契約書 弁護士が見るチェックポイント

1 契約の類型を見る

まずは、どういった類型の契約なのかを見ます。

具体的には、売買なのか贈与なのか、賃貸借なのか消費貸借、使用貸借なのか、請負なのか委任なのか寄託なのかという具合です。

これによって、当事者がどういった債務を負うことになるのかが分かりますし、その契約でどの法律のどの条文が関係してどういったことに気を付けなければいけないのかという当たりをつけることができるのです。

契約の類型を見る

2 当事者が相手方に対して何を提供するのか

どんな債務を負うのか

契約は取引です。多くはお互いが相手方に対して何らかの債務を負っています(これを双務契約と言います。)

例えば、売買、賃貸借、請負、業務委託契約はこれに当たります。飲食店、美容室、マッサージなどもそうです。

売買の場合は、売主が買主に対して、物や不動産を引渡し、その所有権を移転させる債務を負い、買主は売主に対して代金を支払う義務を負います。賃貸借の場合は、貸主が借主に対して物を貸す債務を負い、借主は貸主に対し賃料を支払う義務を負っています。

このように、当事者が相手方に対しどんな債務を負っているのかという点は、契約書の最も重要な部分であると言えます。

どんな債務を負うのか

3 取引の対象が特定しているかどうか

この取引の対象が特定していないと、当たり前ですが当事者が何を提供したらよいのかが明確にならず、法律上も相手方に対して請求する事ができなくなるというリスクも生じかねません。

不動産の売買を例にとると、売買の対象である土地・建物が所在・地番・地目・地積等で他の不動産と区別できる程度に特定されていなければならないという具合です。

超基本的なところであるからこそ、漏れがないようにしっかりとチェックをしていく必要があります。

4 お互いの負う債務が均衡しているかどうか

平等と言えるかどうか

法律上は、債務が均衡しなければ契約は無効であるとは定められてはいません。

しかし、5でも言いますが、余りに違いの負う債務に不均衡があると公序良俗に反し無効になる場合も出てくるでしょう。

仮にそこまでいかなかったとしても、当事者が負う債務(これは本来的債務のみならず付随的債務も含みます)が不均衡になっていないかどうかは大切です。

平等

5 強行法規に抵触していないか、公序良俗に反していないか

別のQ&Aでも書いているかと思いますが、この日本では契約自由の原則が働いているため、どのような内容の契約でも基本的に有効に成立しますが、強行法規に反したり公序良俗に反している場合は少なくともその部分は無効となります。

例えば、クーリングオフをする権利を放棄させている契約書は、少なくともその部分は無効となります。
ご依頼者様が無用の条項に拘束されずに済むよう、強行法規の抵触の有無、公序良俗に反する条項の有無は注意してチェックするようにしています。

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