できる業者を探して依頼することで、トラブルを避けられます。
断るのが難しいときは「家族に相談します」
どうしても断りにくい状況になったときは、「家族に相談してから決めます」という言葉が有効です。
この一言で、その場での契約を回避できる可能性が高まるからです。
実際に家族がいなくても、「息子に聞いてからでないと決められない」と伝えることで、業者を帰らせることができます。
業者が名刺を置いて帰った場合でも、絶対にこちらから連絡せず、家族や消費生活センターに相談しましょう。
まとめ:点検商法は「契約しない・点検させない」の2つで対策!

点検商法の被害を防ぐためには、「その場で契約しない」「そもそも点検させない」という2つの対策が最も効果的です。
特に60歳以上の高齢者や一人暮らしの方、断るのが苦手な方は、狙われやすい特徴があることを認識しておく必要があります。
「近所で工事している」「無料で点検」「屋根が壊れている」といった典型的な勧誘トークを知っておくことで、被害を未然に防げます。
もし突然業者が訪問してきたら、インターホン越しにきっぱりと断り、絶対にドアを開けないでください。
契約を急かされても、必ず家族や信頼できる人に相談してから決めることが、あなたの財産を守る唯一の方法です。
すでに契約を結んでしまった場合の対応
消費者センターへ相談
点検商法の被害に遭ってしまった場合、まずは最寄りの消費生活センターに相談することが重要です。
消費者ホットライン188番に電話すると、お住まいの地域の消費生活センターを案内してもらえるからです。
契約書や業者とのやり取りの記録を持参すれば、専門の相談員がクーリングオフの手続きや対処法を具体的にアドバイスしてくれます。
訪問販売で契約した場合、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件でクーリングオフができます。
弁護士に返金請求を相談
クーリングオフ期間を過ぎていても、勧誘方法に問題があれば契約の取り消しや返金請求ができる場合があります。
消費者被害に詳しい弁護士に相談することで、法的な解決方法を見つけられる可能性があるからです。
業者の説明が事実と異なっていた場合や、不退去や監禁などの違法な勧誘があった場合は、契約を無効にできます。
すでに支払ってしまった金額についても、暴利行為として返金を求められるケースがあるため、諦めずに専門家に相談しましょう。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。


