墓じまいを検討する際、多くの方が直面するのが離檀料に関するトラブルです。
近年、少子高齢化や核家族化の進行により、先祖代々のお墓を維持することが難しくなり、墓じまいを選択する家庭が増えています。
ところが、いざ菩提寺に離檀の意向を伝えると、想定外の高額な離檀料を請求されたり、埋葬証明書の発行を拒否されたりするケースが後を絶ちません。
Yahoo!知恵袋などでも「離檀料を払わないとどうなるのか」「100万円を請求されたがどうすればいいか」といった相談が数多く寄せられています。
本記事では、離檀料に関する具体的なトラブル事例と知恵袋の回答、そしてトラブルに巻き込まれた際の対処法について詳しく解説します。
離檀料の支払いには法的義務がないという事実を知り、適切な対応を学ぶことで、無用なトラブルを避けることができます。
目次
離檀料におけるトラブル事例4選。知恵袋の質問を併せて解説

離檀料をめぐるトラブルには典型的なパターンがあります。
実際にYahoo!知恵袋などに寄せられた相談事例を見ると、多くの方が同様の問題に直面していることがわかります。
高額な離檀料を請求される
最も多いトラブルが、常識を超える高額な離檀料の請求です。
先日 菩提寺に納めているお骨を返して貰おうと お寺に伝た所離檀料?なるものを請求され 返却は撤回しますと伝ました。
するとその後で離檀料を請求する書面が送られて来ました。この場合離檀料は払わないといけないのですか?
※Yahoo知恵袋 2017年
知恵袋には金額は書いていませんが、国民生活センターへの相談事例では300万円を請求された例もあります。
実際のところ、離檀料はあくまでお布施であり、寺院側が一方的に金額を決定して請求できる性質のものではありません。
高額な離檀料を請求された場合は、相場との乖離を冷静に指摘し、適正な金額での合意を目指すべきです。
埋葬証明書を発行してくれない
離檀料の支払いを拒否すると、埋葬証明書の発行を拒まれるケースがあります。
埋葬証明書は遺骨を改葬する際に必要な書類であり、発行してもらえなければ墓じまいを進めることができないからです。
知恵袋では、離檀料の支払いについて不安の声が寄せられていました。
離檀料支払わないとどうなるのでしょうか?
改葬を考えていますお寺に離檀料支払わないと埋葬事実証明書を書いてもらえないのでしょうか?また相場はおいくらいでしょうか?
※Yahoo知恵袋 2023年
墓じまいは勝手にはできるものではなく、寺院が発行する「埋葬証明書」が必要です。
そのため、埋葬証明書の発行拒否は、離檀料トラブルにおける寺院側の圧力手段として使われることがあります。
高額な墓じまい・永代供養料を請求される
離檀料とは別に、墓石の撤去費用や永代供養料として高額な請求を受けるトラブルも発生しています。
墓じまいにかかる実際の費用は、墓石撤去工事が30万円から50万円、永代供養料が10万円から30万円、行政手続きの手数料が数千円程度が一般的です。
寺院から提示された金額がこの相場を大きく超える場合は、内訳を詳しく確認し、必要に応じて外部の石材店に直接見積もりを依頼することをおすすめします。
墓じまいの費用と離檀料を混同させて高額請求するケースもあるため、それぞれの項目を明確に分けて確認することが重要です。
今までの未納管理費を請求される
離檀の申し出をした際、過去数年分や数十年分の墓地管理費の未納分を一括請求されるケースがあります。
確かに墓地管理費は支払う義務がありますが、請求の時効や金額の妥当性については慎重に確認する必要があるからです。
墓地管理費の請求権は、民法上の債権として5年の消滅時効にかかります。
仮に寺院側が「規則で時効はない」と主張しても、民法の規定が優先されるため、5年を超える過去の管理費については時効を主張することが可能です。
ただし、時効は自動的に適用されるものではなく、債務者側が「時効の援用」という意思表示をする必要があります。
未納管理費の請求を受けた場合は、まず請求期間と金額の根拠を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
離檀料とは?墓じまいをする際に直面する問題

離檀料について正しく理解することが、トラブルを防ぐ第一歩となります。
ここでは離檀料の本質と墓じまいとの関係について詳しく解説します。
菩提寺への感謝を表すお布施のこと
離檀料は、長年お世話になった菩提寺への感謝の気持ちを表すお布施です。
寺院が先祖代々の供養や法要を執り行ってくれたことへの謝意を金銭で示すものです。契約に基づく対価や料金とは性質が異なります。
仏教の教えにおいて、お布施は施す側の気持ちと経済状況に応じて自由に金額を決めるものとされています。
重要なのは、離檀料はあくまで任意のお布施であり、寺院側が一方的に金額を定めて請求できる性質のものではないということです。
菩提寺への感謝を表すお布施であるという本質を理解することが、適切な金額を判断する基準となります。
離檀料の相場は5~20万円程度
離檀料の一般的な相場は5万円から20万円程度とされています。
地域や寺院の格式、檀家としての関係の深さなどによって金額は変動しますが、この範囲内であれば社会通念上妥当と考えられます。
全日本仏教会などの調査によると、実際に支払われている離檀料の平均額は10万円前後となっています。
都市部よりも地方の方がやや高額になる傾向があり、また代々の檀家として長い関係がある場合は20万円程度となることもあります。
一方で、檀家としての期間が短い場合や、すでに墓じまいの理解を得ている場合は5万円程度で済むケースもあります。
離檀料の支払いに法的義務はない
離檀料の支払いには法的な義務がありません。
離檀料はあくまで任意のお布施であり、寺院規則や慣習があったとしても、法的拘束力はありません。
民法上、寺院と檀家の関係は契約関係ではなく、お布施も贈与の一種と解釈されています。
そのため、寺院側が特定の金額を「請求」することはできず、檀家側も支払いを強制されることはありません。
ただし、法的義務がないからといって一切支払わないという対応は、感情的な対立を生み、墓じまいの手続きが円滑に進まなくなる可能性があります。
トラブルなく離檀を行うための4つのポイント

離檀料トラブルを未然に防ぐためには、事前の準備と適切なコミュニケーションが不可欠です。
多くのトラブルは、突然の申し出や配慮のない対応によって感情的な対立に発展してしまうからです。
ここでは円満に離檀を進めるための具体的なポイントを4つ紹介します。
菩提寺に感謝の気持ちをしっかり伝える
離檀の申し出をする際は、まず菩提寺への感謝の気持ちを丁寧に伝えることが重要です。
長年先祖の供養をしてくれたことへの謝意を示すことで、寺院側も離檀を受け入れやすくなるからです。
「これまで長い間、先祖代々の供養をしていただき本当にありがとうございました」という言葉から始めることで、対話の雰囲気が大きく変わります。
離檀を決意した理由についても、寺院を批判するような表現は避け、やむを得ない事情であることを説明します。
寺院側の立場に立てば、檀家の減少は運営に直接影響する深刻な問題です。
その不安や懸念を理解し、敬意を持って接することが、円満な離檀への第一歩となります。
あくまで「相談」という形で直接伝える
離檀の意向を伝える際は、一方的な通告ではなく「相談」という形で進めることが望ましいです。
突然「離檀します」と伝えるのではなく、「墓じまいを考えているのですが、どのように進めればよいでしょうか」という相談の姿勢で臨むことで、寺院側の協力を得やすくなるからです。
電話やメールではなく、可能な限り直接訪問して住職と対面で話すことが重要です。
対面での会話は誠意が伝わりやすく、また寺院側の考えや事情を直接聞くこともできるため、相互理解が深まります。
訪問する際は、事前に電話でアポイントメントを取り、住職の都合の良い時間帯を選ぶことも配慮の一つです。
コミュニケーションの取り方一つで、トラブルの発生率は大きく変わることを認識しておきましょう。
家族・親族に相談しておく
離檀や墓じまいを進める前に、必ず家族や親族に相談し、合意を得ておくことが必要です。
墓は個人のものではなく家族全体に関わる問題であり、後から親族間でトラブルが発生するケースが少なくないからです。
特に、兄弟姉妹がいる場合や、墓を継承する予定だった親族がいる場合は、事前の相談が不可欠です。
一人で決めて進めてしまうと、「なぜ相談してくれなかったのか」「先祖の墓を勝手に処分するのか」といった感情的な反発を招き、家族関係に亀裂が生じる可能性があります。
相談する際は、墓じまいを考えた理由や今後の供養方法について丁寧に説明し、全員が納得できる形を目指します。
家族・親族の理解と協力を得ておくことで、寺院との交渉においても一枚岩で臨むことができ、トラブルを回避しやすくなります。
離檀料の他にかかる費用を確認しておく
離檀や墓じまいには離檀料以外にも様々な費用がかかるため、事前に全体像を把握しておくことが重要です。
予想外の出費に慌てるリスクを軽減できるからです。
主な費用としては、墓石撤去工事費が30万円から50万円、閉眼供養のお布施が3万円から5万円、行政手続きの手数料が数千円、遺骨の改葬先の費用が10万円から100万円程度となります。
墓石撤去工事は、寺院が指定する石材店に依頼しなければならないケースと、自由に業者を選べるケースがあるため、事前に確認が必要です。
複数の石材店から見積もりを取ることで、適正価格を把握し、不当な高額請求を避けることができます。
また、遺骨の改葬先についても、永代供養墓、納骨堂、樹木葬など選択肢によって費用が大きく異なるため、家族で十分に検討します。
全体でどの程度の費用がかかるのかを事前に把握しておくことで、寺院から提示された金額の妥当性を判断できるようになります。
離檀料トラブルに巻き込まれた際の対処法

どれだけ注意を払っていても、離檀料トラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
そのような場合でも、適切な対処法を知っていれば、事態を改善し円満な解決に導くことが可能だからです。
ここでは実際にトラブルが発生した際の具体的な対処方法を4段階で解説します。
減額の余地があるか確認する
高額な離檀料を請求された場合、まずは減額交渉を試みることが第一のステップです。
寺院側も最初は高めの金額を提示しているケースが多く、交渉によって妥当な金額まで下がる可能性があるからです。
交渉の際は、離檀料の相場が5万円から20万円程度であることを丁寧に伝え、「経済的な事情で高額は難しい」という姿勢で臨みます。
具体的には、「10万円であればお支払いできますが、いかがでしょうか」というように、こちらから現実的な金額を提示する方法が効果的です。
単に「高すぎる」と批判するのではなく、支払える金額を明示することで、建設的な対話につながります。
菩提寺の総本山に相談する
直接の交渉で解決しない場合は、菩提寺が属する宗派の総本山や宗務所に相談することが有効です。
総本山は傘下の寺院を指導する立場にあり、檀家とのトラブルについて仲介や助言を行ってくれるからです。
各宗派の総本山には相談窓口が設置されており、電話やメールで相談を受け付けています。
相談する際は、寺院名、住職の名前、請求された金額、これまでの経緯などを整理して伝えることで、適切なアドバイスを受けやすくなります。
総本山からの指導や助言があることで、寺院側も態度を軟化させることが多く、問題が解決に向かうケースが少なくありません。
国民生活センターに相談する
離檀料トラブルは消費者問題の一種として、国民生活センターや消費生活センターに相談することもできます。
これらの機関は消費者と事業者の間のトラブル解決を支援しており、宗教施設とのトラブルについても相談を受け付けているからです。
国民生活センターでは、専門の相談員が事情を聞き取り、法的な観点からのアドバイスや、具体的な対処方法を提案してくれます。
特に、離檀料に法的義務がないことや、消滅時効の援用など、一般の方では判断が難しい法的知識について適切な情報を得ることができます。
相談記録は残されるため、後に法的手段を取る必要が生じた際の資料としても活用できます。
離檀料トラブルに強い専門家へ相談する
他の方法で解決しない場合や、法的手段を検討する必要がある場合は、離檀料トラブルに詳しい弁護士に相談することが最も確実です。
弁護士は法的知識に基づいて交渉を代行し、必要に応じて法的手続きを取ることができるからです。
弁護士に依頼すると、内容証明郵便による通知、交渉の代理、調停や訴訟手続きなど、段階的に適切な対応を取ってもらえます。
費用は掛かりますが、請求額が大きい場合や、長期化が予想される場合は、専門家に依頼する方が結果的に経済的負担が少なくなることもあります。
離檀料トラブルに強い専門家への相談は、法的権利を守り、適切な解決を実現するための最終手段として考えておきましょう。
まとめ:情報を集めて離檀料トラブルを防ぎましょう

離檀料トラブルの多くは、離檀料の性質や相場についての正しい知識があれば防ぐことができます。
離檀料は法的な支払い義務がない任意のお布施であり、相場は5万円から20万円程度であることを理解しておくことが重要です。
墓じまいを検討する際は、菩提寺への感謝を伝え、相談という形で丁寧にコミュニケーションを取ることで、多くのトラブルを未然に防げます。
万が一トラブルに巻き込まれた場合でも、減額交渉、総本山への相談、国民生活センターへの相談、専門家への依頼という段階的な対処法があることを知っておけば、冷静に対応できます。
本記事で紹介した情報を活用し、納得のいく形で離檀と墓じまいを進めていただければ幸いです。
現時点で高額な離檀料を請求されている方は
すでに高額な離檀料を請求されており、どうすればよいか悩んでいる方は、一人で抱え込まずに専門家に相談することを強くおすすめします。
弁護士や行政の相談窓口を活用することで、法的に正しい対応を取ることができ、不当な請求から自分の権利を守ることができるからです。
離檀料トラブルに関する相談は、初回無料相談を実施している法律事務所も多くありますので、まずは気軽に問い合わせてみることが解決への第一歩となります。
適切な情報と専門家のサポートがあれば、必ず解決の道は開けます。
今すぐ行動を起こし、ご自身とご家族のために最善の選択をしてください。

法律事務所FORWARD 代表弁護士
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士登録から11年が経過し、これまで一つ一つの案件に丁寧に向き合い、着実に実績を積み重ねてまいりました。借金問題解決を強みとしており、今後も皆様と共に前進し、弁護士として的確な法的サポートを提供できるよう努めてまいります。

