顧問弁護士はベンチャー企業にも必要?注意点と活用法

ベンチャー企業にも顧問弁護士は必要

結論から言うと、ベンチャー企業にも顧問弁護士は必要だというのが私の考えです。

ベンチャー企業といえば、主にインターネット事業やゲーム業界などを想起されるかと思いますが、大きくは、革新的なアイデアや技術をもとにして新しいサービスやビジネスを展開する企業のことをベンチャー企業と言います。

こうした新しいビジネス分野については、技術の発展に応じて新しい法律が成立したり法改正がなされるなどして、その分野に対する規制が日々刻刻と変わっていきます。こうした新法や改正法は適切に対処していかなくてはならないことは当然にもかかわらず、ベンチャー企業は比較的従業員数が少なく、法務分野にまで手が回る人員を確保することができていない企業が多く散見されます。

また、ベンチャー企業も会社ですから、一般の企業と同様に会社法の適用がありますし、取引先と契約書を結ぶことも頻繁に出てくるでしょう。人を雇用している場合には労働関連法規の遵守も必要です。

ですから、ベンチャー企業にも顧問弁護士は必要なのです。

顧問弁護士を依頼する際の注意点

では、弁護士と顧問契約を結ぶ際に注意するべき点としてはどのようなものがあるでしょうか。

1 円滑なコミュニケーションが取れる弁護士かどうか

当然なことですが、自社と円滑なコミュニケーションをとることができるかどうかという点が最も重要です。

ここでいうコミュニケーション力というのは人として楽しい人か面白い人か、雑談力があるかどうかといった話ではなく、自社のパートナーとして誠実にやり取りをすることができるかどうかという力のことを言います。

いわゆる自社が安心感を持てる弁護士であるかどうかとも言い換えることができると思います。

具体的には、メールをしたらそれほど待たせずに返信をくれたり、分からないことがあれば分からないと一旦断りを入れたうえで調べ物をしてくれる、丁寧な言葉遣いをしてくれる、相談事が無い期間が続いても定期的に連絡を入れてくれて自社の状況を確認してくれるなど。

2 顧問業務の範囲・顧問料の体系が明確かどうか

毎月の顧問料の範囲でどの業務を行ってくれるかどうかが明確になっていないと、お願いしたい業務を顧問弁護士に依頼しづらくなってしまいます。

法律相談の時間は月何時間までなのか、契約書のリーガルチェックは顧問業務の範囲内なのかそれとも別料金なのか、書面の作成や相手との交渉も顧問業務としてお願いしてよいのかどうかなど、顧問業務を明確にしておくことが自社にとっても弁護士にとっても有益です。

また、顧問料の料金体系も明確になっている必要があります。

多くは定額制を採用している法律事務所が多くなっているかとは思いますが、タイムチャージ制(若しくは定額制+タイムチャージ制)を採用している法律事務所もあります。

タイムチャージ制の場合、顧問料請求書の郵送作業までをも業務の範囲として時間をカウントしている事務所もあると聞いたことがあります。
これでは安心して日々の顧問業務を委ねるが憚られてしまうかと思います。できれば、定額制を採用している弁護士との顧問契約が望ましいかと思います。

3 企業法務に日々携わっている弁護士かどうか

会社関連の法務に日々携わっている弁護士の方がスピード感をもって顧問業務を進めてくれるでしょう。

また、個人を相手とする一般事件のみを取り扱っている場合と比べて、ビジネス感覚を養えていることが多いですし、会社関連の法改正等にアンテナを張れているため、迅速且つ適切に顧問業務を提供することができると思います。

4 自社の業界に対する知識・理解があるかどうか

最初から自社の業界の特性に対する知識・理解が十分ではなくとも、その知識・理解を深めようとしてくれる弁護士へのご依頼をお勧めします。

そうした部分は法律の条文・判例とは一見関係はないように見えますが、条文、判例を形式的に当てはめて結論を出すよりも業界の特性に寄り添えている弁護士の方が安心感を得ることができますし実際に頼りがいが出てくるかと思います。

顧問弁護士の活用の仕方

1 会社に関する法律相談

基本は自社を取り巻く法律問題に関する相談になります。

これは非常に多岐に渡ります。具体的には、他社との取引で生じたトラブルについての対処の仕方についてのアドバイス、オフィス物件の貸主との賃料交渉に関するアドバイス、従業員との労働トラブルに関するアドバイスなどと言った法律相談業務が例として挙げられます。

2 契約書のリーガルチェック

契約書のリーガルチェックを顧問業務の範囲内としている場合には、これも含まれます。

むしろ、契約書は日常頻繁に締結するものであるため、リーガルチェックを顧問業務の範囲内としている弁護士の方が使い勝手が良いでしょう。
顧問業務の範囲外であったとしても、顧問先割引をしてくれる事務所もありますので、リーガルチェックは積極的に弁護士を活用してください。

3 未払代金の回収

不動産業界であれば賃料の未払、建設業界であれば請負代金の未払、HP制作業界であれば制作委託料の未払など代金未払案件は頻発します。

このような問題が生じたとき、顧問弁護士に直ぐに依頼をしてください。
スピーディに支払請求通知書を作成して発送することができ、相手方の不誠実な対応により訴訟にまで発生するリスクをかなり減らすことができるはずです。

4 その他どのような事柄でもご相談できる弁護士を

このような法律問題に限らず、経営者の方々は色々なお悩みをお持ちのことと思います。

家族仲の問題、従業員との関係性の問題、ビジネスマッチングの問題、資金調達のお悩み、財務・会計上のお悩みなど。顧問弁護士は会社のパートナーとして会社の利益に貢献してこそ、その存在意義を発揮すると私は思っています。

例えば、他の士業を紹介したり、様々な勉強会を開催したりなど。法律問題以外でも何でも気軽に話せる経営者的観点をもった弁護士を顧問弁護士とすることをお勧めします。

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