「配偶者がダブル不倫をしていた。慰謝料を請求したい。でも、逆に請求されたらどうなるんだろう…」
そんな不安を抱えながら、誰にも相談できずにいる方は多いはずです。
ダブル不倫(W不倫)は、既婚者同士が不倫している状態のことをいいます。
通常の不倫と違い、被害者が2人いるため、慰謝料の権利関係が複雑になりやすく、請求してもプラスマイナスゼロになるリスクがあります。
この記事では、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- ダブル不倫の慰謝料が認められない理由と条件
- お互いに請求し返す「逆請求」のリスク
- 慰謝料の相場と4つの結末・解決策
- 慰謝料を増額するための具体的なポイント
法律の専門家でなくても理解できるよう、具体的な事例をもとに解説していきます。
最後まで読めば、自分の状況でどう動くべきかの判断基準が見えてきます。
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目次
ダブル不倫の慰謝料とは?通常の不倫との違い

ダブル不倫は、通常の不倫とは法的な立場が大きく異なります。
被害者が2組の夫婦にまたがるため、慰謝料の扱いが複雑になりがちです。
慰謝料が認められない可能性がある
ダブル不倫では、自分自身も不倫の加害者になっている場合、慰謝料請求が認められないことがあります。
慰謝料は「不法行為の被害者が受けた精神的苦痛を補うもの」だからです。
たとえば、夫が不倫しているのを知った妻が、自分もほかの男性と不倫していた場合、妻自身も加害者として扱われます。
その場合、「被害者として慰謝料を請求する立場にない」と判断されるリスクがあります。
ただし、どちらが先に不倫を始めたかや、不倫の悪質性の差によって判断が変わることもあります。
裁判離婚が認められない場合がある
ダブル不倫では、裁判で離婚が認められないケースがあります。
理由は、裁判所が「夫婦関係の破綻に責任がある配偶者からの離婚請求は原則として認めない」という立場をとっているためです。
たとえば、夫が先に不倫しておきながら、妻の不倫を理由に離婚を求めても、裁判所に却下される可能性があります。
最高裁判所は1987年(昭和62年)9月2日の判決で、有責配偶者からの離婚請求が認められる条件を次のように示しています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 別居期間 | 双方の年齢と対比して 相当の長期間に及ぶこと |
| 未成熟子の不在 | 夫婦間に未成熟の 子どもがいないこと |
| 相手の生活保護 | 相手方が離婚により精神的・社会的・経済的に 著しく苛酷な状態におかれないこと |
(参考:最判昭62.9.2|裁判所ホームページ)
これらの条件をすべて満たすのは難しく、裁判離婚が認められないことも少なくありません。
離婚を希望する場合は、裁判よりも当事者間の話し合い(協議離婚)を目指すほうが現実的なケースが多いです。
協議離婚は成立しやすい
一方で、ダブル不倫では協議離婚(話し合いによる離婚)は成立しやすい傾向があります。
通常の不倫では、被害者である配偶者が「一方的に不倫されて離婚なんて許せない」という感情から話し合いが難航することが多いです。
しかしダブル不倫の場合、双方に不倫の事実がある状態のため、お互いが「もめても得にならない」と判断しやすくなります。
結果として、双方が離婚に合意しやすく、協議離婚のうえで慰謝料の条件を決める流れに進みやすいといえます。
ただし協議離婚でも、慰謝料や親権・養育費などの条件はきちんと書面で残しておくことが重要です。
ダブル不倫の慰謝料はお互いに請求できる?

ダブル不倫では、被害者が2人いるため、慰謝料の請求関係が複雑になります。
離婚するかどうか、どちらが離婚するかによって、慰謝料の動き方が大きく変わります。
①どちらも離婚しない場合
どちらの夫婦も離婚しない場合、慰謝料をお互いに請求し合っても、実質的にプラスマイナスゼロになる可能性が高いです。
たとえば、A夫婦のA妻がB夫婦のB夫と不倫をしていたとします。
A夫がB夫に慰謝料100万円を請求する一方で、B妻もA妻に慰謝料100万円を請求する、という構図になります。
家計が夫婦共通である以上、お金が行ったり来たりするだけで、実質的な利益が生まれません。
このケースでは、後述する「四者間ゼロ和解」を選ぶことも多いです。
②自分だけ離婚する場合
自分の夫婦が離婚し、相手夫婦は離婚しない場合は、慰謝料を積極的に請求する実益が出てきます。
自分は離婚して生計が分かれるため、慰謝料を受け取る経済的メリットが生まれるからです。
この場合、不倫した配偶者と不倫相手(相手夫婦の一方)の両方に慰謝料を請求できます。
ただし、不倫相手への請求が、相手の配偶者(逆被害者)にバレるリスクがあります。
バレた場合、相手の配偶者から自分の元配偶者に対して逆請求が行われる可能性があります。
離婚後であっても、元配偶者が逆請求された場合は求償という形で影響が出ることもあるため、弁護士への相談が欠かせません。
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③相手だけ離婚する場合
相手夫婦だけが離婚し、自分の夫婦は婚姻関係を続ける場合は、やや複雑な状況になります。
相手方の離婚に伴って、相手の配偶者が不倫した当事者と自分の配偶者の両方に慰謝料を請求してくる可能性があります。
つまり、慰謝料を受け取る立場ではなく、支払う立場になるリスクが高まります。
このパターンでは特に、自分の配偶者の不倫の経緯や証拠を整理し、慰謝料の減額交渉の余地があるかを確認することが重要です。
④お互い離婚する場合
双方が離婚する場合、不倫の悪質性や期間、婚姻生活への打撃の大きさを踏まえ、適正な金額を請求・交渉することになります。
この場合も、どちらが不倫を主導したか、婚姻期間はどちらが長いかなどによって、慰謝料の金額や支払い義務の有無が変わります。
双方が離婚するケースは最も権利関係が複雑になるため、弁護士に交渉を委ねることを強くおすすめします。
ダブル不倫の慰謝料を請求し返される「逆請求」のリスク

ダブル不倫で慰謝料を請求する際に、最も見落としやすいリスクが「逆請求」です。
請求した結果、むしろ自分の家庭が危機にさらされるケースも珍しくありません。
逆請求の3つのリスクを整理します。
慰謝料請求をきっかけに相手方配偶者にバレる
不倫相手に慰謝料を請求すると、その通知が原因で相手の配偶者にダブル不倫の事実がバレるリスクがあります。
弁護士から内容証明郵便を送ると、相手はパートナーに相談せざるを得なくなることが多いためです。
「慰謝料請求をしたら、相手の妻が激怒してうちの夫にも請求してきた。」
というケースになり得ます。
相手方の配偶者にバレていない段階でいきなり請求すると、火に油を注ぐ結果になることもあるのです。
逆請求されると慰謝料の相殺はできるのか
逆請求された場合、「お互いに請求し合っているのだから、相殺できないか」と考える方も多いです。
民法505条では、互いに同種の債権を持つ場合に相殺できると定めています。
ただし、ダブル不倫では厳密には相殺が認められないケースが多いです。
理由は、請求の相手がそれぞれ異なる人物(A妻→B妻、B夫→A夫)だからです。
同一人物間でないと法律上の相殺は成立しないため、自動的に相殺されるわけではありません。
ただし、実務上は「夫婦は財布が一緒」という実態をふまえ、4人が合意すれば慰謝料のやりとりをなしにすることができます。
請求してもプラスマイナスゼロになるケース
どちらの夫婦も離婚しない場合、慰謝料を請求し合っても、家計単位で見るとプラスマイナスゼロになることがあります。
たとえば、A夫婦とB夫婦がそれぞれ150万円の慰謝料を請求し合ったとします。
A夫婦はB夫に150万円を支払い、B夫婦はA妻に150万円を支払う構図になります。
それぞれの家計から150万円が出ていき、150万円が入ってくるだけで、実質的な利益は生まれません。
弁護士費用だけが確実に発生するため、「慰謝料を請求したのに損をした」という結果になることもあります。
ダブル不倫の慰謝料相場は50万〜300万円

ダブル不倫の慰謝料相場は、通常の不倫と大きく変わりません。
ただし、ダブル不倫特有の事情が慰謝料の増減に影響することがあります。
離婚するかどうかで金額の目安が変わるため、状況に応じて把握しておきましょう。
離婚しない場合の相場
ダブル不倫が発覚しても婚姻関係を継続する場合、慰謝料の相場はおよそ50万〜100万円程度になるケースが多いです。
精神的苦痛は認められるものの、夫婦関係を破綻させた度合いが低いとみなされるためです。
また、双方が不倫をしている状況では、「お互い様」と判断されて慰謝料が低額になる、または認められないこともあります。
| 状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| どちらも離婚しない (不倫の程度が同等) | 0〜50万円程度 |
| どちらも離婚しない (不倫の悪質性に差あり) | 50万〜100万円程度 |
相手の不倫の期間が長い、子どもへの影響が大きいなど悪質性が高い場合は、この限りではありません。
離婚する場合の相場
離婚に至る場合、慰謝料の相場はおよそ100万〜300万円程度とされています。
婚姻関係の破綻という大きな損害が生じているため、精神的苦痛の程度が高く評価されます。
| 状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 自分だけ離婚する | 100万〜200万円程度 |
| 双方が離婚する | 100万〜200万円程度 |
| 双方が離婚する (悪質性・婚姻期間に大きな差) | 200万〜300万円程度 |
なお、慰謝料の相場に法的な定めはなく、あくまで目安です。
最終的な金額は、不倫の期間・頻度・子どもへの影響・婚姻期間などを総合的に考慮して決まります。
慰謝料が減額される・認められないケース
ダブル不倫では、以下のような事情があると慰謝料が減額、または認められない場合があります。
- 自分の配偶者の方が不倫を積極的に主導していた
- 自分の夫婦関係がすでに不倫前から事実上破綻していた
- 相手夫婦の婚姻期間が自分たちよりも著しく長い
- 自身も既婚者であることを相手が知らなかった(騙されて不倫した場合)
「これらの事情に当てはまるから慰謝料はもらえない」と一概には言えません。
どちらの事情がより重いかを法的に判断する必要があるため、専門家への相談が必要です。
ダブル不倫の結末と解決策4パターン

ダブル不倫の慰謝料問題には、大きく分けて4つの解決策があります。
状況に合わせた選択が、最終的な損得を大きく左右します。
解決策①四者間ゼロ和解
四者間ゼロ和解とは、不倫をした2人とその配偶者の計4人が話し合い、お互いに慰謝料を請求しないことで合意する解決方法です。
どちらの夫婦も離婚しない場合、慰謝料を請求し合っても家計単位でプラスマイナスゼロになることが多いためです。
弁護士が扱ったダブル不倫の実例として、
「4人で話し合いをした結果、どちらの夫婦も離婚せず、慰謝料はゼロで解決。ただし、不倫を主導した男性が相手方の夫に30万円を支払い、今後の接触禁止を誓約書で取り交わした」
というケースがあります。
金銭のやりとりがなくても、誓約書や合意書を交わすことで再発防止の効果を持たせることができます。
ただし、4人全員の合意が必要なため、「どちらかが離婚したい」「責任割合が明らかに異なる」という場合は成立しません。
解決策②不倫相手だけに請求する
自分の配偶者にはこれ以上傷つきたくない、夫婦関係を続けたい、という場合に選ばれる方法です。
配偶者への請求は実益が少ないため、不倫の相手方だけに慰謝料を請求します。
「夫に直接は言えなかったけれど、相手の女性にだけ請求することで、気持ちの整理がついた」という方もいます。
ただし、相手方への請求が、相手の配偶者にバレて逆請求を招くリスクがあります。
解決策③それぞれが離婚して慰謝料請求する
双方が離婚を選んだ場合は、それぞれが慰謝料の請求権を正式に行使することになります。
家計が分かれた状態での請求になるため、慰謝料受け取りの実益が明確に生まれます。
ただし、この場合も責任割合のバランスによって、最終的に手元に残る金額は大きく変わります。
不倫の期間・主導性・子どもへの影響などを証拠とともに整理し、適正な額を請求することが大切です。
解決策④弁護士に交渉を任せる
ダブル不倫の慰謝料問題は、4人の権利関係が複雑に絡み合っています。
自分で動くと感情的になりがちで、相手を余計に刺激して話がこじれることも多いです。
弁護士に依頼することで得られるメリットは以下のとおりです。
- 逆請求リスクを最小化した交渉戦略を立てられる
- 相手方配偶者にバレないよう配慮した請求が可能
- 感情を排した法的な交渉で早期解決を目指せる
- 合意書・誓約書の作成など法的に有効な書面を作成できる
特にダブル不倫の場合、1つの動きが4人全員の権利関係に影響します。
動く前に弁護士に一度相談することが、最も損失を減らす方法といえます。
ダブル不倫の慰謝料を増額するためのポイント
慰謝料を少しでも多く受け取るためには、事前の準備が重要です。
感情のまま動いてしまうと、逆に不利な立場に追い込まれることがあります。
不倫の証拠を確実に確保する
慰謝料請求の根拠は「証拠」です。
証拠がなければ、不倫の事実を相手方が否定した場合に請求が困難になります。
有効な証拠として認められやすいものを整理します。
| 証拠の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 写真・動画 | ホテルへの出入り 親密な行動を収めたもの |
| メッセージ記録 | LINEやメールで性的関係を うかがわせるやりとり |
| 領収書・クレジット明細 | ラブホテルや カップル向け旅行の支払い記録 |
| 探偵の調査報告書 | 尾行・張り込みによる 不倫行為の記録 |
注意が必要なのは、証拠収集の方法です。
GPSを無断で仕掛けるなどの行為は、プライバシー侵害や不正アクセス禁止法に抵触する可能性があります。
証拠の収集方法に不安がある場合は、弁護士や探偵に相談しましょう。
慰謝料が増額されやすい事情とは
以下のような事情がある場合、慰謝料の増額が認められやすくなります。
不倫の悪質性が高いほど、精神的苦痛が重いとみなされるためです。
- 不倫期間が長い(1年以上、特に3年以上で増額傾向あり)
- 妊娠・中絶など、身体的な被害が伴っている
- 相手方が不倫を積極的に主導していた
- 婚姻期間が長く、家庭が安定していた状態で不倫された
参考として、不倫が3年以上継続した場合、1年未満と比べて1.5〜2倍程度の慰謝料が認められるケースもあるとされています。
こうした事情を整理した上で、弁護士と交渉方針を決めることが大切です。
弁護士に依頼するメリット
ダブル不倫の慰謝料問題を弁護士に依頼することで、大きく3つのメリットがあります。
まず、感情的なやりとりを避けられます。
自分で交渉すると、怒りや悲しみからつい感情的な発言をしてしまい、相手を硬化させてしまうことがあります。
弁護士が間に入ることで、法的な交渉に集中でき、早期解決につながりやすくなります。
次に、逆請求リスクを回避した交渉設計が可能です。
どのタイミングで、誰に、どういう形で請求するかを戦略的に設計することで、相手方配偶者へのバレを防ぎ、逆請求を未然に防げます。
さらに、合意書・誓約書の法的効力を確保できます。
「もう会わない」という口約束は、証拠として残りません。
弁護士が作成した合意書には法的拘束力があり、違反した場合の違約金条項なども設定できます。
よくある質問

ダブル不倫の慰謝料に関してよく寄せられる疑問に回答します。
不倫相手だけに慰謝料請求できる?
配偶者にバレずに不倫相手だけに慰謝料請求することは、法律上は可能です。
ただし、実際には不倫相手が配偶者に相談してしまうリスクが高く、バレて逆請求につながるケースも少なくありません。
請求先・請求方法・文書の送付先を慎重に設計することで、バレるリスクを一定程度抑えることができます。
ダブル不倫の慰謝料請求の時効はいつですか?
不倫の慰謝料請求権の時効は、民法724条により次の2つが定められています。
- 不倫の事実と不倫相手を知った時から3年
- 不倫行為が行われた時から20年
どちらか早い方が適用されます。
実務上、問題になるのはほぼ「①の3年」です。
「不倫していることはわかっているが相手が誰か特定できない」場合は、3年の時効がスタートしません。
相手が特定できた時点から3年となります。
ダブル不倫で離婚する場合、親権はどうなる?
ダブル不倫では、親権の決定に直接影響することは少ないです。
親権は「子どもにとってどちらの親が養育するほうがよいか」という観点で判断されるためです。
具体的には、これまでの養育実績、子どもとの関係の深さ、育児環境の安定性などが主な判断基準になります。
まとめ:ダブル不倫の慰謝料問題は専門家へ相談を

ダブル不倫の慰謝料問題は、通常の不倫よりはるかに複雑です。
请求した結果、逆請求を招いたり、プラスマイナスゼロになったりするリスクがあります。
この記事のポイントをまとめます。
- ダブル不倫は自分も加害者になり得る
- どちらも離婚しない場合は、四者間ゼロ和解が実質的に最も損のない
- 慰謝料の相場は離婚するかどうかで大きく変わる
「自分の場合はどれに当てはまるのか」は、状況によって異なります。
焦って動く前に、まず弁護士に状況を伝え、リスクを整理することが大切です。
初回相談を無料で受け付けている弁護士事務所も多くあります。
1人で抱え込まず、専門家の力を借りて、最善の解決策を選んでください。
\妻・夫の不倫が許せない?/

弁護士法人FORWARDジャパン 代表
監修者:保坂 康介(ほさか こうすけ)
弁護士法人FORWARDジャパン代表。心理カウンセラーの資格を持つ「カウンセラー弁護士」。
個人の債務整理、企業法務などの複雑な交渉案件を数多く手掛けている。単なる法的解決に留まらず、依頼者の利益を最大限追及する。

